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88歳のトニー・ベネット、29歳のレディー・ガガのアルバム「チーク・トゥ・チーク」が素晴らしい。

2015-03-29 15:55:01 | 音楽

 昨年9月に発売された歌手のレディー・ガガとトニー・ベネットがコラボレーションしたアルバム『チーク・トゥ・チーク』が、全米アルバム・チャート「ビルボード200」で1位を獲得した。

 ベネットは、2011年に85歳にして『デュエッツII』のアルバムでビルボード200で1位を獲得し、当時の最年長記録保持者となったが、今回『チーク・トゥ・チーク』で再び1位を獲得し、88歳にして自身の記録を塗り替えた。また、ガガは、本作で3作品連続全米1位を記録した。

 ガガはツイッターで「全米1位を最高の人と獲得できることはとても誇らしい事だと思うわ」と喜びを表し、ベネットも「1位をとる事ができてとてもうれしいです。レディー、あなたは素晴らしいアーティストです」とコメントしている。(ウィキペディアより引用)

 トニー・ベネットは、アメリカで最高の男性ヴォーカリスト、エンターテイナーであることは間違いない。

 本名をステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタというレディー・ガガも独自の境地でエンターテイナーとしての地位を確立している。ガガの曲は、私のような年代ではちょっと受け入れがたいが、この「チーク・トゥ・チーク」では彼女の歌唱力の凄さに驚かされる。

 レディー・ガガは、各種援助活動にも熱心なようで東日本大震災の復興支援にも積極的にかかわった。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災に対し、ガガは即座に「WE PRAY FOR JAPAN 日本の為に祈りを」とデザインしたブレスレットを作成し販売。「収益はすべて日本に寄付する。モンスターたちよろしく」と自身のツイッターでコメントした。その後ブレスレットは2週間で1億2000万円以上売り上げ、全額寄付された。さらにチャリティー以外で個人的にも1億2000万円寄付したことを明かした。

 そんなガガには好意を持ってしまう。しかも「チーク・トゥ・チーク」の収録曲「I can'T give you anything but love」の動画の天真爛漫なガガを見ると「もっとスタンダードやジャズを歌って!」と言いたくなる。

というわけでその曲をどうぞ!
      

73歳のボブ・ディラン F・シナトラのレパートリーを渋く歌う

2015-03-27 17:52:30 | 音楽

               
 「変なおじさんが来てギター弾きながらなにやら怖い曲を歌ってた」 - ディランが、孫の通うロサンゼルス郊外の幼稚園で演奏した際、ディランを知らない子供たちが帰宅後、親に報告した内容だったというから隔世の感がある。(ウィキペディアより引用)

 子供たちはそうであっても私たちの世代では過去の人どころか現役ぱりぱりのおじさんだ。それがまたフランク・シナトラのレパートリーときた。シナトラの馴染み深い曲を避けての選曲という。したがって「MY WAY」などはない。

 今年発売された「シャドウ・イン・ザ・ナイト」というアルバム。その中の1曲「Full moon and empty arms」は、ネットで調べたところラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18」を原曲としているようだ。

 YouTubeでは、1988年生まれの辻井伸行のロンドンでのコンサートがアップされたあった。産婦人科医の父と元アナウンサーの母から生まれ、出生時から眼球が成長しない「小眼球」という原因不明の難病を持ちながらピアノのキーを所狭しと流麗な指使いは圧倒される。

 そして感動とともに涙が伝い落ちる。まさかボブ・ディランから辻井伸行に行き当たるとは思いもしなかった。とにかく嬉しくなる時間を過ごせた。ということで、フランク・シナトラ、渋いボブ・ディランの「Full moon and empty arms」と原曲といわれるラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18」を辻井伸行のコンサートでお時間があればどうぞ!







