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読書 谷口克広「検証本能寺の変」

2007-09-29 14:34:47 | 読書

              
 一体なぜ明智光秀は謀反を起こしたのか?歴史の考証に基づいてあらゆる観点から諸説を検証してみせる。
 このミステリーは出尽くした感があって、絶対的な確証がない。天正十年(1582)には、光秀が67歳だったという。この歳になってある意味暴挙に出たのは、やむにやまれぬ何かがあったのだろう。
 結局秀吉に追われ、逃亡の途中土民に殺害される。そこで、謀反を起こさずに信長の命(めい)を守っていれば、どのような歴史が描かれたのだろうか。そんな興味も湧いてくる。
 謎がつきないためにテレビドラマに頻繁に現れるのも特徴といえる。謀反の決意の表明といわれる句「ときは今 あめが下(した)知る 五月哉(さつきかな)」は有名。いつの世もこういう人間くさいドラマが繰り広げられているのだろう。
 いつの日か京都に旅したとき、光秀にまつわる名刹などを巡ってみたい。蛇足ながら、9月21日付読売新聞の記事を引くと“京都市中京区の旧本能寺跡で先月、織田信長が明智光秀に討たれた1582年当時の堀の跡や大量の焼けた瓦が出土した。
 本能寺の変に直接かかわる遺構や遺物が確認されたのは初めてで、戦国史の転換点となった大事件の真相を探る重要な手がかりとして注目されている”とあって、さらに興味を起こさせる。


映画 サンドラ・ブロック「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密(‘02)」

2007-09-25 14:07:54 | 映画

              
 母娘和解の物語。劇作家のシッダ(サンドラ・ブロック)が、劇場の観客席に坐って記者のインタビューに答えている。
「私の母 母をどう言えばいいのかしら。ヴィヴィ(エレン・バースティン=シッダの母)みたいな人はいない。本人もそう言うはずよ。彼女は魅力的で美しくすべてに恵まれた人」
「欠点はない?」と記者
「傷ついている、世界一魅力的なのに」
「傷ついた原因は?」
「夢が破れたのよ。スターにもなれたのに。綿農家の4人の子持ちの主婦で終わるなんて。何て言うか複雑な人間なの。恐ろしいほど単純かと思うと突然暗い一面を見せる。でも母はくじけなかった。
 タバコの吸いすぎお酒もケンカもハデ 女が騒ぎ出すと男は逃げ出した。小屋に隠れてウィスキーを片手に、嵐が去るのを待つ、でも彼らもそれなりに楽しんでいたわ」
「暗い一面とは怒りや暴力のこと?」
「いいえ、そうじゃない。ムチは使ったけどね。ベルトも 子供のために厳しく育てるという考え方なの。でも私の創造性は母のお陰。つらい少女時代が作品の題材に」

 このインタビューが記事になると「タップ・ダンスをして子供を虐待する母」「関与しようとしない父」になりシッダも怒りヴィヴィも娘に怒りを募らせる。
 母娘の深まる溝を埋め、和解の糸口を探ろうと乗り出してくるのは、少女時代に永遠の絆を誓い合ったヤァヤァ・シスターズの三人のおばあちゃんたち。そして当然のハッピーエンド。
 三人のおばあちゃんたちは、フィオヌラ・フラナガン、シャーリー・ナイト、マギー・スミスといういずれも60歳代の人々。
             
ラスト近く母娘の和解の場面。
「謝りたいの」とシッダ
「いいえ、いいのよ。やめて どう言ってあなたを後悔させようかと考えてた。うんと意地悪な言葉を投げつけようって ママらしいでしょ。ガムみたいに何度も何度もかみ締めしっこく考えた。やがて気づいたの、今まで長い間、祈り続けてた。必死で神様にお願いしたの。あたしを有名にして恵みを与えて、もっと向上させて強くさせてもっとまともに、あたしの夢をすべてかなえてって、ついに答えが」
「どんな?」
「あなたよ。あなたの中にあたしが夢見たすべてがあるの。そうよ 夢を手にしたのに気づかなかったの。目の前の幸せを逃すのは大嫌いなのに」
あとはどんな展開になるのか想像はたやすい。そう、母娘はしっかりと抱き合う。この場面の撮影は午前三時だったと監督のカーリーは言い、サンドラが本当に泣くのでしばしば中断したと。それを聞くと午前三時に周囲にカメラや監督ほかのスタッフに囲まれて感情移入できるなんて、やっぱりプロなんだと変なところで感心したりする。このシーンのサンドラの涙は、ホンモノだった。
それにヴィヴィを演じたエレン・バースティンが、七十歳に近いのになかなかチャーミングだった。
             
