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神の仕業としか思えない、こんな試合があるとは?デレク・ジーターのヤンキー・スタジアムの今期最終試合

2014-09-26 18:04:58 | スポーツ

   
 メジャー・リーグでヤンキースのショート・ストップ一筋20年、2674試合出場歴代一位のデレク・ジーター。そのジーターの地元での最終試合は、日本時間今朝の8時過ぎに始まった。

 ジーター・コールで異様な雰囲気の中、先発投手の黒田がいきなりオリオールズの先頭打者マーケイキスにホームランを浴びる。しかも次の打者ディアザにもホームラン。観客48,613人の普段とは違う雰囲気で2点を先取された。

 シーズンの大詰め去年も負けが続いた。やっぱり終盤は疲れが出てくるのか。 と思ってみていた。ところがヤンキースも1回裏2点を返し同点。それが7回まで続きヤンキースは、その7回に追加点3点を挙げる。
 黒田は8回まで投げ切り、ヒット3、うちホームランが2本。奪三振9の好投だった。勝利投手の権利を得てクローザーのロバートソンに9回を託した。

 その9回に思わぬ展開が待っていた。オリオールズ9回表まさかの同点を演じた。2ラン・ホームランとホームランで3点を挙げた。テレビのアナウンサーも解説者も「こんな事態は滅多にない。ひょっとしてジーターのホームランで決着が着くのか」となかばあきれた物言いで放送していた。私もちらりとそういうのが頭をよぎった。

 9回裏ヤンキースの9番バッター、ルーキーのピレーラが三遊間を破るヒットで出塁。このときテレビの画面ではジェラルディ監督がトップ・バッターのガードナーになにやら指示していた。それを見てバントだろうとみた。そのバントは成功。走者が二塁。

 ジーター・コールの大歓声の中、ジーターは得意の右打ちでライト前に文句のないヒットを飛ばしサヨナラ・ゲームで締めくくった。スーパー・スターがスーパー・スターであり続けるには、幸運を呼び込む運命も必要なのだろう。そういえば、ジーターがショートのポジションで祈る姿を見るが、その祈りが通じたのかもしれない。

 それにしても脚本に書いたような劇的な幕切れだった。この試合には、ヤンキースの往年の選手たちが勢揃いしていた。ポサダ、ペティット、リベラ、トーリー元監督等々。

 そういえば、今朝の安部総理のニューヨークでの記者会見で、ジーターのことに触れていたのはニューヨーカーへのリップ・サービスか。いずれにしても偉大な選手が一人球界から去っていく。

 ヤンキースの今シーズンはもうすぐ終わる。ローテーションを守った黒田は、来シーズンもヤンキースにいるのだろうか。成績不振に終わったヤンキースは、来シーズンに向けてストーブ・リーグを賑わすことになりそうだ。

 ニューヨーカーは、「あいがとう、ジーター!」と言っていた。そのジーターは、いつも試合後に流れるフランク・シナトラの「ニューヨーク、ニューヨーク」をどんな気持ちで聞いていたのだろう。
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元気づけられるよ! ジュリエット・グレコとトニー・ベネットに……

2014-09-23 17:37:03 | 音楽

 1927年2月7日生まれの87歳。まさしく高齢だが、そのジュリエット・グレコが明日東京で日本公演を行うという。さあ、どんなステージか興味津々ではある。それでもあの歳で、まだ現役とは驚きだ。

 新聞に載った写真を見ても老いぼれた感じがない。顔は化粧で誤魔化せるが、首から胸へのラインは、そうそう誤魔化せない気がする。適当に肉がついて、若々しいと言ってもいいくらいだ。彼女のステージは、黒のシルエットがトレードマークという。
            
            ジュリエット・グレコ
 アメリカのジャズトランペット奏者マイルス・デイヴィスと恋愛関係にあり、マイルスがフランスへやってきた1949年に結婚したとも言われている。私はシャンソンにあまり興味がないが「聞かせてよ愛の言葉を」は、いい曲で好きな曲だ。