フィンランドの風景が見られるロードムービー「旅人は夢を奏でる’12」フィンランド映画 

2015-03-17 17:14:46 | 映画

               
 太っちょで足の悪いレオ(ヴァサ=マッティ・ロイリ)は、35年振りに息子ティモ(サムリ・エデルマン)のマンションのドアの前で眠っていた。帰宅したティモは、35年前の父親を覚えているはずがない。それでもレオが「ティモ」と呼んだくらいだから怪しいやつではないだろう。ということで部屋に入れる。

 ここからのやりとりが、ぎこちないながらやはり親子という雰囲気になっていく。ティモはプロのピアニストで妻と子供は実家に帰っていて別居中、マンションでは一人暮らし。

 ティモはレオに聞く、「それで?」
「さあな」とレオ。

 いったい何のために来たのか分からない。このレオという男、コンビニ強盗までもさりげなくやってしまう。店にあったナイロンストッキングで顔を覆い、食品の入った買い物籠を提げてレジで右手のひらをぬっと出す。店員がレジを開ける。金を掬い取り、取った中から札を出し「釣りはいらない」笑っちゃうよ。

 「とにかく北へ向かおう」という事でレオが盗んだオープンカーをレンタ・カーだとウソをついてティモに運転させる。ここで気がつかないとおかしいんだが、ティモの「キーは?」の返事が「最新式だから青と赤の線で掛かる」ティモは納得したのかどうか、すいすいと運転する。この映画は、こんな具合に笑わせながら最後は「ええっ、本当?」という展開で終わる。

 フィンランドという国は、面積が日本より少し小さいくらいだが、人口は約540万人しかいない。だからちょっと幹線道路から外れると人家や車が極端に少なくなる。

 画面は向かって左がレオ、ティモは右の運転席。他愛のない会話が続く。車の後方まで見通せる。淡い外灯に照らされる道路。
 その雰囲気は、私がよく走った真夜中の三桁国道、例えば365号のようだ。前にも後ろにも車なし。時折対向車とすれ違う。ひたすらテープの音楽に耳を傾け、眠気防止のガムを噛む。懐かしい思い出が蘇る。ほとんどは登山へのナイトランだった。

 フィンランドの風景も、わが日本を連想させるには十分で、住宅も日本で建てられている洋風建築とそっくり。そういう連想もあったのか、この映画は意外に印象の残るものとなった。

 レオ役のヴェサ=マッティ・ロイリは、俳優、歌手、スポーツマンとある。このヴェサ=マッティ・ロイリと息子のティモ役のサムリ・エデルマンとのデュエットはなかなか聞かせるものだった。歌ったあとこの二人は男の本性を表した結果、二人の女に財布を盗まれる。

 それがガソリン給油のときに分かる。レオは「まあ、楽しんだから仕様がない。ガソリンは入れて逃げよう」と屈託がない。家族とか親と子の絆をなにげなく描いていて、観て損はないと思う。劇場公開2014年1月
            
            
            
            
            

監督
ミカ・カウリスマキ1955年9月フィンランド生まれ。製作、原案、脚本も担当。

キャスト
ヴェサ=マッティ・ロイリ1945年1月フィンランド、ヘルシンキ生まれ。
サムリ・エデルマン1968年7月フィンランド、ポムリ生まれ。
ティモの妻役イリナ・ビョークルンド1973年2月スウェーデン生まれ。

踊るバイオリニスト 歌声もルックスもいいリンジー・スターリング

2015-03-15 13:23:52 | 音楽

               
 今評判の女の子。billboard Japanから引用してみよう。「いま世界で最も注目を集めるアクロバティックなヴァイオリン奏者、リンジー・スターリング。現在26歳の彼女は、2010年、アメリカの有名オーディション番組『America's Got Talent』でファイナリストとなったことをきっかけに人気が爆発。

 流麗なヴァイオリンの音色に合わせ、時に激しく、時に華麗に踊るパフォーマンスで人々を魅了し、驚異的なYouTubeの動画再生回数を叩き出している。クラシックのみならず、ポップス、カントリー、ヒップホップ、ゲームミュージックなど多岐にわたる楽曲を自己流にアレンジ、またゲームシリーズでは主人公に扮したコスプレを披露するなど幅広いファン層を獲得している」

 また「人気急上昇中の米国バイオリニスト、リンジー・スターリングが12日、都内で日本デビューアルバム『踊る!ヴァイオリン』の発売記念プレミアムライブを行った。ドレスや着物姿でステージを所狭しと演奏しながら駆け回ったリンジーの人気ボカロ曲「千本桜」などを生演奏してファン300人を熱狂した」とある。

私たちの年代でも楽しませてくれるのは間違いない。
「千本桜」と「Lord of the Ring Medley」をどうぞ!

