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読書「紫式部の欲望」酒井順子 

2011-07-28 13:32:01 | 読書

               
 「源氏物語」を書いた紫式部の内奥に迫るエッセイである。つまり、したい、されたい、して欲しいという欲望の裏づけがこの物語にはあるという。
 
 なるほど、「連れ去られたい」「ブスを笑いたい」「嫉妬したい」「プロデュースされたい」「頭がいいと思われたい」「見られたい」「娘に幸せになって欲しい」「モテ男を不幸にしたい」「専業主婦になりたい」「都会に住みたい」「待っていて欲しい」「乱暴に迫られたい」「秘密をばらしたい」「選択したい」「笑われたくない」「けじめをつけたい」「いじめたい」「正妻に復讐したい」「失脚させたい」「出家したい」という項目を詳しく論述してある。

 どれもなるほどと思うものばかり。誰でも持っている感情だ。例えば、嫉妬に狂ってライバルを破滅させたいと思っても、現実には思うように行かない。
 ところが、小説という手法を借りればいくらでもアイデアが浮かんで、破滅の淵に追い落とすことも出来る。自己満足の世界ではあるが、ある人によってはストレス解消の妙薬になるのかもしれない。

 一度、恋物語を書いてみればいい。自身の体験を基にすれば、一つは書けるだろう。書いていくうちにストーリーが膨らんできて理想の彼氏や彼女に力が入る筈。なかなか面白い体験で、この本の言わんとするところがよく分かると思う。

 それにしてもこの源氏物語、長大なレイプ物語と言ったらひんしゅくを買うだろうか。70年余りの出来事を登場人物500人で彩り、ほぼ100万文字、400字詰原稿用紙にして約2,400枚と言う大作。

 それにしても女さえ見れば年齢には関係なく迫って関係を持つ光源氏という男、一体どこに絶大な精力があるのだろう? と思ってしまう。自然食品にその秘密があるのかもしれない。光源氏には羨望と妬みが交錯する。

 作者の紫式部の生没年がハッキリしないらしい。諸説あって970年(元禄元年)~978年(天元元年)生まれ。1014年(長和2年)~1031年(長元4年)没と幅広い。40代後半から50代の中ごろまでの生涯であっただろうと推測される。どんな思いでこの小説を書いたのか? 読んだ人がそれなりに推理するのも、また別の楽しみではある。

懐かしのポップス「煙が目にしみるSmoke gets in your eyes」

2011-07-25 13:01:38 | 音楽

              
 恋の炎の煙が目にしみる。恋は盲目とはよく言ったもの。遠い昔の恋に思いを馳せながら、この曲に心を揺さぶられて、ふと、オールディーズはいいな! と思ってしまう。

 過去を振り返るのは、年を重ねたものの特権だろうか? いや、そうではない。その裏付けに、映画製作者のスティーブン・スピルバーグの言葉をお贈りしよう。「私たちは時折、現在より過去に生き、前を見るより過去を振り返る。よい記憶は勇気や情熱をもたらし、今やっていることへの情熱を新たにするんだ」どうです? 至言でしょ?

プラッターズでヒットしたこの曲をどうぞ

They asked me how I knew
My true love was true
I of course replied
"Something here inside
Cannot be denied"

They said someday you'll find
All who love are blind
When your heart's on fire
You don't realise
Smoke gets in your eyes

So I chaffed and I gaily laughed
To think they would doubt my love
Yet today, my love has flown away
I am without my love

Now laughing friends deride
Tears I cannot hide
So I smile and say
"When a lovely flame dies,
Smoke gets in your eyes."

海外ドラマ「ザ・パシフィックThe Pacific ‘10」

2011-07-22 12:45:59 | 海外テレビ・ドラマ

              
 スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスのプロデュースによる‘01「バンド・オブ・ブラザース」がヨーロッパ戦線だったが、今回太平洋戦線を描いた。ともに戦争がもたらす人間の心の変化を抉り出したかったと言う。それを三人の兵士を通じて描いてある。

 日本の真珠湾攻撃は、アメリカ側から見て裏切りの最たるもので許しがたい行為と捉えた。宣戦布告文書を日本大使館の手違いで、攻撃後に届けたことがその原因のようだ。西部劇によくある背中を撃つという卑怯な行為というわけだ。

