この映画は、コーエン兄弟の自分のための記念碑的作品と言えるかもしれない。1950年代キャピトル・ピクチャーズは、スペクタクル大作「ヘイル、シーザー!」を大スター、ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)主演で撮っていた。
さらにディアナ(スカーレット・ヨハンソン)主演の水着の女王張りの映画やバート・ガーニー(チャニング・テイタム)のミュージカルの撮影が進められていた。ところがベアード・ウィットロックが姿を消した。
妻と約束した禁煙を破ったと神父に告解するモディ・マニックス(ジョシュ・ブローリン)が、スタジオを切り盛りする。
ベアードのスペクタクルは、1956年チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナーの「十戒」を、ディアナのはアメリカの競泳選手からスターになったエスター・ウィリアムズ1952年の「100万ドルの人魚」を、バートのは1949年ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシンの「踊る大ニューヨーク」をそれぞれ連想する。
1950年代を象徴する映画の列。行方不明のベアードは誘拐されて共産主義者のグループから洗脳されると言う具合でモディがかっかと湯気を立てる。これなんか1948年から50年代前半にかけて吹き荒れたマッカーシズム、いわゆる赤狩りのパロディーに思える。
モディ・マニックスがロッキード社から引き抜きの話を持ち込まれ「映画の時代は終わったよ。これからはテレビの時代だから、転進するのは早すぎることはない」と口説かれるというシーンもある。
まさに2016年の今、テレビからネットへと時代が移り変わっていく。確かに映画は大ヒット作以外は観客動員に苦労している。先日観た「ジェイソン・ボーン」もマット・デイモン主演と言っても客席はまばらだった。
コーエン兄弟が自分による自分のための作品と思っても不思議じゃない。そういう風に私は思ったんだが。「万歳、シーザー!」「万歳、皇帝!」このタイトルからして「わーい、わーい」という感じ。
監督
ジョエル・コーエン1954年11月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。
イーサン・コーエン(弟)1957年9月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。
2007年「ノーカントリー」でアカデミー賞監督賞と脚本賞を受賞。
キャスト
ジョシュ・ブローリン1968年2月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。2008年「ミルク」でアカデミー賞助演男優賞ノミネート。
ジョージ・クルーニー1961年5月ケンタッキー州レキシントン生まれ。
オールデン・エアエンライフ1962年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
レイフ・ファインズ1962年12月イギリス、サフォーク生まれ。1996年「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞主演男優賞ノミネート。
ジョナ・ヒル1983年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。2013年「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でアカデミー賞助演男優賞ノミネート。
スカーレット・ヨハンソン1984年11月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
フランシス・マクドーマンド1957年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ティルダ・スウィントン1960年11月イギリス、ロンドン生まれ。
チャニング・テイタム1980年4月アラバマ州生まれ。
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