快晴の12日、ルノワール展に行った。行く前にホテル・ランチを楽しんだ。東京メトロ有楽町線の銀座1丁目駅に直結されているメルキュールホテル銀座東京にあるビストロ、レシャンソンだ。
20卓ほど配された店内は、余計なBGMもなく静かな雰囲気だった。前菜を「小エビとマッシュルームのカソレット ブランデーの香り」。メインディッシュには「バヴェット(牛ハラミ)ステーキ エシャロットソース」を適度な赤ワインで楽しんだ。
十数人のお客のうち半分は欧米の人という客層でカジュアル・フレンチという印象だ。気さくで親しみのあるウェイトレスのお嬢さんに見送られてルノワール展に向かった。
ルノワール展は、鑑賞者が多く静かな雰囲気で楽しむことは出来なかった。こういうと私が美術愛好家に見えるかもしれない。ルノワール以外の展覧会に駆けつけることもない。いたって美術に疎い私。
それがどういうことかルノワールには魅了されている。1991年刊「ルノワール(BSSギャラリー世界の巨匠)を見てからのこと。この本の解説をしている画家・版画家でもあるアメリカ人のウォルター・パッチは、ルノワールについて次のように言う。
『ルノワールは、温かみのある官能的な絵を描き続けた。ある教師にルノワールはこういったと伝えられている「絵を描くことが楽しくなかったら、私が絵など描くことは決してないと思っていただきたい」。
そして自然を表すことを決して止めなかった。彼は自然から自分のインスピレーションを引き出すことを終生続けた。「絵画はもののカタログではない。私は、もし風景画であるならその中を歩き回りたくなるような、またもし女性を描いたものなら、それらを愛撫したくなるような画が好きだ」とルノワールは言う。』
なるほど、そういえば今回のルノワール展には無かったが、ルノワール40歳、1881年の作品「舟遊びする人たちの昼食」のテーブルの上には赤ワインのボトルが数本置かれ、ガラスの透明感や質感の描写に、まさに飲みたくなると思わせるものがある。この絵には、レストランのオーナーやその娘、さらにルノワールと結婚したモデル、アリーヌ・シャリゴーも魅力的に描かれている。
このガラスの透明感や質感をどう描くのかと、水彩画や油絵の手引書を図書館で借りて見たが、どの本にもルノワールの水準に達したものはなかった。
このルノワール展の鑑賞にガラスの透明感と質感に力点を置いた。三点あった。どれも花を生けてある静物画だった。近づいて見ると絵の具を置いてあるだけだが、少し離れて見るとまさにガラス瓶に生けた花々だった。Renoirのサインを見つめながら120年程前、一人の男がキャンバスの前で熱心に絵筆を動かす姿を想像できた。
会場には晩年のルノワールを撮った映像が映し出されていた。リューマチのためか指に包帯をして絵筆を持っている。病をおして好きな絵を描いているという強い印象を持った。
最後にウィキペディアから引用しよう 『俳優のエドワード・G・ロビンソン (1893-1973) は次のように語ったといわれる。「30年以上の間、私はワシントン美術館に定期的に通い、毎日毎日何時間もこの素晴らしい傑作、舟遊びする人たちの昼食の前に立ち、この絵を盗み出す計画を立てていました」』
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