それは韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を撤回したことについてなのだ。読売新聞11月23日朝刊のフロントページには「GSOMIA失効回避」と白抜き文字で大きく紙面を飾っていた。そして3面には詳しく解説されていた。
その中身を読んでいくとちょっと気になったことがある。外務当局は水面下で協議を続けていた。それが21日、韓国が輸出管理厳格化を不満としてWTO(世界貿易機関)に提訴していたのを中断する意向を伝えてきた。それを日本政府は「韓国が折れてきた」と判断、韓国を優遇国から外したのはそのままに、政策対話の再開に踏み切り韓国側に再考のきっかけを与えたとある。
気になったのは、WTOへの提訴中断が韓国が折れてきたと言えるか。もともと日本は、WTOのルールに則っての措置と言い続けてきた。韓国の提訴にも勝つ自信があったはず。ならば韓国が提訴を撤回しようが中断しようが日本とは何の関係もない。「どうぞご随意に」でいいではないか。
韓国が折れて対話再開なら、輸出管理問題とリンクしたことになる。案の定、25日読売新聞朝刊2面に「韓国、経産省発表に抗議 GSOMIA失効回避巡り」という記事。経産省22日発表の「対韓輸出管理の厳格化措置は当面維持するとし政策対話とGSOMIAは無関係」としている。
これに対し韓国が咬みついた。要するに韓国側は、政策対話を輸出管理厳格化の撤回に向けた一歩としていただけに不満を持ったらしい。しかも韓国側発表では経産省が謝罪したことになっている。日本政府はそのような事実はないという。この韓国の発表も国内向けの意味合いもあるという。日韓で会議をすればいつも後味の悪さがついて回る。そういうことがよく分かっているはずなのに、毎回同じことを繰り返す日本。
外交を一種の喧嘩と見立てれば、日本は喧嘩下手だ。ずるさや根性がない。進学校から一流大学と勉強一筋。それが官僚になる。頭だけでは喧嘩はできない。体力勝負だ。適度な不良性があったほうがいいかも。
「WTO提訴中断」が罠だった気がしてならない。いずれにしても対韓国では、あれやこれやで揉め続けるだろう。最後まで日本側が強気でなかったことが残念だし、またGSOMIAが失効していたら、どんな展開になったのか知りたいとも思う。このブログの文章を首相官邸ホームページにも投稿した。なしのつぶてかもしれないが。