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気軽に発信します。

音楽「大晦日12月31日生まれ!!!」

2019-12-31 09:24:55 | 音楽

 今日は大晦日、この忙しいときに生まれてきた人もいる。さぞ、母親は気ぜわしい思いで出産を急いだであろう。そんな中で名前の知っている人を挙げてみると、ジョン・デンバー、ドナ・サマー、津田梅子、林芙美子、倉本聰、俵万智、小錦八十吉など。

 まずジョン・デンバー(John Denver)。1943年12月31日生まれ。1997年10月12日に自ら操縦する飛行機事故でこの世を去る。53歳。

 ジョン・デンバーは、シンガソングライターとして1970年代のフォークソング界の中心的な存在だった。私も青春真っただ中、LPレコードで楽しんだ。「カントリー・ロード」「悲しみのジェットプレーン」「太陽を背にうけて」「緑の風のアニー」などのヒット曲がある。

 「緑の風のアニー」を聴きましょう。この曲は最初の妻のアニーとミネソタ州の州立公園を散策していた時、素晴らしい景色を妻に重ね合わせ抒情的に表現したもの。1947年7月2週間にわたり全米No1を記録。

夜の森のように

春の山のように

雨の中を歩くように

砂漠の嵐のように

眠たげな青い海のように

あなたは私を満たしてくれる

 

 ドナ・サマー(Donna Summer)、1948年12月31日に生まれ2012年5月17日63歳で他界。シンガソングライターで5回のグラミー賞受賞歴がある。1970年代ディスコ・ミュージックの第一人者として、異名を「ディスコの女王」と呼ばれ一世を風靡した。

 主なヒット曲は、「ホットスタッフ」「愛の誘惑」「アイ・フィール・ラブ」「マッカーサー・パーク」「ラスト・ダンス」など。ここでは1978年の「ラスト・ダンス」を聴きましょう。円熟したドナ・サマーに聞き惚れる。

あとの日本人は、どなたもご存じで詳細は割愛。

 それより、来年がいい年でありますように、私の好きなエミルー・ハリスが歌う愛の歌「Today I started loving you again」も聴いてください。

今日、再び愛が芽生えた

ずっといた場所に戻ってきた

心の痛みも乗り越えて

そして今日、あなたを愛し始めた


政治「???秋元議員逮捕は、アメリカの警告か」

2019-12-28 17:34:01 | 政治

 保守系のネットチャンネル「チャンネル桜」の水島総キャスターが1225日の放送で、秋元議員逮捕は安易な日中接近への警告と受け止めるべきだという。

 アメリカ合衆国大統領直属のCIA(中央情報局)は、日本の政治家の金や下半身事情まで把握していて、ときに応じて週刊文春のようなメディアにリークしているという。今回は、直接捜査当局にリークしたのかもしれない。

 12月26日朝刊に週刊文春は新聞広告を出している。「進次郎政治資金で不倫ホテル代」と白抜き大文字で謳う。これもCIAのリーク? 

 CIAは日本支局を持っていて、拠点はアメリカ海軍管理の東京・南麻布にあるニュー山王ホテル(U.S.Naval Joint Services Activity The New Sanno)になっている。このホテルは米軍関係者以外は利用できない。

 自民党には親中派がいて財界の後押しもあるのだろう中国寄りの人間も多いらしい。菅官房長官や二階幹事長の名前がある。二階派に所属するのが、この秋元なのだ。この秋元、脇が甘いと言われても仕方がない。

 中国企業の「500.com」なんてスポーツやロトなどのオンラインくじで成長し、中国政府がオンラインくじを規制強化したため株価が暴落し売上高が10分の1に減少したため赤字が続くというではないか。カジノ経営経験なんてゼロ。なんでそんな会社と付き合うのだろう。

