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デジカメ持って小旅行「坂東三十三箇所霊場31番札所笠森寺(かさもりじ)」

2009-02-25 13:12:57 | 旅行

           
           駐車場の前のこの階段から参道になっている
           
           
           参道を上り詰めたところにこの子授楠がある、さすが観音様
 この笠森寺も特異な存在ではないだろうか。何しろ大岩の上に61本の柱で支えられた観音堂がそびえている。四方懸造と呼ばれる構造で、日本で唯一の特異な建築様式であり重要文化財になっている。
           
           
 延暦3年(784年)に伝教大師最澄(さいちょう)が楠の霊木で十一面観音菩薩を刻み安置されたとされる古刹で長元元年(1028年)に後一条天皇の勅願で建立されたと伝えられるが、その後消失し現在の建物は解体修理の際発見された墨書銘から文禄年間(1592~1595年)の再建とされている。
 
 75段の急階段を登った回廊から房総の低い山並みが眺められる。さらに、この寺の周辺の自然林は、国の天然記念物に指定されている。
           
 人体で言えば丁度へその辺りに位置する笠森寺へは、国道297号線から409号線に入ってすぐのところにある。 わたしは一つの質問を持って、この寺を訪れた。先の高蔵寺のように男根奉納についてだ。急な階段を登っていって観音堂の入場料100円を扱う窓口には、若い女性が座っていた。(二年ほど前に訪れたときは、年嵩のご婦人だった)しかも高齢の男もいたので、「地震でも平気ですか?」とつまらない質問をする羽目になった。ぽっちゃりとした可愛い子は、「多少は揺れますよ」と応えてくれた。
 そりゃそうだろうね、地面が波打っているのだから。本堂には縁結びの験(げん)を担いで、色とりどりのハンカチがロープに結ばれていた。
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ジェイムズ・カルロス・ブレイク「掠奪の群れ」

2009-02-21 11:39:49 | 読書

           
 原題が「HANDSOME HARRY」で、ハンサムなハリーの銀行強盗一代記といったところ。ハリーの刑務所での地位の確立やしゃばでの武器の調達、女との愉しみなど小説というより、よく週刊誌などで見る犯罪のダイジェスト版のようなものだ。
 一人称の形式でそれぞれの登場人物を際立たせているわけでもない。彼がこう言ったという記述で会話の形にならない。時は1934年、刑務所にひそかに拳銃を持ち込み脱獄、盗んだ車で逃走。銀行強盗を繰り返す。途中から女に裏切られてFBIに殺されるジョン・デリンジャーも加わる。
 まともに働く気の毛頭ないギャング・グループは、とにかく銀行強盗をするという計画が立てられると、まるでディズニーランドへでも遊びに行くように大喜びする。次から次へと住まいを変え、仕事に使う車を盗み奪った金で自分好みの車を買う。どういうわけかこういう男に惹かれる女もいて、男にとってこの世の春を謳歌できる。(反社会的性格の男に夢中になる女がいることは、犯罪心理学者にはよく知られた事実だという)
 ところがそんな至福の時間はあっという間に過ぎ、ちくりや裏切りで刑務所に逆戻り。待っていたのは死刑判決の末の電気椅子だった。この本には何の感興もなかった。
 とは言っても得るところが全く無いかというとそうでもない。Beating off(マスかき)というスラングや当時の銀行が銀行強盗を利用したという事実には、驚きそして呆れることはあっても、一つの知識として得がたいものがある。しかし、当時の不況が大衆の不満を増幅させギャングがある種義賊的に扱われ大衆に支持されたのも事実のようだ。この時代に銀行強盗と殺人で注目を集めたカップル、ボニーとクライドがいる。新聞に載ったボニーを見て夢の中に現れるというハリーの心の動きがなぜかおかしい。それほどボニーには悪女の魅力があったのだろう。
 銀行が銀行強盗を利用した原因がこれまた面白い。つまり横領の隠ぺい工作に使われた。大抵こうした横領を隠すには、優秀な会計士が一人いれば足りる。しかし、まれに、どれほど独創的な会計操作を行っても、つぎの監査で必ず発見されそうになることがある。そんな時窮地から逃れる一番の方法は、強盗に入られることだ。銀行は損失を計上して帳尻を合わせることが出来るし、損失は保険会社が全額補填してくれる。この銀行強盗を仕組むのが大物ギャングという按排なのだ。その下請けがハンサム・ハリーたちだ。
 どんな子供を持っても母親の愛情は一定不変でいささかも揺らぐことがない。ハリーの情婦メアリの母親は、まるで何年も音沙汰がなかったかのように、涙ながらに何度も娘にキスをした。実際には、メアリは必ず週に一度は自宅に電話をかけていたし、二人が最後に会ってからまだ三ヶ月もたっていなかった。というわけで親の気持ちをなかなか分かってもらえないのが世の常か。
 著者は、メキシコ生まれ、テキサス育ち。長篇小説The Pistoleerでデビュー以降、アメリカ・メキシコ国境地帯を舞台とした作品を発表。今もっとも注目されている犯罪小説家。本書は第8長篇と紹介されている。
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デジカメ持って小旅行「坂東三十三箇所霊場32番札所清水寺(きよみずでら)」