 一方、アメリカのジャズシンガー、トニー・ベネットは、1926年生まれというから88歳になる。

 それでも意欲的で、バーブラ・ストライサンド、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダー、セリーヌ・ディオン、ダイアナ・クラール、エルヴィス・コステロ、k.d.ラング、マイケル・ブーブレ他などとの共演、

 それに明日24日にはレディ・ガガとのデュエットで「チーク・トゥ・チーク」を発売すると言う。これにはスタンダード曲19曲が収められている。
           
           トニー・ベネット
 とにかくこの二人には、敬意ももちろんあるが元気づけられるのは確かだ。ジュリエット・グレコには、「聞かせてよ愛の言葉を」、

 トニー・ベネットには大ヒットした「ビコーズ・オブ・ユー」がありますが、ロマンティックなボビー・ヴィントンの「ブルー・ベルベット」をブラジルの若き歌姫といわれ人気のマリア・ガドゥとのデュエットで聴いていただきます。

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土曜日の朝、新聞を読んで皮膚感覚のつぶやき

2014-09-20 21:42:20 | 時事

 皮膚感覚を辞書には「長年、見聞きしている間に身に付いた勘をいう」とある。自分で勘が鋭いとも思わないが、なんとなく感じるという程度の感覚で思うに、北朝鮮の拉致調査問題、スコットランドの独立に関する国民投票の結果、調査捕鯨問題、それにアメリカの「イスラム国」への空爆など首をかしげることが多い。

★北朝鮮の拉致被害者と拉致されたと思しき人の調査が進まない。
 これはもう当初から大多数の日本人が予想できたことだ。政府、政府というか安部総理といってもいいかもしれないが、拉致被害者の家族に神経を使って焦っているように見える。
 あの二枚舌の北朝鮮にまんまとやられそうな気がする。調査を確約した段階で万景峰号(マンボンギョン)の入国禁止措置解除なんて甘すぎる。今になって「中身のない報告いらない」と言っても恥の上塗りでしかない。

★スコットランドの独立
 英国から独立しようとしたスコットランド。結局反対多数で否決された。独立を推進しようとした賛成派に説得力がなかった。経済も雇用も大丈夫と言っていたが、具体的なプランの明示がないと国民は納得しない。

 わが国の民主党も執行部を入れ替えたが、枝野がアベノミクスを批判しているようだが、具体的な対案を示すべきだ。それも実現可能なものを。
 民主党政権の大風呂敷にわれわれは懲りているから。だいたい国をどうするかという政策に100%プラスというのはあり得ない。プラスもあればマイナスもある。そのマイナスだけを言っているのであれば見識を疑う。

★調査捕鯨
 「2014年3月31日に国際司法裁判所(ICJ)は、南極海における日本の調査捕鯨計画JARPA IIについて、現状の調査方法は事実上の商業捕鯨であり調査捕鯨とは認められないとする判決を下した」

 それでも政府は、規模を縮小して続けるようだ。普通、調査といえば一定期間の検証で終わるが、捕鯨に関してはずっと続いているのが不思議だ。
 日本は食文化だと言っていて、今日の新聞では自民党の二階総務会長が鯨肉を使ったカレーや竜田揚げを食べる写真が載っている。こういうことをしても調査捕鯨反対の国々を説得できるとも思えない。

 第一、鯨を動物と見るか魚と見るかで違ってくるらしい。日本は魚に分類されている。動物と見る国は、「頭もいい哺乳類」という認識らしい。それはイルカにも当てはまり、和歌山県太地町のイルカ漁を批判したキャロライン・ケネディアメリカ駐日大使が耳に新しい。従って、反対派と意見が交差するのはあり得ないことと思う。

★アメリカのイスラム国への空爆
 これで連想するのは、ベトナムへの介入だ。時の大統領ニクソンが北爆を命じ、泥沼のベトナム戦争へと落ちていった。結局、敗北の憂き目を見た。組織的な戦争ならアメリカは強固な装備で強いかもしれないが、ゲリラ戦では歯が立たない。

 イスラム国も同様でアメリカは苦い水を飲まされる気がする。回りまわって日本にも何らかの影響があるかもしれない。地球上で紛争が絶える気配がない。何年か後、世界から日本も体を張った貢献をしろと迫られるかもしれない。今の日本は、対話をすればすべて解決するという妄想にも似た負け犬根性を声高に言う人もいて、そのときの政府がどんな決断を下すか見ものではある。
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これ本当かな? アジア大会の日本選手村のひどさ。

