「主として古い家系の白人男性に支配されていたアメリカは、1960年代にはそれまで表に出なかったグループあるいは従属的な地位にあったグループが、より積極的に主張をし、力をつけ始めた。それは、アフリカ系米国人、アメリカ先住民、女性、「新移民」の白人少数派の子孫、そしてラテン系米国人などであった。彼らを支持したのは、かつてない規模の若者人口であった。
こうした若者たちは、これもかつてないペースで拡大する全米各地の大学で学んでいた。第2次大戦世代の親から生まれた子どもたちの多くは、「対抗文化」と急進的な政治思想を支持し、文化的・民族的多元主義を特徴とする新しい米国を推進した。これは親の世代にとっては不安なことであった」(アメリカセンター・ジャパンの記事から)
そしてケネディ大統領暗殺後、引き継いだリンドン・ジョンソン大統領による1965年空爆から地上部隊投入へとベトナム戦争が拡大していく。ニュージャージー州の田園地帯で父から手袋製造会社を引き継ぎモデル出身で美人の妻ドーン(ジェニファー・コネリー)と愛娘メリー(ダコタ・ファニング)と幸せな時間を過ごしていたスウィード・レオヴォヴ(ユアン・マクレガー)。
僧侶が抗議のための焼身自殺をする映像を見たメリーは、「誰も助けない」と言って泣き叫び夜も眠れない様子。そんな幼少時のメリーが成長するに従って急進的な思想に染まり、特に母親に反抗的なっていく。やがて家出。スウィードが探し求め居所を突きとめるがメリーは帰宅を頑として拒む。メリーの帰宅を待ち望みながら生涯を終えるスウィード。
時代に翻弄され大事な娘に去られた男を描くが、メリーの描写が少なすぎて今一つ感興を与えてくれない。ユアン・マクレガーがいつまでも若く年をとらないのが気になる。ユアン・マクレガー初監督作品。興行収入アメリカだけで544千ドル、日本円で6千百万円。製作費不明だが採算合うのかな。2017年7月から8月開催の<カリテ・ファンタスティック・コレクション17で上映>
監督
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。
原作
フィリップ・ロス1933年3月ニュージャージー州ニューアーク生まれ。現代アメリカ文学を代表する作家の一人。
キャスト
ユアン・マクレガー
ジェニファー・コネリー1970年12月ニューヨーク州生まれ。2001年「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞助演女優賞受賞。
ダコタ・ファニング1994年2月ジョージア州生まれ。
ピーター・リーガート1947年4月ニューヨーク市生まれ。
ルパート・エヴァンス1976年3月イギリス生まれ。
デヴィッド・アトラザーン1949年1月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。