メジャー・リーグでヤンキースのショート・ストップ一筋20年、2674試合出場歴代一位のデレク・ジーター。そのジーターの地元での最終試合は、日本時間今朝の8時過ぎに始まった。
ジーター・コールで異様な雰囲気の中、先発投手の黒田がいきなりオリオールズの先頭打者マーケイキスにホームランを浴びる。しかも次の打者ディアザにもホームラン。観客48,613人の普段とは違う雰囲気で2点を先取された。
シーズンの大詰め去年も負けが続いた。やっぱり終盤は疲れが出てくるのか。 と思ってみていた。ところがヤンキースも1回裏2点を返し同点。それが7回まで続きヤンキースは、その7回に追加点3点を挙げる。
黒田は8回まで投げ切り、ヒット3、うちホームランが2本。奪三振9の好投だった。勝利投手の権利を得てクローザーのロバートソンに9回を託した。
その9回に思わぬ展開が待っていた。オリオールズ9回表まさかの同点を演じた。2ラン・ホームランとホームランで3点を挙げた。テレビのアナウンサーも解説者も「こんな事態は滅多にない。ひょっとしてジーターのホームランで決着が着くのか」となかばあきれた物言いで放送していた。私もちらりとそういうのが頭をよぎった。
9回裏ヤンキースの9番バッター、ルーキーのピレーラが三遊間を破るヒットで出塁。このときテレビの画面ではジェラルディ監督がトップ・バッターのガードナーになにやら指示していた。それを見てバントだろうとみた。そのバントは成功。走者が二塁。
ジーター・コールの大歓声の中、ジーターは得意の右打ちでライト前に文句のないヒットを飛ばしサヨナラ・ゲームで締めくくった。スーパー・スターがスーパー・スターであり続けるには、幸運を呼び込む運命も必要なのだろう。そういえば、ジーターがショートのポジションで祈る姿を見るが、その祈りが通じたのかもしれない。
それにしても脚本に書いたような劇的な幕切れだった。この試合には、ヤンキースの往年の選手たちが勢揃いしていた。ポサダ、ペティット、リベラ、トーリー元監督等々。
そういえば、今朝の安部総理のニューヨークでの記者会見で、ジーターのことに触れていたのはニューヨーカーへのリップ・サービスか。いずれにしても偉大な選手が一人球界から去っていく。
ヤンキースの今シーズンはもうすぐ終わる。ローテーションを守った黒田は、来シーズンもヤンキースにいるのだろうか。成績不振に終わったヤンキースは、来シーズンに向けてストーブ・リーグを賑わすことになりそうだ。
ニューヨーカーは、「あいがとう、ジーター!」と言っていた。そのジーターは、いつも試合後に流れるフランク・シナトラの「ニューヨーク、ニューヨーク」をどんな気持ちで聞いていたのだろう。