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ロバート・レッドフォードに加えメリル・ストリープ、トム・クルーズの三人のビッグ・スターが演じるシリアスなドラマ。
未だに結末が見えてこないテロとの戦い。あの2001年9月11日の衝撃に、ジョージ・W・ブッシュがこれは戦争だ!と叫んだアメリカは、恐怖におののき犯行はアフガニスタンのアル・カイーダと断定。犯人引渡しを要求するが受け入れられず武力行使に踏み切る。
その後イラク戦争に発展。イラク侵攻後、爆弾テロによって米兵の犠牲者が3,555名を数えるようになった。それを背景に政治的プロパガンダを企む政治家。追従してきたメディア。一方で戦場に赴き命を失う貧困層の若者。裕福な階層の若者は、何もしないで御託を並べるだけ。アメリカはベトナム以後も何も変わっていない。どうやらアメリカは、ユニフォームを着た軍隊との戦いには強いが、そうでないゲリラ戦にはめっぽう弱い。
映画は、アーヴィング上院議員(トム・クルーズ)とジャニーン記者(メリル・ストリープ)の単独会見でアフガニスタンへの新しい作戦についてのインタビューの場面。その新しい作戦の戦闘場面。高校でのマレー教授とドットという生徒との面接の模様を並行させていく。
ほとんど室内のシーンでセリフが長くて多い。したがって顔の表情や肉体的しぐさが重要だろう。それらを難なくこなしているように見えるのは彼らの力量か。
相変わらずの政治家、良心を示したジャーナリスト、若者に禍根を残さないよう指導する教授という図式で、結論は見るものの一人一人にゆだねられている。政治家の低レベルや国民の無関心といったものは、日本でも同じといえる。
製作・監督ロバート・レッドフォード1937年8月カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。‘80「普通の人々」でアカデミー監督賞を受賞。
キャスト ロバート・レッドフォード
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メリル・ストリープ1949年6月ニュージャージー州生まれ。‘79「クレイマ-、クレイマ-」でアカデミー助演女優章を受賞。’82「ソフィーの選択」で主演女優賞受賞し、現在までノミネートされること14回、うち助演賞1回、主演賞1回受賞。
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トム・クルーズ1962年7月ニューヨーク州シラキュース生まれ。‘89「7月4日に生まれて」でアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされ、’90「ザ・エージェント」でゴールデングローブ賞を受賞。
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