2009-02-17 11:39:40 | 旅行

               
            仁 王 門
 このお寺を見つけるのには手間取った。なにしろ農道を走り回ったのだから。途中下校中の小学生に場所を聞いたが役に立たない。そりゃそうだろう、小学生の年代ではお寺なんかに興味があるわけがない。幸い高齢の人がやってきて道を教えてくれた。それでも偶然見つけたという按排だった。
 国道128号線の上総一ノ宮と大原の中間あたりの岬町に位置するこのお寺は、延暦年間(782年~806年)に平安時代の僧最澄(さいちょう)が、この地を訪れて草庵を結んで十一面観世音菩薩を安置し、807年(大同2年)慈覚大師円仁が千手観世音菩薩を刻んで安置したという。
 道路に面して小広い駐車場とキレイなトイレがあるが、急な坂道を登っていって仁王門の前にも車を止められる。ここはやや古びた風情のお寺だった。
 本堂の回廊を歩いたが、床板がカタカタと鳴った。お参りの人も時折訪れるようで、高齢夫婦と思しき二人連れが車から降りるのを見かけた。ここには、県指定の有形文化財木造十一面観音像がある。
            
             本 堂
            
             本堂内部
            
             木造十一面観音像
 夕刻とまではいかないが、冬の陽射しが落ちるのは早く田んぼに囲まれた村落に帳が下りる兆しが見えた。車が国道128号線を走るあいだ、垣間見える太平洋の穏やかなうねりにも、心の安らぎを感じながら帰路についた。
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デジカメ持って小旅行「坂東三十三箇所霊場33番札所那古寺(なごじ)」

2009-02-13 14:56:15 | 旅行

            
 このお寺は、坂東三十三箇所結願の寺である。順不同で廻っているので、早々と結願のお寺に来てしまった。千葉県館山市那古の高台にあるこのお寺も整備されたお寺だ。この寺も奈良時代の僧行基が天正天皇の病気平癒を祈るためこの地を訪れ、千手観世音菩薩を安置して祈願すると天皇の病気は平癒し、そして勅により建立されたという。
 国の重要文化財として「銅造千手観音立像」があり、立派な説明板が平成20年3月に設置されている。
                 
                 銅造千手観音立像
 広い駐車場からコンクリートで固められた参道を上り仁王門にいたる。
                        
             
              仁 王 門
 仁王門を入ってすぐの右手に「お授け地蔵尊安置所」があって、身長10センチにも満たないお地蔵様がずらりと並んでいた。お顔はなにやらひねた面(おもて)ながら愛嬌がありそれぞれ表情が違って見える。しかし、寺務所で買って奉納する仕組みのようだ。
 
 このお地蔵さんを見ていると、男根をデフォルメされているように思えるのはいささか考えすぎか。
 本堂も立派だし古い多宝塔もあって心の休まる気がするのも事実で、本堂横から長い階段を登って展望台から見る館山湾は、冬のにぶい陽光が海面にきらめきを投げている穏やかな風景にも安堵感が漂う。それにしても、階段の登りに息が切れめまいまでするとは情けない話だ。
            
             つらかった階段
            
             館 山 湾
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デジカメ持って小旅行「坂東三十三箇所霊場30番札所高蔵寺(こうぞうじ)」

2009-02-08 13:04:49 | 旅行

            
 千葉県木更津市にあるこのお寺もユニークな存在だろう。用明天皇の代(585年~587年)に徳義が小像の観音菩薩を感得して寺を建立したという。この観音像は、奈良時代の僧行基が刻んだ観音像に納められているという。
 この寺に行くには、館山道木更津北インターから僅かで到着する。わたしには時間がたっぷりあるので、国道410号線から県道23号線をのんびり走って行った。この日はかなり冷え込んでいたので、山門前の駐車場に着いた午前10過ぎも冷たい空気が感じられた。
 この時季、頻繁にトイレのお世話になる。何はともあれトイレに駆け込んだ。もちろんキレイなトイレだ。放尿中は前を見るしかすることがない。大体どこでも注意書きが下がっている。
「トイレはキレイに使いましょう」
「吸殻を便器に投げ捨てないでください」
「一歩前進確実に便器の中へ!」などだ。ところがここでは「いつもきれいに使っていただいてありがとうございます」という木札がかかっていた。
 なるほど逆の注意書きか。ちょっとニヤリとさせられ、境内をぶらついていると本堂脇に「観音浄土めぐり」という看板に眼を留めた。入場料300円とある。立派な観音様の像もあるのだろうと思って、椅子に座ってうつらうつらとしているように見える高齢の人に声をかけた。
            