 尖閣諸島で中国公船の度重なる領海侵入や新疆ウィグル地区の人権弾圧など国際ルールを無視した中国に、「チャンネル桜」は習近平主席の国賓としての来日に反対している。「チャンネル桜」ばかりでなく保守系のネットメディアに出演する多くの人たちの反対も多い。自民党内にも反対の声があり、おそらく少なく見積もっても50%以上の国民は反対だろう。国賓となれば天皇陛下との謁見がある。かの国の評価は決して高いものではなく、「チャンネル桜」も謁見は天皇陛下を政治的利用にあたると猛烈に反対している。

 今の日本の対中国政策は、国際情勢から見て真逆としか見えないという人もいる。なぜ安倍首相は国内での批判を無視してこれを推し進めようとしているのか。アメリカとも暗黙の了解を得ているのではないかという説には、国際政治学者藤井厳喜さんは否定している。

 もう一つ考えられるのは、中国からの「訪日であれば国賓待遇」という要請である。「国賓扱いによる接遇はあくまで儀式的なものであり、接遇による差異が訪問者や当該国に対する特段の政治的意味合いを持つ訳ではない」とは言うものの、今年の「トランプ大統領、異例の厚遇 国賓で25日来日」という新聞の記事にもあるように拘る人もいるかもしれない。
 アメリカに対抗する大国中国という自負があれば当然要求してくるだろう。多面的外交を標榜する安倍首相としては受けざるを得なかったともいえる。

 トランプ大統領も今のところ沈黙である。CIAが大統領直轄なら、秋元をリークしたのもあながち的外れでないかもしれない。いずれにしても吉と出るか、凶と出るか今後の推移を注視しよう。沈黙の矢が放たれたか。



ドキュメンタリー「グレート・ハック:SNS上最悪のスキャンダル」NETFLIX

2019-12-25 16:17:34 | 映画

 このThe Great Hackは必見のドキュメンタリーだ。SNSSocial Networking Service)が社会的ネットワークとして格段の広がりを見せている現代。嘘の情報拡散や個人情報の盗取など負の側面が顕著になってきている。さらに民主主義の根幹にかかわる大問題が浮上した。

 「告発」という本が最近発売された。書いたのはブリタニー・カイザーという女性。一方『国の行方を左右する選挙や国民投票で、カウンター・テロの技術が、投票を左右するために、有権者を標的に応用されていたーー。まるでスパイ映画のようなシナリオが、米英で「実演」されていた。「私はスティーブ・バノンの心理兵器を作った」。英国の大手紙・オブザーバーに、こんな衝撃的な見出しが躍ったのは、今年3月のことだ』と20181116日付で日経ビジネスにインタビュー記事として掲載された。

 心理兵器を作ったとして告発したもう一人の人物は、データサイエンティストのクリストファー・ワイリー29歳だ。ブリタニー・カイザーとクリストファー・ワイリーは、英国の軍需関連企業SCLグループの一員ケンブリッジ・アナリティカ社(Cambridge Analytica)に所属していた。ブリタニー・カイザーは、事業開発部長という肩書を持っていた。

 民主主義の根幹にかかわる問題というのは、2016年の大統領選挙でトランプ陣営がフェイスブックで590万の広告を打った。この広告が問題なのだ。CA社の役員でもあったスティーブン・バノンが選挙対策本部長を務め、CA社の研究成果を駆使したキャンペーンを展開した。

 2017年現在で月間アクティブユーザー207千万のフェイスブックの「いいね(Like)」を起点に人物像の解析結果を利用した。一人の人間のすべて、いい面も悪い面も知ることができる。行動は性格に起因し、行動が投票に影響するというわけで、特に態度を決めかねている人々を集中的にターゲットとした。トランプを擁護するとともにヒラリーを徹底的に攻撃した。しょっちゅうそのような動画付きメールを受け取っていれば気持ちはトランプへとなびく。

