アメリカの自動車メーカーフォード・モーター社の高級車、アブラハム・リンカーンから名づけたリンカーン・タウン・カーの後部座席を事務所代わりにしている刑事弁護士マイクル(ミッキー)・ハラー。
二度の離婚経験者。ではあるが元妻のローナ・テイラーはハラーの秘書として手伝っている。もう一人のマーガレット・マクファースンは、検察官でハラーとの間に出来た娘ヘイリーと住んでいる。
顧客といえば麻薬の売人やけちな犯罪者たちが多い。ハラーは次のように自己弁護をする。「社会の多くの人間が私を悪魔と考えているが、彼らは間違っている。私は油で汚れた天使なのだ。私こそまさに真のロード・セイント(市井の聖人)だ。私は必要とされ、望まれている。両方の側に。私は機械の中のオイルなのだ。私はエンジンをかけ、回転させるギアを作動させる。システム(司法制度)のエンジンを動かし続けるのに手を貸している」とはいっても、丘陵地帯にある自宅のデッキからロサンジェルスの光輝く夜景を眺めることや娘のヘイリーをディズニー・ランドへ連れて行くにも金が要るし、家のローンも抱えている。
ちまちました弁護料で満足しているわけではない。ビバリーヒルズの金持ちやセレブを依頼人に持ちたいという願望は捨てきれない。
ルイス・ロス・ルーレイ。白人、年齢30代前半、身長180センチ、体重80キロ、目の色は淡いブルー、しかもビバリーヒルズに在住し母と高級不動産業を営む。
ルーレイは加重暴行容疑で逮捕されていた。これが保釈保証人バレンズエラがもたらしたフランチャイズ訴訟だった。平たく言えば高額な弁護報酬が期待できるという案件だった。
いやでも口元がほころぶが、ルーレイという男徐々に狡猾な側面を見せ始める。というわけで、読み始めたら止まらないということになる。ストーリー・テリングに長けたコナリーを堪能することが出来る。