 「ジャップを殺せ!」ドラマの中で何度兵士が叫んだことか。南太平洋の小さな島々から、沖縄まで米軍は巻き返しを図る。その間、日本軍の描き方がどうしてもぞんざいになる。日本軍は、まるで西部劇のインディアンのように無闇に突撃してくる。
 日本軍はあんな戦術を用いたのだろうか? 玉砕という世界にも稀な集団自殺の強烈な印象が残っているのかもしれない。

 この映画では日本軍の戦術なんてさして重要ではない。攻撃にさらされた兵士の心の動揺が必要だからだ。戦線を制圧した米軍兵士が、無抵抗の若い日本軍兵士を射的の的のように撃ち殺す場面などを織り交ぜながら心の傷を描いてある。そして戦争終結。兵士に笑顔はなかった。兵士は体も心も疲れきっていた。
          
          
          
          
          
製作総指揮
スティーヴン・スピルバーグ、トム・ハンクス

監督は6人。

キャスト 
ジェームズ・バッジデール1978年5月ニューヨーク市生まれ。
ジョン・セダ1970年10月ニューヨーク市生まれ。
ジョセフ・マッゼロ1983年9月ニューヨーク州ラインべック生まれ。

懐かしのポップス「愚かなり我が心My foolish heart」

2011-07-19 09:40:14 | 音楽

               
 1949年のアメリカ映画の主題歌。ヴィクター・ヤング作曲、ビリー・エクスタインが歌って、アメリカで1950年に大ヒットした。勿論、当時の進駐軍のラジオ放送から、日本でも注目される。今やスタンダード・ナンバーとなった。

 ビル・エヴァンスが1961年6月録音したバージョンは不朽の名作と言われている。映画の方は、スーザン・ヘイワード、ダナ・アンドリュースのラブ・ロマンス。

ビリー・エクスタインの歌唱ビル・エヴァンスのプレイでどうぞ

The night is like a lovely tune, beware my foolish heart!
How white the ever constant moon, take care, my foolish heart!
There's a line between love and fascination,
That's hard to see on an evening such as this,
For they give the very same sensation.
When you are lost in the passion of a kiss.

Your lips are much too close to mine, beware my foolish heart!
But should our eager lips combine, then let the fire start.
For this time it isn't fascination, or a dream that will fade and fall apart,
It's love this time, it's love, my foolish heart!

海外ドラマ「ボーンズ Bones~骨は語る シーズン1」

2011-07-15 13:20:28 | 海外テレビ・ドラマ

              
 FBI捜査官ブース(デヴィッド・ボレアナズ)と法人類学者ボーンズことテンペランス・ブレナン(エミリー・デシャネル)が難事件を解決していく。もともとFBIは、二州以上にまたがる犯罪を扱うが、ドラマを観ているとそれが薄れ一般の警察の捜査のように映る。

 ボーンズの骨からの事実に基づいて描かれる犯人像が的確に事件解決へと導く。専門用語が飛び交い頭の中でどの部位のことだろうと考えをめぐらしているうちに、次の専門用語の襲来になり無視することにした。
 劇中ブースも一般人にも分かる言葉で言われると「そういえば分かる」とぶつぶつ言っているのも頷ける。

 ドラマの成否は、やはり登場人物の造形にある。画家で骨の分析を元に3D画像に見事な腕を見せるアンジェラ(ミカエラ・コンリン)、天才と自他共に認め骨の解析ではボーンズも納得するほどのザック(エリック・ミレガン)、虫に関しては他を寄せ付けないジャック(T・J・サイン)。

 個性的な面々がジェファソニアン研究所で日夜骨と格闘している。それらを骨格として事件や個人の背景が肉付けされ見応えのあるドラマとなっている。勿論、男女の情愛やセックスも何気なく語られている。

 主人公のテンペラス・“ボーンズ”・ブレナンは、骨の分析が恋人のようで、結婚とか出産には興味がなさそうに見える。しかし、彼女も生身の人間、時にアバンチュールも楽しむ。事件が起きるとブースとともに車で現場に駆けつける。ボーンズがチャットで出会った投資銀行勤務の男とのデートに、ブースがいちゃもんをつけるのも、なにやら男女の綾を思わせる。

 こういうテレビドラマを続けて観たいと思うのも、出演者に感情移入しているのかもしれない。DVDを入れて画面が現れると、ほっとするのもおかしな感情に思える。またこの人たちに会えたという。このシーズン1の終盤では、ボーンズの過去に起きた家庭の謎が浮かび上がってくる。
           