      



戦争は誰のために命をかけるのか? 「フューリーFURY’14」劇場公開2014年11月

2015-03-13 15:56:07 | 映画

              
 残酷さにおいて類を見ないと思うような戦争映画。1945年の第二次世界大戦アメリカとナチス・ドイツの攻防を描く。

 ドン(ブラッド・ピット)を車長に砲手ボイド(シャイア・ラブーフ)、操縦手トリエー(マイケル・ペーニヤ)、装弾手グレイディ(ジョン・パーサル)副操縦手がいたが戦死をとげその後任に軍事務所でタイプライターを打っていた新兵のノーマン(ローガン・ラーマン)が配属されてくる。

 ノーマン以外は歴戦の勇士で、過酷な戦場経験は仲間意識の絆で結ばれている。ノーマンが配属されて態勢を整えたフューリー(FURY)=激情と名前がつけられたシャーマン(M4A2EB)という戦車が、寝食を共にするといっていいもう一つの仲間だった。

 当時の戦車だけの比較ではドイツの方が優勢だった。なにせティーガⅠという重量57トン、前面の装甲は100mm、側面と後面の装甲の厚さ80mm、側面下部60mm、上面と底部25mmという重戦車だ。言うなれば大型トラックと乗用車の戦いだ。

 不利とはいえドイツ親衛隊に憎しみを持つドンの戦意に陰りは見えない。いくつかの戦闘場面と最後の十字路死守の攻防が圧巻だった。

 ある町に進攻する道の電柱に絞首された人体がいくつも連なっていた。首からプレートがぶら下がっている。そこには「国のために戦うことを拒否した卑怯者」と書かれてあった。町の中にもいくつも人体がぶら下がっていた。
 この町にもドイツ兵の残党がいた。引き出される中に親衛隊員がいた。「こいつが吊るしたやつか?」ドンが叫ぶと「そうだ」の返事。「すぐぶち殺せ!」とドンは容赦しない。

 この町でノーマンは、ひと時の安らぎを覚える。それはエマ(アリシア・フォン・リットベルク)と出会ったからだ。ところが、ドイツが反撃の砲弾を撃ち込んできた。運命は皮肉なものでエマのアパートが直撃弾を受け崩壊、エマは即死だった。

 この二人が平和な時代に会っていれば幸せな生涯だったかもしれない。が、戦争があったからこそ出会ったとも言える。運命の神は、冷酷な時もあるようだ。

 戦車同士の戦いも見ものだ。ドイツのティーガは重くて小回りが利かない。そこでシャーマンに乗るドンは装甲の薄い後部を狙う。この一騎打ちが面白い。

 「動くものは何でも撃て」とか塹壕のドイツ兵を「踏み潰せ」と命じキャタピラーは容赦なく通過。総じて残酷な描写の多い映画ではあるが、戦争というものが如何に人間を変えてしまうのか。それをノーマンを通じて語っているように思う。

 そして最後の十字路での親衛隊とのバトルは、ノーマンだけが生き残る。300人を超えるドイツ親衛隊がやって来る。地雷を踏んでキャタピラーを破損したシャーマンに残って戦うか、逃げるか。
 ドンは命令だから死守するといって聞かない。一人でも戦う。結局、全員で戦うわけだが、国家のためではなく戦友を見殺しに出来ないから共に命を賭ける。

 「理想は平和だが、歴史は残酷だ」と言うセリフがあるが、こういう友のために命を失った兵士がいたからこそ今の平和がある。それを忘れてはならないだろう。

 2013年9月から11月までイングランドで本物のティーガを使って撮影された。ブラッド・ピットも、もう52歳。渋みが出てきた。この映画、ドイツでは公開されるのだろうか。ナチス・ドイツが対戦相手だから公開されるのだろう。
          
          
          
          

監督
デヴィッド・エアー1968年イリノイ州生まれ。

キャスト
ブラッド・ピット1963年12月オクラホマ州生まれ。
シャイア・ラブーフ1986年6月ロサンジェルス生まれ。
ローガン・ラーマン1992年1月カリフォルニア州ヴェバリーヒルズ生まれ。
マイケル・ペーニヤ1976年1月イリノイ州シカゴ生まれ。
ジョン・パーサル1977年9月ワシントンDC生まれ。
スコット・イーストウッド1986年3月カリフォルニア州カーメル生まれ。
アリシア・フォン・リットベルク1993年12月ドイツ生まれ。

