今、3本のドラマを並行して観ている。
「野望の階段」は、ケヴィン・スペイシーが主演したリメイク版がアメリカ製なら、こちらの「野望の階段/ハウス・オブ・カード」は、元祖イギリス製。政治ドラマ3部作で1990年から放送された。
シェイクスピア俳優といわれるイアン・リチャードソンが狡猾で殺人をも辞さないという恐ろしい人物を演じる。与党の院内幹事長から首相へと、妻エリザベスの助言に支えられて昇り詰めるフランシス・アーカート(イアン・リチャードソン)。
傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲など人間の持つ負の側面が見事に描写され、一点の曇りもない人間なんてこの世に存在しないかの様なドラマだ。
フランシス・アーカートが、自分の力で首相に昇りつめたと思うのは大きな誤りである。妻エリザベス(ダイアン・フレッチャー)の助言は、大胆かつ強引。円滑な党運営に注力しなくてはならない院内幹事長としては、国民の支持が最大の目標。そのためにはマスコミをどのように味方につけるかが課題だ。
若い女性記者マティが現れる。若いマティにとって院内幹事長という権力者と身近に接してみて、経験豊富で理知的な男の姿は理想的に思えた。
そんなマティの心情を素早くキャッチしたエリザベスは、夫アーカートに「今夜は郊外の自宅で過ごす。あなたはここでマティと」
つまり暗にマティをベッドに誘えと言っているのだ。これだけでもすごい女と思う、が結局、最後にはフランシスが暗殺されて終わる。
それはすべてにエリザベスが書いた筋書きだったのだ。この世は、男がすべて支配していると思っては大間違いなのだ。実態は女に支配されているのだ。
第一、平均寿命からして女の方が長い。さらに先立った夫を悲しむのも一瞬のことで、一週間もすれば解放感に包まれ笑顔がはじけ飛ぶ。そんなことを思わせるドラマだった。
「ドクター・マーティン」は、優秀な外科医としてロンドンで働いていたマーティン・エリンガム(マーティン・クルーンズ)が血液恐怖症(こんな病気があるんだろうか)を発症、外科医としては致命的、したがって手術のない町医者をするしかない。
やってきたのは、漁港を抱えた小さな村。マーティン・エリンガムは、医師としては非常に優秀なんだが、相手の気持ちを思いやる心に欠けている人物でもある。ロマンスにも縁遠い。
しかし、地元小学校の校長ルイザ(キャロライン・キャッツ)がマーティンに興味を示し、マーティンもルイザに関心を持っていたせいもあって、紆余曲折の末、結婚する。
この二人を中心に警察官、元配管業のレストランオーナー親子、マーティンの姉、薬局店主などなど市井の人々が織りなす人間模様をコミカルに描く。
それにしても村の中の道は狭い。日本製の車が多い。マーティンの乗るトヨタ・レクサス、レストラン親子が持つスズキの軽自動車、亡くなったがマーティンの伯母は、トヨタのトラックという具合。2004年から2019年まで放送されたイギリスの人気ドラマ。
「ブラックリスト」
「最重要指名手配を受ける超A級犯罪者レイモンド・“レッド”・レディントンが突然、何の前ぶれもなくFBI本部にみずから出頭し、特殊作戦本部で厳重に拘束される。レッドは、ある人間としか話さないという。その人物とは、FBIアカデミーで訓練を終えたばかりの新人女性捜査官エリザベス・キーン。
世界の犯罪者の間で“犯罪コンシェルジュ”と呼ばれるレッドは、20年かけて集めた世界中の犯罪者の情報“ブラックリスト”を合衆国に提供すると申し出る。
果たして、レッドの目的は人類の救世主になることなのか、それとも悪の頂点に立つためなのか。そして、レッドとエリザベスの知られざる関係とは一体…!?」というソニー・ピクチャーズのキャッチコピー。
レイモンド・“レッド”・レディントンをジェームズ・スペイダーが、新人FBI捜査官エリザベス・キーンをメーガン・ブーンが演じる。
ジェームズ・スペイダーは、2004年から2008年にかけて放送された弁護士物「ボストン・リーガル」でアラン・ショア役でプライムタイム・エミー賞の最優秀主演男優賞を2回受賞していて、私もファンの一人。
見始めるとやめられないという本作で、メーガン・ブーンはトップスターに躍り出た。
「野望の階段/ハウス・オブ・カード」は観終わったので、夕食後「ドクター・マーティン」と「ブラックリスト」を観てから就寝という日が続いている今日この頃なのだ。