 ほとんどのメディアがアメリカ合衆国初の女性大統領誕生を予測した。結果は全く違った。これらを含めこのドキュメンタリーは、ドラマチックに描き警鐘を鳴らす。

 選挙民を意図的に操るという問題を今後どう扱うのか、さらに個人のデータの行方も気になるところ。データの価値が石油の価値を上回ったと言われるデータは誰のものか?。この事件以来、CA社は活動を止めているが、法的責任を逃れるため会社清算をしていないという。

 ブリタニー・カイザーは、データ権の専門家となり#OwnYourData運動を通じ政治家に協力、彼女の提供した証拠がブレグジットやデータ保護法についての議論の流れを変えたとテロップが流れる。

 企業はデータがユーザーの所有物であることを認めるべきだという声の高まりを期待したい。ネットで検索し「買い物」「記事を読む」「映画やドラマを観る」「人と交流する」「ブログで発信する」「画像や写真をアップする」「メールをする」「チャットをする」そして「いいね」を押しまくると私は丸裸にされ持病や飲むクスリまで分かってしまう。データはユーザの持ち物だ。


監督

カリム・アーメル出自未詳 

ジェヘイン・ヌジェーム(女性)19745月エジプト、カイロ生まれ。



音楽「O Holy Night(さやかに星はきらめき)」

2019-12-23 10:16:28 | 芸能
 クリスマス・ソングと言えば「きよしこの夜」や「ホワイト・クリスマス」「赤鼻のトナカイ」[「ジングル・ベル」などおなじみの曲が街に流れている。私は無神論者で宗教には全く見向きもしない。しかし、音楽には関心があるので信者ではないが、クリスマス・ソングは聴く。

 12月21日読売新聞夕刊に、作曲家の池辺晋一郎氏のコラムがあった。その中でクリスマス・ソングを1曲と言われたら、「オー・ホーリー・ナイト(さやかに星はきらめき)」に尽きると断言されている。ポピュラー・ソングのクリスマス曲もいいが、宗教的な讃美歌も敬虔な気持になっていいものだ。

 私もクリスマスいいとこ取りの一人なのだ。クリスマスの夕食は、どうしてもそれらしきものになる。我が家で今年予定するのは、ローストチキンとスペイン料理のアヒージョ。アヒージョは、定番のエビでなく、ムール貝を使おうと思う。

 そして聴くのは池辺晋一郎氏推薦の「O Holy Night」。マライア・キャリー、ルチアーノ・パヴァロッティ、ジョシュ・グローバン、セリーヌ・ディオンなどが歌っていて、ここではジョシュ・グローバンの歌唱を聴きましょう。ジョシュ・グローバンは、1981年2月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれで、主にテレビの世界で仕事があるようだ。NHK「土曜スペシャル 負けて勝って~戦後を創った男吉田茂」(2012年9月~10月放映)の主題歌「この先の道」を日本語(たどたどしいが)で歌っている。
Josh Groban - O Holy Night [with lyrics]


芸能「芸能事務所に迫る公正取引委員会」

2019-12-19 15:36:41 | 芸能

 12月13日「人気タレントが、独立した途端にテレビやメディアから干されて消える」。長い間、ささやかれてきた芸能界の慣習に公正取引委員会が切り込んだ。 という書き出しの日本経済新聞電子版。

 一連の芸能界の騒動を見て、芸能事務所はまるで置屋だと思った。置屋というのは芸者や遊女を抱える家。料亭や旅館の求めに応じて派遣する。従って彼女たちは家に所属する。芸能人も事務所に所属していると言える。実に古い因習が21世紀の時代にも続いている。どうやら日本人は改革という言葉が嫌いなようなのだ。

 日本のプロ野球、セパ交流戦が始まったのは2005年。これより前、1997年にはアメリカ・大リーグがアメリカン・リーグとナショナル・リーグがインターリーグとして公式に行っていた。ファンの希望を取り入れたとはいえ盛況が続いた。