チョット余談になるが、この映画の挿入歌の一つ「Sitting in the window of my room」を歌っているブルー・グラス系のアリソン・クラウスがほぼ10年前の地味な印象から、目を見張るほど色っぽくなっているのには驚いた。アリソンの透明感のある歌声は変わらない。これはDVDのミュージッククリップに入っている。
       
  左からほぼ10年前そして最近のアリソン・クラウス

監督 カーリー・クーリ1957年11月テキサス州サンアントニオ生まれ。‘91「テルマ&ルイーズ」の脚本を担当、この映画が初監督。
              
キャスト サンドラ・ブロック1964年7月ヴァージニア州生れ。
エレン・バースティン1932年12月ミシガン州デトロイト生れ。
’74「アリスの恋」でアカデミー主演女優賞受賞の実力派女優
アシュレイ・ジャッド(若い頃のヴィヴィ)1968年カリフォルニア生れ
フィオヌラ・フラナガン1941年12月アイルランド、ダブリン生まれ
ジェームズ・ガーナー1928年4月オクラホマ州生まれ。
TVシリーズ「ロック・フォードの事件メモ」が有名。
シャーリー・ナイト1936年7月カンザス州生れ。
マギー・スミス1934年12月イギリス生れ。

スポーツ:大リーグ 腑甲斐ない!松坂、井川。

2007-09-23 14:12:26 | スポーツ

 日本時間9月23日行なわれたヤンキースVSブルージェイズ、レッドソックスVSデヴィルレイズの試合があり、井川と松坂の無様な様子が腹立たしい。

 特に井川、マイナーで調整したとはいえ1点リードされた8回二死から今シーズン17試合しか出ていない安打4、本塁打1打率0.174のルナにアウトコースをライト前にはじき返され1点追加される。
 この程度の打者を抑えられない井川は、9回リベラのウォーミングアップの時間稼ぎにマウンドで投球練習の形をとらされるという屈辱的な扱いになった。これで井川のシーズンは終わっただろう。

 今日の松坂はいい時と悪い時がはっきりとしていて、7回二死から二人を四球で出してしまい、今日本塁打を打たれているペーニャを迎えたところで降板、救援のサウスポーのロペスがまたもや本塁打を打たれ6-5と逆転される。
 チームは9回に3点を挙げて8-6と勝ったのはいいが松坂には勝敗はつかなかった。松坂は試合間隔が長いほど好投するというデータがあるが、今日はそれを裏切った形になった。
 試合間隔を長く取ったのは、プレイオフを睨んだ監督の判断という。それにしても、現役の野茂が中四日を守っていくのが、先発投手の一番の役目だと何度も言っていたのを思い出す。

読書 パトリシア・コーンウェル「捜査官ガラーノ」

2007-09-20 11:41:17 | 読書

              
 父親が黒人、母親がイタリア人のウィンストン・ガラーノ(ウィンまたはジェロニモと呼ばれている)は、なめらかな褐色の肌、漆黒の髪、そして気分によって変化する瞳の若い捜査官である。
 好みは高級ブランド品、といってもすべて中古品だが。ヒューゴボス(ドイツの紳士服メーカー)のスーツ、プラダ(イタリア)の靴それに軍用車両のハマーを民生用にドレスアップしたハマーH2(麻薬の売人が所有していたもの。押収され、競売にかけられたのを二束三文で手に入れた)、
              
               軍用ハマー        
             
             民生用にドレスアップされたハマーH2
 ハーレーのロードキング(ローン未払いのため回収されたもの。大事に使われていて、状態がよい)という具合。
             
 ただ常に乗っているのは警察の覆面パトカーか祖母のおんぼろビュイック。

 いずれ知事にと野心的で美人の魅力的な地区検事モニーク・ラモント。ウィンの上司は、このモニーク・ラモントだ。ある夜、自宅で暴漢に全裸で縛られてレイプされたところへウィンが飛び込み犯人を射殺する。
 もともと権力志向の強いモニークは、犯罪撲滅キャンペーンで二十年前の迷宮入り事件を解決して地位を不動のものにという思惑から、ガラーノに老婦人が殺害されたフィンリー事件の再捜査を命じていた。その最中に自身も事件に巻き込まれてしまう。そこには政治的な策謀が渦巻いていた。

 わずか250頁ほどであるが、やはり実力派の作家でスリルとサスペンスで味付けして性的な匂いも少し漂わせて読者サービスにも配慮してあった。パトリシア・コーンウェルの新シリーズかと思ったが、いまのところ確かではなさそうだ。



スポーツ:大リーグ 松井先発外される!