2014-09-18 17:47:26 | スポーツ

 日本最大の中国情報サイト(これも本当かどうかよく分からない)というのがあって9月16日の記事に驚いた。その記事を引用してみよう。

 「2014年9月16日、日本メディアによると、韓国・仁川で行われているアジア大会で、連覇を目指すサッカーU-21日本代表がアウェーの洗礼を受けている。
 日本代表が使用している選手村の部屋は不備だらけで、クーラーはなく、風呂の排水機能やエレベーターは故障している状態だという」

 韓国のネットユーザーも「ひどい」「かわいそう」などのコメントを寄せているらしい。好意的に見ればまだ建築が完成していない可能性もある。まさか、わざとするとは思わないよね。

 もし、これが大会が終わるまで続くようなら、2020年の東京オリンピックのときに仕返しすればいい。とはいっても、日本人はそういうことはしないだろうなあ。紳士なのかお人好しなのか、あるいはバカなのか。まあ、韓国に比べて大人になった民族とは言える。
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認知症の父を持つということは……「ネブラスカ~ふたつの心をつなぐ旅~’13」劇場公開2014年2月

2014-09-17 18:17:48 | 映画

              
 高速道路をトボトボと歩くウディ・グラント(ブルース・ダーン)は、パトカーに保護され警察に迎えに来た次男のデイビッド(ウィル・フォーテ)に100万ドル当たったから取りに行く途中だと言う。デイビッドは驚く。

 住んでいるのはモンタナで怪しげな手紙をよこしたのはネブラスカだ。距離にして1,500から1,600キロはあるだろう。足の悪い父ウディには到底無理だし賞金もインチキに決まっていると言っても父は聞く耳を持たない。認知症の父には理解できないらしい。が、デイビッドが根負けして父と同行し、故郷の町ネブラスカのホーソーンに立ち寄る。

 ウディが言わなくてもいいのに、賞金100万ドルが当たったと言う。うわさが町中に広まる。それからは人間の醜さが噴出してくる。貸した金を返せとか、今まで世話したんだから幾らかくれてもいいだろうという類だった。これをぴしゃりと抑えたのが、ウディが文句の多い妻だというケイト(ジューン・スキップ)だった。肝心なときには、ちゃんと仕事をする妻だ。

 モノクロの世界は、新鮮さと物寂しさに包まれるが物語のテーマにはぴったりだった。大げさなお涙頂戴映画にならなかったのは良かったし、長いラストシーンはこれからの苦難を暗示しているようだった。

 なお、ホーソーンという町は実在していないとのこと。それについてはパラマウントのHPに詳しい。引用すると 『旅の途中に立ち寄る、父ウディの生家のあるホーソーンは、実在しない町。「誰もがウディの出身地だと納得する町が必要だった」と振り返るプロダクション・デザイナーのデニス・ワシントンは、ホーソーンのイメージをこう語る。「あまり愛らし過ぎず、高級住宅地化していない場所。古いものと新しいものが入り混じっているが、それほど変化していないという印象を受ける、長い年月を生き残ってきた町だ」。
 ペイン監督とワシントンによる綿密なロケーション探索の結果、ネブラスカ州ノーフォークのプレインビューが、ホーソーンの代役を務めた。“飾り気のない景色”という意味の名前のとおり、プレインビューは小さな町だ。「必ずしも脚本どおりの町ではないけれど、独自の時間が流れている場所だ。この町に僕たちが手を加えたのはごく僅かだった」と、ワシントンは語っている』

 映画から受ける町の印象は、何もないだだっ広い土地にポツンポツンと家を置いて木々のない街路は寂しさに満ちている。日本の景色に慣れていると、いくら安くても住みたいとは思わない。それにこういう町では、侘びとか寂びという情感の生まれる余地がない。人間も木と同じでその風土が育てるものだとつくづく思う。
          
          
         
     

