「イラクとアフガニスタンからの帰還兵5人に1人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)。約20万人がホームレスである。1日につき22人が自殺を図っている」エンドロールの前にこの字幕が現れる。
このPTSDが話題に上り始めたのがベトナム戦争後のことと記憶している。ではそれ以前、第二次世界大戦にはあったのかなかったのか。あったと考えるほうが自然な気がする。日本軍の「カミカゼ」に恐怖を覚えたアメリカ将兵も多かったはず。
とはいえ、5人のうち4人はPTSDにならないから、個人的な側面も否定できない。それに男女比も分からない。勿論男が多いのは確かだ。最前線を男の兵士が担っているからだ。今後は女性兵士も最前線は否定できないだろう。
戦闘がドローンによる攻撃に変われば少しは改善されるか。しかし、この間観た映画「アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場」の民間人を巻き添えにしたミサイル攻撃でボタンを押した兵士の苦悶を見ると簡単ではなさそう。
映画に戻ろう。タイトルが「マン・ダウン」になっているが、これがキーワードとなっている。「マン・ダウン」は海兵隊用語で「戦友が撃たれた」という意味で、警察が「オフィサー・ダウン」と緊急連絡するのに似ている。
ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)は、原因は定かでないが荒廃した祖国を息子ジョン(チャーリー・ショットウェル)を親友のデビン・ロバーツ(ジェイ・コートニー)と探し回る。この不思議な場面はPTSDのなせるもので幻影を見ている。
現実は自分の家なのにうらぶれた家に見え、そこに息子ジョンが捕らわれていると思い込んでいる。それらをフラッシュバックとともにゲイリー・オールドマン演じるベイトンがガブリエルに質問する形で明らかになっていく。
この映画を政治的なテーマだとしている人もいるが、私はミステリーのメロドラマとみる。ガブリエルと息子ジョンとの間に「愛している」という言葉を「マン・ダウン」に言い換えると言う秘密の言葉になっている。
監督
ディート・モンティエル1965年7月ニューヨーク生まれ。
キャスト
シャイア・ラブーフ1986年6月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ジェイ・コートニー1986年3月オーストラリア生まれ。
ゲイリー・オールドマン1958年3月イギリス、ロンドン生まれ。
ケイト・マーラー1983年2月ニューヨーク州生まれ。
チャーリー・ショットウェル出自不詳
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