2007-09-17 13:51:50 | スポーツ

              
 ヤンキースはレッドソックスとのスリー・ゲーム・シリーズを2勝1敗で終えた。しかし、ディヴィジョンでの優勝は厳しい。ワイルドカード狙いに絞られる。
 打撃不振で苦しんでいる松井は、ついに先発から外れた。この時季に休養のためとは考えられない。引っ張ってライト方向に打球が飛ぶのが多く、相手投手も調子を落としているのが分かっているようで簡単にストライクを先行させることが多くなっていた。
 それに、レフト方向の打球に力強さがない。ポストシーズンで欠かせない松井には早く調子を取り戻すことだ。それにしても9月に入って、急に打撃不振とは考えられない。
 井川はなんとか40人枠には入っているが、今日17日(日本時間)でも1対1の同点のときは、ブルペンで投球練習していたが、8回ジーターの3ランホームランで、出番がなくなった。
 おそらく、リードされているとき左打者に対してワンポイントの使い方をされるだろう。落ちた信頼を取り戻すのは容易ではない。

映画 ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ「愛と哀しみの果て(‘85)」

2007-09-15 15:03:52 | 映画

             
 製作年度で見ると、メリル・ストリープが36歳、ロバート・レッドフォード48歳の作品。クレジットの順番は、ロバート・レッドフォードが先に来てそのあとメリル・ストリープになっていた。主人公はあくまでもカレン(メリル・ストリープ)であるが。年の功か?
 デンマークの作家アイザック・ディネーセン本名カレン・グリクセン(1885年4月生~1962年9月没)のアフリカでの生活をベースに書かれたもの。雄大はアフリカの真っ赤に燃える落日や動物たちや木々、薄雲が浮かぶ空をバックにカレンのナレーションで幕が開かれる。
 “彼は(デニス=ロバート・レッドフォード)、サファリにも蓄音機を携えてきた。猟銃3丁と一ヶ月の食料とモーツアルト。
 わたしたちの友情は贈り物で始まり、サーボの出来事(複葉機の墜落事故)の少し前に、彼は素晴らしい贈り物をくれた。
 神の目から見た世界を(デニスが操縦する複葉機で空から見たアフリカ)。私は思った、これこそ神の意図された世界なのだと。私は彼以外の人々を書いてきた。彼らを書くことのほうが容易だからだ。彼は私を待っていた。
 話をとばすのはやめよう。彼が嫌う。デニスは上手な話を好んだ。私はアフリカのンゴングに農園を持っていた”

 カレンは行動的で意思堅固、自分の身分に安住しないで汚れ仕事も嫌わない。
一方サファリを業とするデニスは、何かに縛られるのを嫌い自由でありたいと考えていた。二人は出会い愛し合うようになって、デニスも彼女の家に移ってくる。
 しかし、彼の留守がちな仕事は二人の仲に溝が出来、ついにデニスは彼女の家を出る。悪いことに真夜中コーヒー園の建物が全焼して、彼女は無一文になる。
 カレンはデンマークに帰ることに決めて、がらんとした部屋で一人食事中、デニスがやってくる。飛行機でモンパサまで送ろう。サーボでの仕事のあと戻ってくると言った。彼は戻ることはなかった。墜落事故で死亡したという。

 葬儀をはじめすべてを片付けて、鉄道駅で執事のファラ(マリック・ボーウェンズ)との別れが印象的だ。デニスから貰った磁石をファラにプレゼントのあと、列車に向かいかけて「私の名前を言って」するとファラは「あなたはカレンです」カレンは小さく微笑んで列車に向かう。
 このときのカレンの表情やファラの表情は、大泣きするようなこともなく、ごくさりげない仕草がかえって印象を強くしていた。
 そしてエンディングのナレーション“今日友達からこういう手紙が来た。「マサイ族からンゴングにこういう報告が。夜明けと日暮れ時になるとしばしば彼らはデニスの墓にライオンを見かける。雄と雌のライオンが長いこと墓に立ったり寝そべっている。
 あなたが去ったあと、墓の周囲は台地のように平らにならされライオンたちのかっこうの場所になったのです。平原をどこまでも見渡せて、牛や獲物がよく見えるのです」
 デニスが喜ぶ話だ。必ず彼に聞かせよう。もしデニスが生きていれば、二人は睦まじいカップルになっただろう。デニスはがらんとした部屋でカレンに言った。「君に破壊されたよ。僕の孤独を」全編に流れるジョン・バリーの曲も画面とよくマッチしていた。
 なお、この作品のベースとなった「アフリカの日々」は、カレン・グリクセンがアイザック・ディーネンセンという男名で発表したものだという。
             