哀切に満ちたギャングの晩年「逃亡のガルヴェストン」ニック・ピゾラット

2015-03-10 17:57:44 | 読書

              
 2011年のアメリカ探偵作家クラブ賞優秀新人賞にノミネートされただけあって、ニヤリとさせられ最後はほろりとさせられる。

 お話というのは、ギャングの一員のロイ・ケイデイという男がボスの裏切りを切り抜け、テキサス州ガルヴェストンへの逃避行というもの。この逃避行にロッキーという少女とその妹ティファニーを連れて行く羽目になる。それが40過ぎまで独り者で肺がんを患っていると思い込むロイがロッキーたちと別れようとするがなぜか踏ん切りがつかない。

 その辺を安っぽいモーテルに泊まりながら、麻薬中毒の若者、曰くありげな家族、二人の老婦人それにモーテルのオーナーなどを絡ませ、小気味のいい文体とユーモアのある比ゆで読ませる。

 特に二人の老婦人が四歳のティファニーを可愛がるのが微笑ましいし、ロイもつられて老婦人二人とロッキー、ティファニーを連れて近くの海へ海水浴へ出かけるのも幸せな家族の真似事のようで映画の1シーンのようだ。

 そんな幸せな時間は夢のようで、突然ボスがロイの居所を嗅ぎつけて手下を寄こす。ロイとロッキーがつかまりある場所へと運ばれる。助け出してくれたのが元恋人で同じ組織の女だった。逃げる途中別の部屋で首にネクタイを絡ませて死んでいるロッキーを見つけたがなす術がない。

 満身創痍の脱出で病院での最初の供述を翻したことで13年の刑に処せられる。仮釈放になった52歳のロイは、ナイツ・アームズというモーテルに住んでいる。ここの雑用係だ。

 ハリケーンが襲来する日、ドアを開けるとすごい美人が立っていた。たっぷりとした髪は明るいブラウンで、下はジーンズ、上はぴったりとしたタン色のジャケットを羽織っている。

 そう、ロイは彼女が来る前から分かっていた。あの可愛いいティファニーだ。今は成人してグラフィックデザイナーだった。ロッキーに似てすべてが美しい。ティファニーは、記憶にない断片を知りたがった。ロイはすべて真実を話した。

 「診療所で肺のレントゲンを撮った。まるで雪が舞っているようだった」この出だしで私を虜にした。「ティファニーがいとまを告げ車に乗り込む前に足を止め振り返る。おれはドアを閉めて中に入る。やがて走り去る車の音が耳に届く」もう彼女とは一生会えないかもしれない、今生の別れに胸が締め付けられるような哀切に襲われた。

 著者のニック・ピゾラットは、これ以外に長編の翻訳はなさそうだ。本人はテレビの脚本に精を出しているようで、ドラマの「The Killing~闇に眠る美少女」や「True Detective~二人の刑事」がある。
            
 ガルヴェストンといえばグレン・キャンベルの「GALVESTON」という曲があった。その曲をどうぞ! この本の中でもバーでジュークボックスからグレン・キャンベルの歌声が流れる場面がある。
           

心が洗われるような爽やかな印象の映画「セイフヘイブンSAFE HAVEN’13」

2015-03-07 16:51:15 | 映画

              
 有名な俳優は出ていないが、風景とともにそこに住みたくなるという居心地の良さに浸れる。この映画の主人公ケイティ(ジュリアン・ハフ)も同じ気持ちなのか、レストランのウェイトレスの仕事を見つけて森の中のキャビンに住みつく。このケイティは、夫のシカゴ市警の刑事ケヴィン(デヴィッド・ライオンズ)に追われていて身を隠す必要があった。ケヴィンは、暴力亭主であまりの激しさに包丁で傷を負わせ隣家に逃げ込み、夜行バスでシカゴからここノースカロライナ州の港町サウスポート迄たどり着いた。

 妻を癌で亡くし二人の子供と叔父とともに小さな雑貨店を営むアレックス(ジョシュ・デュアメル)との出会いが彼女の運命を決める。そしてもう一人近くに住む女性ジョー(コビー・スマルダーズ)とも友達になっていく。

