ミズリー州の観光地オザークで、メキシコの麻薬カルテルに取り込まれ窮地に立つバード家をスリリングに描く。
四人家族のバード家には、一家の主マーティ・バード(ジェイソン・ベイトマン)とその妻ウェンディ(ローラー・リニー)、娘のシャーロット(ソフィア・ラブリッツ)それに息子のジョナ(スカイラー・ゲルトナー)がいる。
マーティは、シカゴで資産運用のアドヴァイザーとして友人とともに会社を経営している。妻のウェンディは、かつて上院議員の選挙事務所で辣腕を振るったやり手。
ところが今、妻の浮気を掴んだマーティの心は不安定。顧客二人を前に応答が揺れ動く。それもそのはず、机上のパソコンには妻の浮気現場の淫らな証拠映像が映しだされている。
そんな時、夜、同僚の友人から呼び出しがあって、駆けつけた倉庫で見たものは凄惨な殺戮の現場だった。全く訳が分からないが、カルテルのボス、デル(エサイ・モラレス。後に殺される)の資金を友人達が横領していたのが分かる。マーティも共犯者として殺される寸前、ポケットに入っていたオザークの観光案内を出しながら「横領された資金を用意するから、オザークで資金洗浄の実績をみせる」と言って難を逃れる。
これがすべての始まり。800万ドル(約8億5千万円)の現ナマを持ってバード一家はオザークへ引っ越した。資金洗浄、麻薬取引、殺人というおどろおどろしい犯罪行為の数々。ウェンディの浮気を知っているマーティの態度が何となく冷ややか。そんな両親を見ながら不安を覚える思春期二人の子供。
隣家のスネイル夫妻がバード家の現金を狙い、犯罪一家のロングモア家も胡散臭い。ストリップバーやカジノ経営で、ロングモア家の娘ルース(ジュリア・ガーナー)を使うマーティ。身分を隠したFBI捜査官ロイ(ジェイソン・バトラー・ハーナ)。カルテルから派遣されてきた弁護士ヘレン(ジャネット・マクティア)の冷酷さ。何もかも人間の強欲のなせる業。
何度か窮地に立たされるマーティを助けるウェンディ。逆にウェンディを助けるマーティ。シーズン3では、不安定な家族関係をさらに追い込むウェンディの弟ベン(トム・ペルフリー)の出現。精神に問題があるベンは、思慮浅く怒りに任せて思ったことを口に出す。弁護士のヘレンと娘のいる場所で、ヘレンに向かって「お前はカルテルの資金洗浄と拷問をしている」と言い放つ。ベンの口からそれを聞いたマーティは大変なことになったと悟る。狼狽するウェンディ。やがてベンは、死体袋に入って届けられる。
そのころ、ヘレンは別の土地でカジノ開業計画をカルテルのボス・ナバロ(フレリックス・セリス)に伝える。生きるか死ぬかの狭間でマーティとウェンディは、必死に活路を見出そうとする。その一方で麻薬を作る地元民のダーレン・スネル(リサ・エメリー)が存在感を示し始める。
そしてボス・ナバロからの電話は、「ヘレンとともに夫婦でメキシコに来い」なのだ。本来プライベートジェットの旅は快適なはずだが、そうとも思えない時間を過ごしてたどり着いたナバロの家。にこやかに迎えるナバロ。握手の手を差し伸べようとしたとき、一発の銃弾がヘレンの頭部を貫通していた。血しぶきを浴びたマーティとウェンディに「今日がスタートの日だ」とナバロ。
ヘレンは大きな間違いを犯した。ナバロの目には、カジノ計画などと出過ぎた真似に映って消された。部下には余計な力を与えない。この世界では出る釘は打たれるのである。
このドラマは、2017年7月シーズン1を、2018年8月シーズン2を、2020年3月シーズン3を配信。
主役二人、マーティ役のジョイソン・ベイトマン51歳、生まれはニューヨーク州ウィンチェスターで妻はポール・アンカの三女アマンダ。ちなみにポール・アンカは、シンガソングライターで1957年「ダイアナ」でデヴュー、しかもビルボード・ホット100の1位にランクされた。よく知られているのは、フランク・シナトラでヒットした「マイ・ウェイ」はポール・アンカの作品。
ウェンディ役のローラー・リニー56歳。映画界とテレビ界で活動してきてさすがに年齢的にアップでは容色の衰えは隠せないが、存在感は十分にあって、遠景の立ち姿はまだまだという感じ。
そのほかのキャストは、バード家の長女役シャーロットのソフィア・ラブリッツ1999年生まれの21歳。
ジョナを演じたスカイラー・ゲルトナーは出自未詳。ルース役はジュリア・ガーナー1994年ニューヨーク、ブロンクス生まれの26歳。
ヘレン役は、ジャネット・マクティア1961年イギリス生まれ。
このドラマは、批評家の評価も良とされている。