 映画は、‘85年アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞。作曲賞、美術監督・装置、音響賞を受賞。主演女優賞メリル・ストリープはノミネート。助演男優賞クラウス・マリア・ブランダウアーもノミネート。
 監督 シドニー・ポラック1934年7月インディアナ州ラファイエット生まれ。当初俳優を目指す。テレビ監督から’65年映画監督デビュー。’69「ひとりぼっちの青春」がアカデミー賞9部門にノミネートされ有名になる。
 キャスト メリル・ストリープ1949年6月ニュージャージ州生れ。
 ロバート・レッドフォード1937年8月サンタモニカ生れ。
 クラウス・マリア・ブランダウアー1944年6月オーストリア、バート・アウスゼー生まれ。
 マリック・ボーウェンズ、ジョセフ・シアカ、スザンナ・ハミルトンほか

スポーツ:大リーグ ムシ―ナ、松井復調か? マリナーズのポスト・シーズンは?

2007-09-13 16:12:46 | スポーツ
マイク・ムシーナ        
 9月12日(現地時間)のブルージェイズとの試合で、6回途中まで5安打無失点の好投をみせ、8月11日以来の9勝目を挙げている。久々のムシーナらしい投球で、次回登板も好調ならワイルド・カードを制しポスト・シーズンで期待される。
松井秀喜
 9月に入って打率が一割以下という極端な不調にもがいていた松井は、初回2死一・二塁でレフトオーバーの二塁打を放ち、ムシ―ナの好投を引き出す。
 チームはこれで7連勝となりディヴィジョン優勝も可能となった。ただ明日(9月13日現地時間)のブルージェイズとの試合でより明確になるだろう。

マリナーズ
 残念ながらマリナーズは、ポスト・シーズンに残るのはムリだろう。ついこの間の9連敗が相当な痛手となった。
 マリナーズは、ヤンキースと比べると、ヤンキースはオールスターキャストとでもいう個々の選手の魅力にあふれている。マリナーズはといえば、イチロー、城島以外に見当たらない。
 イチローの200安打も魅力だが、ここというときのホームランも野球の醍醐味だ。それを期待できる選手がいない。ベルトレーやセクソンは穴が多すぎる。
 アメリカン・リーグのワイルド・カードを争っているヤンキース、タイガース、マリナーズの中で見たいチームとなれば、ヤンキースに軍配が上がる。マリナーズのGMはシーズンオフに相当のトレードで魅力的なチームづくりを求められている。イチローの長期契約に応えるためにも、人心を一新して欲しい。

読書 田中森一「反転」

2007-09-11 14:38:27 | 読書

              
 今書店で目立つところに置いてあるノンフィクション。図書館でこの「反転」を検索するとリクエストが長蛇の列になっていた。いつ読めるか分からないので、手に入れてみた。
 一言で言えば、そんじょそこらのフィクションとは比べ物にならないほど興味深く、日本社会の裏側を覗いた気がする。
 凄腕検事が敏腕弁護士に転身して覗いた裏社会とそれにからめとられて詐欺罪懲役三年の判決を受けるまでを反省も込めて語られる。

 政治家、銀行家、それに検察や警察に加え裏社会のヤクザに至るまで、突き詰めれば同じ穴の狢(むじな)だった。この田中森一という人の半生記で意外な裏話が、ぞくぞく出てくる。その中で思いもしないことが書かれてあった。

「ヤクザは刺青のせいで皮膚呼吸ができず、肝臓を悪くしているケースが多い」全身に刺青をするとこういうことになるのだろう。
 山口組のNo2と言われた宅見組長も肝臓疾患を抱えていて、外為法違反事件で略式起訴になって終結、そのあと休養も兼ねて病院に入ったがマスコミの二十四時間監視にあい、海外の病院でと言うことになった。
 そのときに頼ったのが故安部晋太郎、安部総理の父だった。安部晋太郎は細かいことは聞かず駐仏日本大使を通じて手配されたという裏話。