 遅れること8年でようやく実現したセパ交流戦。この例を見てもとにかく動きが遅い日本だ。野球界を改革してアメリカが見習うよなことをしてみろ、 と言いたい。

 芸能界はまだまだ江戸時代か、 という揶揄もあながち的外とは言えないかもしれない。アメリカのエンターテイメント界やスポーツ界では、エージェント(代理人)とクライアント(顧客・取引先)という関係が確立している。あくまでも対等でクライアントの契約金額の10%~20%がエージェント料としている。

 エージェントも大小様々でクライアントの成長に従い小から中、大へとエージェントが代わっていく。しかも大であっても同じ大に契約変更は日常茶飯事。集団を尊重する日本と個を尊重するアメリカといえる。

 日本は演技から売り出しまですべてを指導する芸能事務所。アメリカは個の努力次第。若手のその他大勢組は、あらゆるオーディションを受けまくり演技力を醸成していると聞く。そのオーディションもネットで募集していて誰でもいつでもOKというのを聞いたことがある。

 自分のスキル・アップと与えられる機会均等に挑戦できるアメリカ。スキルを磨くのには入るのが難しい有名な俳優養成所アクターズ・スタジオ。ここで演技や発声練習の勉強をする。ここを出た名優が一杯いる。アカデミー賞主演女優賞を何度も獲ったメリル・ストリープ、マリリン・モンロウ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン等々。

 日本の集団尊重は、社内教育という形にも表れている。勉強だけしか知らない学生や勉強をあまりしなかった学生の再教育とわが社の社風を植え付ける社内教育。しかし、これも時代に合わないのではないか。今の若い人に忠誠心を求めること自体がナンセンスな気がする。私は後期高齢者だが、会社なんて賃貸住宅と同じ、嫌になれば別の住宅に移ればいいと思っている。

 最近話題の不適切保険契約の日本郵政グループの経営者、こんな経営者の下で働こうとは思わない。こんな現状に公正取引委員会がどこまで芸能事務所を改革できるか見ものである。

 


海外テレビドラマ「ライン・オブ・デューティ(職務)」NETFLIX2015年から放映

2019-12-16 16:07:00 | 海外テレビ・ドラマ

 悪徳警察官を摘発するロンドン警視庁AC-12(汚職捜査班)を主体として描くクライム・サスペンス。警察官を監察する部署を核としたドラマは今までになかった。警察官を摘発する嫌われの部署だからだ。

 例えば、中央署のトニー・ゲイツ警部(レニー・ジェームス)がカフェでコーヒーを飲みながら、美人の白人女性と歓談しているとき、窓の向こうで若い男が子供連れの女性に暴行を加えているのを見て飛び出して行って取り押さえた。それを見ていたカフェの女性従業員がせめてもの敬意としてコーヒー代金をトニーに返金した。

 後日、AC-12の訪問を受けて業者から無料の役務を受けた時、内務省規定で報告しなけれなならない。その規定違反だという注意なのだ。ただ報告すればいいだけのことながら、世間の常識ではコーヒー一杯にそれほど神経は使わない。トニー警部は苦々しく思ったことだろう。

 が、大の男二人ヘースティングズ警視(エイドリアン・ダンバー)とアーノット巡査部長(マーチン・コムストン)がわざわざ出向くということは、何か裏がある。

 シーズン1からシーズン5まで、頭が切れて狡猾な悪徳警官に怒りを覚えながらドラマを追うことになる。早い物語の展開とともにシーズン2の女性警部リンジー(キーリー・ホーズ)とシーズン4の同じく女性のロズ警部(タンディ・ニュートン)の悪徳ぶりには舌を巻く。

 全てにおいて十分練られた構成は見応えは十分ではあるが、事件現場に早々に現れたりするAC-12には、果たしてそれが任務なのかと疑いたくなる。本来の監察業務から逸脱している。といって本来の業務に特化するとドラマが面白くない。架空のロンドンと思うのがいいのかも。