              本  堂
「写真を撮ってもいいんですか?」と聞くと「大げさにしなければ良いですよ」という返事。入場料を手渡しながら「フラッシュを焚かなければいいんだ」と言うと「フラッシュを焚かないと撮れないよ」と言う。内心フラッシュを焚くのは大げさだがなと思いながら、ご老体はそれなりに注意を与えたので職務を果たしたことになる。そういう形式だけの話と受け止めた。
 中に入ると埃にまみれたおびただしい像の林立で眼の集中力を試されているようだ。
             
             観音浄土めぐりの内部
 終わりに近づいて俄然眼の集中力が増した。なんとご立派な高倉金精大明神として男根が鎮座していた。それに生命の根源善男善女童子として屹立した男根とセックスを表現した数々を陳列してあった。これらをフラッシュで撮影した。
             
              見事な高倉金精大明神
             
       生命の根源 善男善女童子 この中に秘仏が納められている
       「優しく撫でたりこすることを、特別に許可します」の表示の
        反対側には、「十八歳未満の方の拝観は法律により
        お断りさせていただきます」とある。いやはや!
             
                 
                 
                  女 陰
 さて、くだんのご老体に「男根を陳列してあるけど、子授かりを願う人からの奉納もあるのですか?」と聞いてみた。曰く「観音様を祀ってあるんでね。自分で彫ったものや買ってきて奉納しますよ」という返事。
 ちなみにインターネットで男根の完成品を探したが、ヤフーのオークションに見るだけで通信販売などは見つけられなかった。やはり奉納するには、自身の一物を参考に木で彫ったものにするのが観音様に対する礼儀のように思える。
 ご老体の言葉には、観音様は女性器の隠語であり男根がさまよってくるのは当たり前といわんばかりだった。これで確実になったのは、神社や寺にはこの類のものの奉納が必ずあるということだ。住職が公開するかしないかの判断だけだろう。
 考えてみれば男根を公開したところでどれも同じ形状で代わり映えしない。女陰は貝のアワビや赤貝を連想する程度で彫刻的な魅力に欠ける。本物の貝と同じで、手にとって見てはじめてその味わいが確かめられる。男は男根を見て、俺もあんなに立派なら女房も満足させられるがと羨望と落ち込んだ気分で帰宅するのが落ちだろう。ともあれ、あれは巨大すぎる。
 こんな性に関するものばかりではない。札所で一番大きな手水舎(ちょうずしゃ)もある。
            
            
 参拝者もちらほらと見かけた。それに高蔵寺のほんの近くに、かずさアカデミアパークという木更津市、君津市、富津市、袖ヶ浦市の市街地を母都市として千葉県が推進するバイオテクノロジーを中心とした先端技術産業に特化した研究開発拠点整備が進められている。
 ホテルオークラがすでに営業を始めており、県道33号線がパークの中心を貫いている。高蔵寺付近のひなびた田園風景から、一転して芝生やきれいに刈り込まれた生垣は、大都市近辺の整備された公園を連想する。周囲とは隔絶された雰囲気の場所だ。この雰囲気の中を走っていると、男根奉納なんて雲散霧消していた。
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ロバート・ゴダード「惜別の賦」

2009-02-04 10:38:53 | 読書
            

 巨額の遺産が他人に渡るのが分かれば、人間はどんなことでもする。巨額とはどのくらいか。60年ほど前の1947年百万ポンドに及ぶ預金と金利、その一倍半の額に達する債券と株式と各種証券、そして屋敷と備品だった。
 現在の一千万以上に相当する。ちなみに邦貨に換算すると約127億円の巨額になる。これを手に入れるためなら人を一人や二人殺してでも欲しいと思うのも人情だろう。
 クリス・ネイピアの大伯父が殺されたのも金だった。犯人として死刑に処せられたマイケル・ランヨンの息子ニッキ-がクリスの前に現れ「父は君の大伯父を殺していない」と言ったが、クリスの父に追い払われたあと、翌朝屋敷の大木で首をつり自殺しているのを発見された。ニッキ-とは幼馴染のクリスにとってはショッキングな出来事だった。
 やがて真相を探っていくが、そこには意外な事実が横たわっていた。ゴダード特有の謎から謎へと翻弄されるが、混乱することなく読了する。チョット長すぎる嫌いがある。登場人物に際立った個性があるわけでもなく余情あふれる描写もない。この作品は可もなく不可もないというところか。
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