 全体として非常に人間臭く、表社会も裏社会も人間の業(ごう)をさらしている。著者は、1943年、長崎県生れ。岡山大学法文学部在学中に司法試験合格。71年検事任官。大阪地検などを経て東京地検特捜部で撚糸工連汚職、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。87年弁護士に転身、2000年石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に逮捕、起訴される。

読書 高杉 良「混沌」

2007-09-07 10:01:17 | 読書

              
 上下巻800頁以上になるが、読ませるというものではない。バブルがはじけて金余りで浮かれ騒いだツケが巨額の不良債権として金融界を大津波のように襲った。 日本の超一流といわれた銀行が軒並み傾いた。税金の注入で一息ついたものの、単独では立ち居かない銀行も多く合併が促進された。
 いまの銀行名で、旧銀行を推し量ることは出来ないくらい合併に次ぐ合併だった。そんな状況を一都市銀行の広報部長竹中治夫の目を通して描かれる。ただ、出てくる人物の特徴、例えば身長や体つきルックスそれに着ている服装などが書き込まれていないので人物像を具体化できない。

 例えば、不倫相手の24歳の恋人などに苛立ちを覚える。美人というだけでイメージをこちらに任されたままだ。たまに服装にふれているが、若い恋人の淡いブルーの上着にベージュのスラックスだったかスカートのどちらかだったが、この配色はメリハリに乏しく野暮ったい。
 ロンドンのビジネススクールに留学するほどの女性なら、もう少し垢抜けしてもよさそうだ。それ以外にも首をかしげたくなるのが多々ある。そんな具合に全体として垢抜けない。
 
 物語はまるで舞台劇のように、動きが少なくほとんど銀行の内部でのやりとりで退屈する。それに会話に緊迫感がなくしかもサラリーマンのペコペコする様が嫌になる。
 ここに書かれているような、歩いて十分ほどの相手銀行に行くのに社用車を使うとか。部内の打ち合わせに秘書を煩わしてお茶を出させるなどがある。
 実際にこんなことをしているのだろうか? だとすれば昔の企業体質から抜け出ていない。効率も悪いし行動力を疑う。これでは外資にしてやられるのは目に見えている。意識の転換が急がれる。

 800頁にも及ぶ長大さに、なぜなのだろうと思っていると、巻末に初出として東京スポーツ2003年4月8日~2004年4月4日までの新聞連載とあった。要領よく書けば400頁で充分だろう。いずれにしても、この作家のほかの作品を読むことはないだろう。
 ちなみに、著者は1939年東京生れ。科学業界専門誌の記者、編集長を経て、‘75年「虚構の城」でデビュー。以来、綿密な取材に裏打ちされたリアリティに富む経済小説を次々に発表と図書館の検索ページにあった。

9月3日の新聞から――

2007-09-03 15:41:45 | 時事

 わたしはいまのところ読売新聞を購読している。いまのところと言ったのは、よく変わるからだ。どの新聞でもいいので、妻が拡張販売員の口車に乗せられた結果の新聞を読むことになる。
 その読売新聞に「ワールド・ビュー」というコラムがある。今日はワシントン支局長大塚隆一氏のコラムで、「ブッシュ氏、確かに変わった」というタイトルの記事の中で気づいたのがある。
 先月30日、ホワイトハウスで内外の記者団とのインタビューでの印象があった。結構ジョークを飛ばし陽気で楽天的なジョージ・ブッシュを演出していたようだ。
 それに“対抗馬だったアル・ゴア、ジョン・ケリー両氏はともにエリート然とした堅物タイプだった。米国人の多くは大統領に「指導力」「強さ」「倫理」などとともに、ある種のチャーミングさを求めているのだと思う”と書いてあった。
 チャーミングを女性の魅惑的だけに断定しないで、明るい個性と思えばいいかもしれない。明るい個性をもっと具体的には、やはりユーモア感覚といえるのではないだろうか。
 ところで安部首相をはじめ政権の閣僚に、指導力、強さ、倫理、明るい個性の四つを当てはめてみると、どうでしょう四つとも備えている人がいますか?残念ながらいないようですね! 
 当意即妙に政府の高官らしい上質のジョークを今まで聞いたことがない。まだまだムリなんだろうね!