 それにしても階級制度のイギリスの面目躍如といったところがある。何しろ尋問は上級職が主に質問をするが下級職は上級職の許可を得なければならない。尋問前の事情を聞く場面でヘースティングズ警視と並んでアーノット巡査部長が質問すると「上級職から質問してくれ」。正式の尋問でないから誰が聞いても構わないのに嫌味な反論が返ってくる。

 アメリカの映画やドラマでこういう場面を観たことがない。このドラマは、階級制度をに皮肉っているのかもしれないが、観る人に嫌なイメージを与えかなねない。イギリスに住もうとは思わなくなる。

 ではあってもシーズン5までくると思いもつかない展開が待っている。シーズン5の終わり方から見てシーズン6がありそうだ。三人のメインキャスト、ヘースティングズ役のエイドリアン・ダンバー、アーノット役のマーチン・コムストン、フレミング役のヴィッキー・マクルアのうちシーズン5になるとマーチン・コムストンは、頬がふっくらとして少し太った感じだし、ヴィッキー・マクルアは、逆に頬がこけたようだ。

 シーズン1が2012年に制作されてマーチン・コムストンは、28歳。ヴィッキー・マクルアは、29歳。その5~6年後にシーズン5が制作された。彼ら二人は、30代中ごろで俳優としては一番いい時期ではないだろか。 このドラマの白眉は、尋問場面ではないだろうか。両者のせめぎあいは、見応えがある。それにしてもロンドンは、カラッと晴れた場面がないなあ!



キャスト
マーチン・コムストン1984年5月スコットランド生まれ。

ヴィッキー・マクルア1983年5月イギリス生まれ。

エイドリアン・ダンバー1958年8月北アイルランド生まれ。

レニー・ジェームス1965年10月イングランド生まれ。

キーリー・ホーズ1976年2月ロンドン生まれ。

タンディ・ニュートン1972年11月ザンビア生まれ。

 


映画「最後の追跡」NETFLIX2016年

2019-12-12 15:59:53 | 海外テレビ・ドラマ

 理屈抜きで観てよかったなあと思える映画だ。ただ、西部劇やカントリー・ミュージックが好みでない人にとっては評価が分かれるかもしれない。

 テキサス州の小さな町にあるミッドランド銀行。表通りから一台の車が銀行の裏口に入ってきた。それと同時に一人の女性行員が出勤してきた。女性行員が入り口に達した時、目出し帽をかぶった男二人に拳銃を突きつけられた。「さっさとしろ!」「窓口の金を出せ!」この強盗は小銭を狙っているらしい。

 銀行の開店時間前に押し入ってくるのは、下調べもせず刹那的な犯行と思える。現金類はすべて主金庫に収められていて、それを開けるには支配人の出勤時間8時半まで待たなくてはならない。襲われた方が気落ちする小物の強盗二人は、兄ダナー・ハワード(ベン・フォスター)と弟トビー・ハワード(クリス・パイン)だった。

 テキサス州にあるミッドランド銀行の小さな支店を次々に襲っていた。ちなみにテキサス州は、面積が日本の1.8倍、人口は日本の約20%程度ぐらい。砂塵を巻き上げる未舗装路が地平線の彼方へと消える風景にはだだっ広い平原以外何もない。小さな町は静まり返っていて、銀行のある商業地域も平屋が軒を連ねる。

 テキサスレンジャーのマーカス・ハミルトン(ジェフ・ブリッジス)は、定年退職を数か月後に控え頭の中では、「何事もなく時間が過ぎれくれればいいが」と思いながらデスクについていると、相棒のアルベルト・パーカー(ギル・バーミンガム)が「銀行強盗らしいですよ」と言ってきた。数千ドルの被害だから、銀行強盗とは言えないらしい。

 そんな事件でマーカスはあわてず騒がず「なぜ俺の服をマネする?」と見当違いな言葉で応じる。ベテランのテキサスレンジャーのマーカスには銀行強盗らしいぐらいでは急がない。どうせ平原のどこかで姿を隠しているはず。いずれまた銀行に押しかけてくる。それを待つというのものだ。

