NHKの大河ドラマは、1973年第11作目の「国盗り物語」以来、観ていない。40年間も観ていないのに、今何故観るのか。
きっかけは司馬遼太郎の黒田官兵衛を描く「播磨灘物語」だった。この作品以外にも脇役として、たびたび登場していてその人柄に惹かれたからだ。官兵衛がいなかったら、秀吉も天下を手にしたかどうかは怪しいものだ。
その人柄の一端は、築城の名手であり倹約家でもあるが金の使いどころを心得ているようだ。合戦となれば兵を集めねばならない。そのとき支度金を惜しまず二度も受け取ろうとする者に対しても笑いながら与えたとか、主君のために家臣が追腹を切ることを禁じたりした。
後年出家して如水を名乗ったが、その由来を戦国時代に布教したポルトガル出身の宣教師ルイス・フロイスによれば、「官兵衛は剃髪し、予の権力、武勲、領地、および多年にわたって戦争で獲得した功績、 それらすべては今や水泡が消え去るように去って行ったと言いながら、ジョスイ、すなわち水の如し、と自ら名乗った」と記している。なんとも飄々として後顧の憂いもない。
さて、ドラマの方は? う――ん……音楽が印象に残らないし惹きつける力強さに欠けるかな。小説や映画も導入部に成否がかかっている。背景の合戦には事欠かないから退屈な仕上がりにはならないだろう。少なくとも1月中は観るつもりだ。
テレビをあまり観ない私にとって久しぶりのドラマで気づいたことがある。出演の俳優の歯が白いことだ。ホワイトニングなんだろう。アメリカではビジネスマンでもホワイトニングで歯を白くして相手に印象をよくしようとしているから、かなり遅れて日本でもその風潮になってきたのかもしれない。いずれにしても口元のキレイなのは歓迎すべきことだろう。
それに今朝のTBSの番組でこの大河ドラマにかなりの宣伝費が使われているようなことを言っていた。電車の中刷りや新宿あたりの通路に大々的な広告が見えるらしい。NHKは受信料で賄っているし赤字覚悟の番組も許容されているはずだ。民放のような宣伝活動をするなら、受信料を値下げしてもらいたい。NHKは民放と張り合う必要はない。