日米合作で恐らく日本以外ではあまり注目されそうもない。観た限りでは、特別印象に残らなかった。ではあるが、マッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)とこのフェラーズ准将(マシュー・フォックス)が連合軍にいなかったら、日本はどうなっていただろうか。
天皇の処刑によって国内が不安定になり、アメリカの軍政を敷かなくてはならなくなる。それは占領統治の目的にも沿わない。日本の共産主義化も心配だ。従って、ちょっと背筋が寒くなるのも確かだ。
公平な映像表現で好感が持てるが、インパクトに欠ける気がする。フェラーズ准将の日本人女性アヤ(初音映莉子)との恋と昭和天皇の戦争責任の証拠を集める軍務との同時進行がやや散漫なところにある。このアヤを演じた初音映莉子も印象が薄い。
それにしても皇宮警察の威張り方は半端じゃない。フェラーズ准将が関屋貞一郎宮内省次官に会うために、マッカーサー元帥の添え状を持参しているにもかかわらず、しかも敗戦後なのに連合国軍人が皇居に入るには、皇宮警察の許可がいったんだろうか。連合軍総司令官マッカーサー元帥が、日本の皇室に敬意を表したと言えなくもないが? ちょっと解せないことではある。
このフェラーズ准将は、実在の人物で「1896年アメリカ・イリノイ州生まれ。 太平洋戦争において、心理作戦のプロとして働き始める。1944年マッカーサーの軍事秘書官となり、1945年8月日本進駐。翌年7月に帰国。1947年に発行された「リーダーズ・ダイジェスト」誌には「降伏のために戦った天皇裕仁」と題して、昭和天皇を讃えた。1971年、日本政府はフェラーズに対し、日米親善に尽くした功績を讃え、勲二等瑞宝章を授与。その申請書にはこう書かれていた。「ボナー・フェラーズ准将は、連合国軍総司令部に於ける唯一の親日将校として天皇陛下を戦犯より救出したる大恩人である」とウィキペディアにある。映画では、その辺の事情が描出してある。
監督
ピーター・ウェーバー1968年イギリス生まれ。
製作
奈良橋陽子1947年6月千葉県市川生まれ。関屋貞一郎宮内次官(1896~1973年77歳で没)の孫にあたり、息子は俳優の野村祐人。
キャスト
マシュー・フォックス(フェラーズ准将)1966年7月ペンシルベニア州生まれ。
トミー:リー:ジョーンズ(マッカーサー元帥)1946年9月テキサス州生まれ。
初音映莉子(フェラーズの恋人アヤ)1982年3月東京生まれ。
西田敏行(鹿島大将)1947年11月福島県郡山生まれ。
片岡孝太郎(昭和天皇)1968年1月京都生まれ。