 10年の刑期を終えて出所してきた兄ダナーと弟トビーの人生を描き、この二人は銀行強盗をゲーム化して図に乗って大きな町の銀行を襲った。これが二人の命運を分けた。

 岩山に逃げ込んだダナーを追ったマーカスがライフルで狙撃する。頭に一発の弾丸を受けたダナーは、鳥の首が折れるようにことりと垂れた。マーカスはしてやったりという面持ちで山を下りる。人間を一発で仕留めたがコヨーテを殺すのと何ら変わらない。テキサスという風土に生きることは、余計な憐憫の情など受け付けないように見える。

 犬も猫もぐったりとしていて、舌足らずの言葉のようなカントリー・ミュージックが流れる夏のけだるい昼下がりとも言える余情にあふれた映画だった。日本では劇場未公開だが、アメリカでは評価が高い。DVD現在のところなし。ちなみに原題は、Hell or High water(地獄か、絶頂か)」邦題をつけるのは本当に難しい。





監督
デヴィッド・マッケンジー1966年5月イギリス生まれ。

キャスト
ジェフ・ブリッジス1949年12月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。2009年「クレイジー・ハート」でアカデミー賞主演男優賞受賞。

クリス・パイン1980年8月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。

ベン・フォスター1980年10月マサチュウーセッツ州ボストン生まれ。

ギル・バーミンガム1953年7月テキサス州生まれ。

 


ドキュメンタリー「トランプ:アメリカン・ドリーム」NETFLIX2017年

2019-12-09 16:28:29 | 政治

 ドナルド・ジョン・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領はどんな男か? このドキュメンタリーを観ると、今のトランプとさして変わりはない。

 負けず嫌いで自己顕示欲が非常に強く、相手の立場をあまり考慮することなく発言する。「あいつはクソだ」とか「奴は能力がない」を平気で言う。インタビューアーから「そんな悪口は相手に失礼でしょ」トランプは平然と答える「思ったことを言ったまでだ」

 20代から映像が残っているようで、若きトランプは長身で細身、スーツの配色や着こなしも文句なし。この頃から赤いネクタイをしていた。そして能弁に加えハンサム。口元がエルビス・プレスリーに似ているように思えてならない。周囲に集まる女性は、美人ばかり。そりゃ金もあるからね。

 ホテルを買収したり建設したり、カジノに手を出したり、自家用大型ジェット機や大型ボート(映像で見ると、ボートというより300トンくらいの船に見える)を持つ富豪の息子。自宅をニューヨークの一等地5番街にトランプ・タワーとして建設。

 しかし、順調に資産が増えた訳でもない。ホテルやカジノを手放したりしたが、運も味方した。「ビジネスに必要なものは何ですか?」と聞かれ「運だ」と言う。それはこのことを指しているのかもしれない。それに成功するために勇気と強さの胆力もあったのだろう。

 存続の危機的な状況のとき、ニューヨーク証券取引所に上場したことだ。誰かの助言を得てのことだろうが、決断は彼トランプにほかならない。これで起死回生したらしい。生活の糧のために一度も他人に頭を下げたことがない今のトランプには敵も多い。当然の成り行き。

 このドキュメンタリーは、褒めたり腐したり、まあ生身の人間を描いてはいる。ドナルド・トランプの資産約3千億円、フォーブスの世界長者番付ではベスト10には顔を出せない。最近アメリカ民主党から2020年大統領選に候補として名乗りを上げたマイケル・ブルームバーグの資産は約5兆円、長者番付では10位から11位につけている。ニューヨーク市長の実績もあるから、果たして民主党大統領候補になれるか見ものだ。