 執拗に妻を追うケヴィンは、妻を全国指名手配までする。これには署長も許されない行為として停職を命じる。怒りなのか嫉妬なのか狂ったケヴィンは、万難を排してサウスポートに姿を表す。結局、最後は拳銃の暴発でケヴィンは死亡、ハッピーエンドとなる。

 その最後がすばらしい幕切れだった。というのも、アレックスが「To her」と書いた手紙をケイティに手渡す。その内容は、癌でなくなったアレックスの妻ジョーからの新しいアレックスの妻に送る感謝と励ましの言葉だった。

 思いもよらない発想だった。いかにジョーが素敵な女性だったかと分かると同時にアレックスが選んだケイティもそれに倍する女性だった。ジョーへの思慕に重ねるには、ジョー以上の女性が必要だったからだ。

 ケイティと友達になったジョーがまさにアレックスの妻だった。死人が現われてきたというおどろおどろしいものを感じるかもしれないが、そこは物語る上での真意の説明と受け止めたらいい。

 それにしても、自分が死んだあとのために、こういう手紙を残せるというのは素晴らしいことに思える。夫あるいは妻を心から愛していないと出来ることではないだろう。そういう人が何人いるのだろう。

 この映画に出ている俳優一人で観客を集める力は今はないが、女性はキレイだし男性も有名俳優と見劣りしない。ケイティ役のジュリアン・ハフは、いかにもヤンキー娘という感じだし、ジョー役のコビー・スマルダーズは、知的な雰囲気がよかった。
 暴力刑事をやったデヴィッド・ライオンズも独特の風貌で興味をそそられた。美味しい料理とワインのあとで、上質のコーヒーの香りを楽しむような豊かな気分にさせてくれた。
           
           
           
           
           
           

映画の雰囲気をどうぞ!
        
監督
ラッセ・ハルストレム1946年6月スウェーデン、ストックホルム生まれ。

キャスト
ジョシュ・デュアメル1972年11月ノースダコタ州生まれ。
ジュリアン・ハフ1988年7月ユタ州ソルトレイクシティ生まれ。
コビー・スマルダーズ1982年4月カナダ、ブリティッシュコロンビア生まれ。
デヴィッド・ライオンズ1976年4月オーストラリア、メルボルン生まれ。

シェールガス採掘権を買いあさるグローバル社の驚くべき姦計「プロミスト・ランド’12」

2015-03-07 16:33:53 | 映画

               
 1兆円規模の大企業グローバル社はシェールガスの採掘権買占めを目論み、幹部候補生のスティーブ(マット・デイモン)とパートナーのスー(フランシス・マクドーマンド)を農業の町マッキンリーへ派遣する。

 観ていてマッキンリーという村のたたずまいが、建物こそ違うが日本の山間にある集落を思い出させてくれる。もうそれだけでこの映画にのめりこんでしまった。しかも車は古い4WDのマニュアル車、それに着るものはスーツなんて洒落たものは逆効果。フランネルのシャツを着て地元に溶け込む。

 スティーブ自身がアイオワの片田舎出身で、高校生の頃地元にあったキャタピラー社の撤退で町が寂れてしまった経験を持つ。そこで彼は、シェールガスの採掘権の買い上げは「再生への唯一の道」という信念の持ち主だった。

 最初は順調だった。個別訪問が成果を挙げていた。しかし、事態は思わぬ方向へと傾き始める。地元の高校で教鞭をとるフランク(ハル・ホルブルック)の論理的な反論の壁と環境保護団体を標榜するダスティン(ジョン・クラシンスキー)の反対運動が功を奏しつつあった。
 
 フランクは、マサチューセッツ工科大学出身でボーイング社にも勤めた経験があり手強い相手だった。事は思うように進まない。最初の夜にバーで出会った教師のアリス(ローズマリー・デウィット)までダスティンに取られてしまうというていたらく。

 フランクの家で深刻な表情のスティーブを見かねて、フランクは励ましの言葉とともに「君は金を提示して助けてるつもりだろう。私らを。だが私らは見返りに足下の土地を枯れさせる。土地すら失ったらその後はどうなる?」と呟く。