監督
アレクサンダー・ペイン1961年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。実力のある監督で’04「サイドウェイ」は、ワイナリーを巡る話でワインのテイスティングの勉強になった作品。ハワイが舞台でジョージ・クルーニー主演の’11「ファミリー・ツリー」など味のあるものが多い。

キャスト
ブルース・ダーン1936年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ウィル・フォーテ1970年6月カリフォルニア州アラメダ生まれ。
ジューン・スキップ1929年11月イリノイ州ヴァンダリア生まれ。
ステイシー・キーチ1941年6月ジョージア州サバンナ生まれ。
ボブ・オデンカーク1962年10月イリノイ州生まれ。
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生まれて初めて電車で席を譲られた。

2014-09-15 17:04:17 | 雑記

 12日の金曜日。午前8時37分発のJRの最寄り駅から電車に乗った。この日は所用があって荷物も多かった。入り口から右のつり革につかまった。そこは3人掛けのシートだった。

 前に座る若者がいきなり立ち上がって、私の顔を見た。私は席を譲ってくれたのが分かって「いいんですか?」と声をかけた。若者は頷いた。席を譲られるのがいやだが、かたくなに辞退しても譲った人の好意を無にすることになるので「ありがとう」と言って腰を下ろした。

 座って気づいたのは、席を譲られたのは初めてではないか。 ということだった。ということは私が老人に見えたのかも知れない。

 いや、彼はもともと礼儀正しい若者で年長者や荷物の多い人に譲っている行為をいつものようにしたのかもしれないと思いたかった。

 私は意外に若く見られるたちで10歳は当たり前、外科の先生なんかは50代に見えると考えられないことまで言われたことがある。
「先生、いくらなんでも50代は若すぎませんか?」と言ってみても、先生はニヤニヤ笑うだけだった。

 レントゲンの女性技師も「私の父の年に見える」と言い「お父さんの年は?」「60代です」ふん、まあその辺ならいいか。

 電車で席を譲られるというのは、ショックではある。年老いた人に見られたからだ。松葉杖のお世話にもなっていないし、足の骨折もないし、見るからにヨボヨボしていない。それがなぜ? 
 ウォーキングも早足、週に一度のジョギング。と自信を持つようにしてはいるが、人の目は誤魔化せないのか。

 そういうことを考えると、自分の死に様が気になってくる。ガンは間違いないだろうとか、足腰が立たなくてトイレも自分でいけないのはいやだとか、認知症で徘徊もいやだなあと考えていると、やっぱりガンにしょう。自分で選べないのにそんな考えが浮かぶ。

 それにやたらにテレビや新聞の訃報が気になるのも年のせいか。しかし、いつもこんなことを考えているわけではない。

 若い女性が魅力的だと思ったり、中年女性の色香のある人を見るとよからぬ想像をしてしまったりする。
 こういうことは誰も傷つけないし、私自身のエンジンの役割を果たしているようだ。

 もっと元気づけられたのは、今読んでいる乙川優三郎の「麗しき花実」の中で胡蝶という女性が「追うものがある人は、八十でもあと十年の夢を見るものよ」のくだりに背中を押されたような気分になった。
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少女の目は大人の男と女をどう見ているのだろうか「メイジーの瞳’12」劇場公開2014年1月

2014-09-13 19:53:16 | 映画

             
 この世に男と女が存在し、女の魅力に我を忘れる男。女も男に魅力を感じる。しかし、一部の男女を除いてほとんどが甘い期間が過ぎれば、どうして敵対関係になるのか7不思議の一つかもしれない。そんな状況をじっと見つめるメイジー(オナタ・アプリール)。

 彼女は大人に対する処し方を心得ているようにも見える。ママにも甘えパパにも甘える。このママ、スザンナ(ジュリアン・ムーア)とパパ、ビール(スティーヴ・クーガン)の絶えない元夫婦の喧嘩。10日毎にたらい回しされても、どちらにも組しない才覚を見せるメイジー。

 誰にでも可愛いと思われるメイジー役のオナタ・アプリールは、本当に可愛い。この子が主役だからカメラはずーっとオナタのアップが多い。

 パパ、ビールはメイジーのベビーシッター、マーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)と結婚。それも長くは続かない。ママ、スザンナも年下のバーテンダーのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)と結婚。ビールは仕事で出張が多い。スザンナはロックバンドで歌い踊る職業。各地へ巡業するから留守がち。