 トランプは若い頃から一貫して毒舌の冴えは衰えていない。民主党はトランプ憎しで弾劾裁判と声高に騒いでいる。日本の野党そっくりだ。しかし、日本の野党と違うところは、中国の新疆ウイグル自治区の人権問題には、民主党多数の下院で「ウイグル人権法案」が12月3日賛成407、反対1で可決した。国家の人権尊重や防衛問題について基本的姿勢は与野党ともに共有している姿勢がみられる。

 香港やウイグルの問題に日本の与野党が何かのメッセージを発したか。沈黙を決め込んでいる。中国は臓器ビジネスでも世界をリードしているが、その内実に疑惑を持たれている。こういう人権無視の習近平国家主席を国賓として招くのは世界への反逆と言える。ちなみに私は保守派。

 日本の野党の存在感のなさにはあきれるが、与党も褒めたものではない。国民は消去法で辛うじて今の与党を支持せざるを得ないのが現状ではないか。二大政党の実現を切に期待する。


 


映画「アイリッシュマン」NETFLIX 2019年 210分

2019-12-06 15:39:39 | 映画

 70歳後半を迎える四人の男、監督のマーティン・スコセッシ、出演のロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシが3時間半に及ぶマフィア映画を作った。いまだに遺体が発見されていない全米トラック運転組合を牛耳っていたジミー・ホッファー殺害までを描く。

 アイルランド人のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は、「アイリッシュマン・シーラン」として知られていた。彼は、トラック運転手から幹部になるまで、マフィアのブファリーノ・ファミリー(ジョー・ペシ)の世話を受け、ジミー・ホッファー(アル・パチーノ)とも知己を得る。

 月日は流れて老体を老人ホームの談話室の車いすに身を委ねてポツリポツリと話し出すフランク。ラッセル・ブファリーノ夫妻の娘アンがデトロイトで結婚式を挙げることになり、ラッセルのちょっとした集金もあるため車で3日間の旅に出る。ラッセルと妻キャリー、フランクとその妻アイリーンが旅の道連れ。ここからお話が始まる。時々過去に遡って当時のあれこれが語られる。

 マフィアのことだから、恐喝や脅し殺人と何でもありの世界。フランクもキレイな身ではない。家族もあり4人の子供もいる。フランクの末娘マギーを可愛がるラッセルだが、話しかけられたりプレゼントを貰っても感情のない「ありがとう」と言うだけ。フランクの娘たちは、父親の仕事に何かを感づいているようなのだ。嫌悪感を抱くというのが当たっているかもしれない。

 ジミー・ホッファーの専制的支配は、マフィアの連中の感情を逆なでする結果になる。ファミリーを維持しホッファーを生かせるには、引退を説得するしかない。フランクとラッセルの説得を頑として拒否するホッファー。

 殺し屋を差し向ける卑怯な手段を選ばず、武士の情けというか、せめて友人の手によって成敗する。フランクの手によってホッファーの後頭部に銃弾が撃ち込まれた。遺体は二人の手下によって、使われていない古い火葬場で灰燼に帰した。(これが事実だとすれば、遺体は永遠に発見されない)

 フランクは老人ホームで呟く。「振り返ったら誰もいなくなった」ラッセルもわが妻も、しかも末娘のマギーは口もきいてくれないし顔を合わせてくれない。フランク「俺はどこで間違ったんだ」ドラマは寂寥感に包まれて終わる。

 さて、高齢者総出演で、老人ホームの場面ではしわくちゃな顔のロバート・デ・ニーロだが、若き時代(といっても中年期)にも顔を出している。かつては若い時代には若い俳優が演じた。このドラマでは若き時代もロバート・デ・ニーロが演じている。高度なメーキャップなんだろうと思っていた。ところがそうではない。

 インダストリアル・ライト&マジック(ILM社)が持つ特殊技術によって若返った。この技術は、1977年の「スター・ウォーズ」から今日まで連綿と続いているとウィキペディアにある。なお、本作を批評家は絶賛しているという。3時間半の長尺も退屈しなかった。