           
           
           
製作総指揮
ハート・ハンソン1957年7月カリフォルニア州バーリンガム生まれ。

キャスト
エミリー・デシャネル(テンペランス・“ボーンズ”・ブレナン)’09「私の中のあなた」に出演しているが、チョイ役。
           
デヴィッド・ボレアナズ(シーリー・ブース)1969年5月ニューヨーク州バッファロー生まれ。
           
ミカエラ・コンリン(アンジェラ・モンテネグロ)1978年6月ペンシルベニア州アレンタウン生まれ。
           
エリック・ミレガン(ザック・アディーン)1974年8月ニュージャージー州ハケットタウン生まれ。
           
T・J・サイン(ジャック・ホッジンズ)1975年3月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
           
 以上ハリウッド映画ではお目にかかれない連中だ。テレビ界と映画界はくっきりと境界が引かれている様に見える。テレビ界出身の大物のクリント・イーストウッドや今は亡きスティーブ・マックイーンに並ぶ俳優は見当たらない。

読書「フランキー・マシーンの冬 The Winter of FRANKIE MACHINE」ドン・ウィンズロウ

2011-07-11 11:28:00 | 読書

              
 自分でやすりをかけてニスを塗った床、昔ながらの白黒のタイルを自分で貼り、知り合いの大工の助けを借りてカウンターと戸棚をしつらえたキッチン。
 午前三時四十五分、シャワーを浴びて髭を剃り歯を磨く。リビングでステレオにスイッチを入れる。オペラの「ラ・ボエーム」が大音量で響き渡る。
 料理の腕もなかなかのもので、しかも女の扱いも心得ている。そして薀蓄を恋人ドナに披露する。

 「男女の交わりは、うまいソースを作るのに似ている。時間をかけ、適正なスパイスを適正な量だけきっちり使い、一つ一つの味を楽しんでから、じっくり、ゆっくり加熱して、沸き立たせるべし」なるほど至言ではある。

 その居心地のいいアパートから、カリフォルニア最大の埠頭オーシャン・ビーチ・ピアにある釣り餌店に向かうのは、フランキー・マシーンである。今日も幸せな一日で終るはずだった。恋人のドナと愛を交わしたあと自宅前に止まっている車に気がついた。事態は一転して殺されかけるハメになる。

 餌屋のフランキーは、伝説のマフィアで一級の殺し屋だった。フランキーは、なぜ殺されるのか? その疑問を解き明かそうとする。同時におびただしい裏切り、密告、殺人が裏社会のどろどろとした過去が浮かびあがる。

 「俺たちの人生は、すべてのものを一つずつ奪われていく人生、自宅、仕事、家族、友人、信念、信頼、愛、命」それに気がついた時はもう遅い。一級のエンターテイメント小説だった。

 聞くところによると、ロバート・デ・ニーロがマフィア役からの決別宣言をこの小説を読んで翻意したとか。それに、フランキーの好きなクリームチーズをぬりベーコンと紫玉ねぎを挟んだベーグル・サンドイッチを試してみたが、なかなか美味しいものだった。

懐かしのポップス「Why should I care」

2011-07-03 10:49:14 | 音楽

              
 1999年の映画「トゥルー・クライム」のエンドロールに流れる曲。懐かしのポップスというわけでもないが、私の好きは曲である。
 映画は、監督・主演をクリント・イーストウッドが演じている。新聞記者のカンが死刑囚を助けようとするお話。
 ストーリーそのものはあまり印象に残っていないが、なぜかエンドロールで歌うダイアナ・クラールの曲が妙に印象的だった。
 ゆったりとしたメロディーラインが心を落ち着ける気がする。このころから、ダイアナ・クラールは注目され始める。
           
その曲をどうぞ
"Why Should I Care"

Was there something more I could have done?
Or was I not meant to be the one?
Where's the life I thought we would share?
And should I care?

And will someone else get more of you?
Will she go to sleep more sure of you?
Will she wake up knowing you're still there?
And why should I care?

There's always one to turn and walk away
And one who just wants to stay
But who said that love is always fair?
And why should I care?

Should I leave you alone here in the dark?
Holding my broken heart
While a promise still hangs in the air
Why should I care?