 自宅にいるときリンカーンがメイジーと仲良くお絵かきを見たスザンナは娘を呼んで引き離す。びっくりするリンカーン。あれやこれやで気がつけばリンカーンとマーゴがメイジーの世話をしていた。
 メイジーはこの二人になついていてボートに乗ろうとせがむ。夜、大型の巡業用のバスが止まる。出てきたスザンナがいきなり一緒に帰ろうという。メイジーは明日ボートに乗るから行けないという。はっきりとしたメイジーの意思。やっと自分勝手に気がついたスザンナ。しかし、解決方法は見つからない。

 お金を稼ぐ人種には、時間が少ない。お金のない人種には、時間がたっぷりとある。ボート乗り場の桟橋を駆けるメイジーとリンカーン、マーゴ。映画は観客に結論を残して終わる。
 世に雲霞のように存在する男と女の軋轢。いつも傷つくのは子供たち。
           
           
           
           

監督
スコット・マクギー

キャスト
ジュリアン・ムーア1960年12月ノース・キャロライナ生まれ。
アレキサンダー・スカルスガルド1976年8月スウェーデン生まれ。
オナタ・アプリール出自不詳。
ジョアンナ・ヴァンダーハム出自不詳。
スティーヴ・クーガン1965年10月イギリス、イングランド、マンチェスター生まれ。
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白人と接する二つの顔を持ち7人の大統領に仕えた男の物語「大統領の執事の涙’13」

2014-09-11 18:04:28 | 映画

              
 人種差別の壁を乗り越えようとしているアメリカの苦悶が男の一家を通じて描かれる。

 セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)が少年の頃、白人の青年に銃で父親が射殺された不幸が綿花畑のプランテーションを出るきっかけとなる。 レストランやホテルのバーでの先輩の教えは「客の目を見て何が望みか察しろ。相手の心を読め、察するんだ。セシル、二つの顔を持て。本当の顔と白人に見せる顔だ。出世したけりゃ 白人を怯えさせないとだ。教えてやった上品な言葉で話せ。北部の白人は気の利いた黒人がお好みなんだ」

 1957年先輩の言葉を胸に秘めてワシントンD、Cに向かった。ホワイトハウスで20年を勤めるセシル。

 その間、奴隷開放があっても水のみ場やトイレ、ダイナーなど白人用と黒人用が区別される時代が続く。やがて公民権運動が芽生えるが、その流れの中でセシル一家も翻弄される。

 若い息子たちは先鋭的になりやすい。残業の多いセシルと妻グロリア(オプラ・ウィンフリー)の間もギクシャクしてくる。どこにでもある家庭の問題の背景に、時の政権や世相の様子が描きこまれる。

 フォレスト・ウィテカーの独り舞台の感があるが、亡くなったロビン・ウィリアムズがドワイト・アイゼンハワー、ジョン・キューザックがリチャード・ニクソン。
 こんな場面がある。ニクソンが酔っ払ってソファにうずくまっている。そこへセシルが入っていき「御用はございませんか?」と言う。まあ座れと言いそして「辞任だ何だと言うが、俺は絶対 辞めんからな。逆境をはねかえしてやる」と言う。

 これなんか1972年6月の「ウォーターゲート事件」を知らないと何のことがさっぱり分からない。この映画はアメリカ人向きということ。輸出まで考えていない。

 ジェームズ・マースデンのジョン・F・ケネディ。娘のキャロラインも出てくる。駐日アメリカ大使のキャロライン・ケネディが観たらどんな感想を持つだろう。ふと、そんなことを考えた。

 アラン・リックマンのロナルド・レーガン。髪型と話し方はよく似ていた。大統領とセシルの小さなエピソードも差し挟まれている。

 テレビや映画の影響は甚大で、アメリカの若者もこういう映画から自国の歴史を学び始めるきっかけになるのかもしれない。それはそれでいいことだろう。しかし、最近のニュースからは、まだまだ差別問題は尾をひいているようだ。劇場公開2014年2月
          
          