監督
マーティン・スコセッシ1942年11月ニューヨーク市クイーンズ、フラッシング生まれ。

キャスト
ロバート・デ・ニーロ1943年8月ニューヨーク市生まれ。

アル・パチーノ1940年4月ニューヨーク市サウスブロンクス生まれ。

ジョー・ペシ1943年2月ニュージャージー州ニューアーク生まれ。

 


海外テレビドラマ「アメリカン・クライム・ストーリー O.J.シンプソン事件」NETFLIX2016年

2019-12-03 15:58:22 | 海外テレビ・ドラマ

 アメリカン・クライム・ストーリー ・シリーズのシーズン1「O.J.シンプソン事件The People v. O.j.Simpson:American Crime Story」は、19946月に実際に起こった事件である。

 25年前だから、私はまだ記憶が鮮明だ。白いブロンコ(アメリカ、フォード社のSUV)がロサンゼルスのフリーウエイを逃げ回る姿をヘリコプターから撮っていたのが印象に残る。

 アメリカン・プロフットボールの殿堂入りまで果たしたO.J.シンプソンが起こした殺人事件。全世界が注目したこの裁判も、ドリーム・チームと言われる腕利きの弁護士たちによって無罪となる。

 白人の元妻ニコール・ブラウンとその友人ロナルド・ゴールドマンを殺害した証拠は確実にシンプソンを指していたが、人種差別問題にすり替えたドリームチームの戦術が功を奏した。金さえ積めば殺人も無罪になるのかという嘆き節も聞かれたが、アメリカの陪審員制度の刑事裁判の結果は動かしようがない。

 このドラマは、主任検察官を務めたマーシャ・クラークを主人公として描かれる。そのマーシャ・クラークを演じたのはサラ・ポールソン。サラ・ポールソンは、このドラマで見る限り目を見張る美人ではないが、いわゆるキャリアウーマン然とした清潔感と強い意志を表す目と口元に魅力をたたえていた。私にとっても目が離せない存在になった。

 強さの反面、一瞬弱さが表れる。公判のストレスとメディアのマーシャの髪型まで揶揄する非情さに哀しみの表情をみせるときがある。そんなとき、検事に昇格させた黒人のクリス・ダーデン検事(スターリング・K・ブラウン)の思いやりに心が動くこともある。

 マーシャには元夫が二人いる。直近の夫とは子供の親権を争って係争中、その前の夫が、二人が一緒のころに撮った裸の写真をタプロイド紙に売ったのが掲載され神経がボロボロになる。そんな姿は気の毒に思えてくる。反面、腕利きの黒人のジョニー・コクラン弁護士(コートニー・B・ヴァンス)の容赦なく相手を叩きのめすのに腹を立てることになる。

 サラ・ポールソンは、これらの演技でプライムタイム・エミー賞、ゴールデングローブ賞、批評家選出テレビ賞で主演女優賞を受賞している。授賞式には、マーシャ・クラーク本人が駆けつけている。

 ちなみに、殺されたニコール・ブラウンは、ドイツ系アメリカ人でモデル、1985年から1992年にシンプソンと結婚生活を送り 2人の子供をもうけた。ニコールの友人ロナルド・ゴールドマンは、レストランのウェイター。友人??? どうかな! ニコールの恋人だったかも。それは闇の中。

 マーシャ・クラーク本人について、元検察官、自伝の著者、テレビ特派員、テレビプロデューサーと紹介されていて、17歳のときイスラエル旅行時にレイプされたことが検察官職に向かわせたと言われる。




キャスト
サラ・ポールソン1974年12月フロリダ州タンパ生まれ。

スターリング・K・ブラウン1976年4月ミズリー州セントルイス生まれ。

ジョン・トラヴォルタ1954年2月ニュージャージー州イングルウッド生まれ。

コートニー・B・ブラウン1960年2月ミシガン州デトロイト生まれ。

キューバ・グッディングJr1968年1月ニューヨーク市ブロンクス生まれ。