監督
リー・ダニエルズ1959年12月ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。

キャスト
フォレスト・ウィテカー1961年7月テキサス州ロングビュー生まれ。
オプラ・ウィンフリー1954年1月ミシシッピー州生まれ。
ジョン・キューザック1966年6月イリノイ州生まれ。
ジェームズ・マースデン1973年9月オクラホマ州生まれ。
アラン・リックマン1946年2月イギリス、ロンドン生まれ。
リーヴ・シュレイバー1967年10月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
ロビン・ウィリアムズ1951年7月イリノイ州シカゴ生まれ。
ジェーン・フォンダ1937年12月ニューヨーク生まれ。
テレンス・ハワード1969年3月シカゴ生まれ。
ヴァネッサ・レッドグレーヴ1937年1月イギリス、ロンドン生まれ。
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難曲の演奏を促す脅迫、珍しい切り口のミステリー「グランドピアノ狙われた黒鍵’13」

2014-09-08 18:29:04 | 映画

              
 天才ピアニストといわれるトム・セルズニック(イライジャ・ウッド)は、5年間の空白期間を乗り越えて恩師パトリック・ゴーダルの追悼コンサートの舞台に立つことになった。

 コンサートが行われるシカゴへ向かう飛行機に不安を持ち、演奏にも気乗りしない様子。完璧主義者のトムにとって演奏を間違えることは死に等しい。このコンサートでも難曲中の難曲「ラ・シンケッテ」が待ち構えている。

 恩師パトリックの遺品、最高級のグランドピアノ、ベーゼンドルファー・モデル290が舞台の中央で手招きしている。楽屋でコンダクターから「キーを間違えても聴衆にはわかりゃしないよ」と元気付けられてはいるものの完ぺき主義の虜から抜け出せない。

 やがて演奏が始まり楽譜を1ページめくる毎に「音符を1つでも間違えたら君を殺す」「助けを呼んだら眉間を打ち抜く」という脅迫の文字。

 そして見ろ! という間もなくピアノのそばで銃弾がうがつ。「ローチェスター47 レーザー照準 消音器つきだ。精度最高級の銃だ」
そして難曲「ラ・シンケッテ」へと流れていく。

 クラシック音楽を背景に脅迫するというアイデアは斬新だ。トムはこれからどうするのだろう。なぜ、脅迫するのだろう。どういう結末になるのだろう。徐々に分かり始めるが、上質のミステリーを読んだような幸福感も与えてくれる。

 難曲といわれる「ラ・シンケッテ」は、この映画の監督エウヘニオ・ミラの作曲によるものという。
          
          
監督
エウヘニオ・ミラ1977年9月スペイン生まれ。

キャスト
イライジャ・ウッド1981年1月アイオワ州シーダーラッピッズ生まれ。
ジョン・キューザック1966年6月イリノイ州エヴァンストン生まれ。
ケリー・ビシェ
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たった一人、生き残ったアメリカ海軍特殊部隊シールズとタリバンの銃撃戦「ローン・サバイバー’13」

2014-09-06 16:43:31 | 映画

               
 これは3Dで観たほうが良かったかもしれない。この映画の最大の見所は、銃撃戦だからだ。

 スコープ付きのライフルは、薬きょうをぽんぽんとはじき出しで地面に転がる。追い詰められて断崖から転げ落ちる。

 テロリスト・タリバンは200人以上の人間を投入してシールズを追う。その主人公は、マーカス・ラトレル(マーク・ウォールバーグ)。

 戦いの中で「仲間のために死ぬ」というフレーズが度々出てくる。戦争に参加したとき国家や軍は正義を標榜するが、実際に戦う兵士たちは身近なもののために命を投げ出す覚悟を決める。戦友や家族のために……。で、ないと死ねない気がする。そういうことを言っているようでもある。
 実話を映画化したもので、リアルな映像を楽しめた。男の子の映画だ。
         
         
         
         
         

監督
ピーター・バーグ1964年3月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。

キャスト
マーク・ウォールバーグ1971年6月マサチューセッツ州ドーチェスター生まれ。
テイラー・キッチュ1981年4月カナダ生まれ。
ベン・フォスター1980年10月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
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