 その夜モーテルに帰ったときフロントから差出人グローバル本社の封筒を手渡された。(ここからはネタバレ)この中に一枚の写真があって、それが環境保護団体の捏造を示すものだった。

 光明がさした。ところがダスティンの言葉は、驚くべき真実だった。つまりダスティンもグローバル社の社員で、巧妙に仕組まれた罠にはまったのがスティーブということになる。会社側は住民の水質汚染などの危惧を先取りして、捏造説で磐石のセールス展開を目論んだというものだろう。

 ここでスティーブが選ぶ道は二つに一つ。会社に忠実に従うか、良心に従うか。スティーブは良心を選んだ。当然クビ。
 スティーブは自ら選んだ道を歩むことになり、祖父から受け継いだ土地を守るアリスのドアを叩いた。

 実際にこういう狡猾で汚い手を大企業が使うのだろうか。使うかもしれないし使わないかもしれない。判然としない。ただ、時々出てくるセリフに「1兆円の企業だぞ!」がある。暗に脅しを表している。これは如実に大企業の腹の奥底といえるのだろう。下請け企業の立場から見ればよく分かる筈。

 映画としては爽やかで後味のいいものだったが、家庭を持っている場合スティーブのような選択が出来たのか。現実にはかなり難しい気がする。とはいっても一見の価値はある。

 いつも思うのは、この映画に限らず小説でも実名の企業や大学が出てくる。この映画の場合、フランクの経歴マサチューセッツ工科大学とボーイングは実在する。この辺のところのものの考え方が私には見えてこない。推測するとアメリカ人は中途半端な架空のネーミングや日本の小説でよく見られるT大学、H株式会社などは受け入れないのかもしれない。私の好みはアメリカ方式だが。劇場公開2014年8月
          
          
          
監督
ガス・ヴァン・サント1952年7月ケンタッキー州ルイビル生まれ。

キャスト
マット・デイモン1970年10月マサチューセッツ州生まれ。製作と脚本にも参加。
ジョン・クラシンスキー1979年10月マサチューセッツ州生まれ。
フランシス・マクドーマンド1957年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ローズマリー・デウィット1974年10月ニューヨーク市クイーンズ生まれ。
ハル・ホルブルック1925年2月オハイオ州クリーヴランド生まれ。

私が時代から取り残された気がする。グラミー賞4冠英シンガー・ソングライター サム・スミス

2015-03-01 16:02:37 | 音楽

               
 「グラミー賞4冠 共感呼ぶ歌声」は新聞のキャプション。先月のアメリカ・グラミー賞で主要3部門を含む4部門で受賞した22歳のサム・スミス。

 主要3部門とは、年間最優秀レコード賞、年間最優秀楽曲賞、最優秀新人賞でレコード賞と楽曲賞は、「スティ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」が選ばれている。3部門以外では最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞で「イン・ザ・ロンリー・アワー」が受賞。

 YouTubeでこの2曲を聴いてみた。いい曲なんだが私の感性には合いそうもない。私の感性が錆付いたのかもしれない。
 新聞記事で音楽評論家の大友博氏は「心に残るいい歌、誰もが自分自身を投影できる歌だと思う。シンプルなメロディーと言葉で、きちんとドラマを作れている」と語る。

 そう言われてもCDを買うとか、車の中で聴きたいとか思わないから合わないのだろう。一度聴いたら十分というセンスのなさ。これはもう時代についていけない証拠なのかもしれない。

 そして私は1950年代から1980年代をさまよう。エルヴィス・プレスリー、ローリング・ストーン、ビートルズ、アバ、エルトン・ジョン等々。このほかにも一杯懐かしい人がいる。フランク・シナトラなどは寸時にも忘れられないビッグ・スターだ。

 クリント・イーストウッドも採算を度外視して、好きな音楽映画を撮っているのだろうか。「ジャージー・ボーイズ」なんて涙を流す人も多い。

 年間最優秀レコード部門でノミネートされたほかの曲も、最早味わいが合わないからお手上げというところ。音楽も嗜好が人それぞれだから気にすることもないのかも。

 ついでに、去年大ヒットした映画「アナと雪の女王」が最優秀コンビレーション・サウンド・トラック賞を受賞している。

「スティ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」と「イン・ザ・ロンリー・アワー」をどうぞ!



これらの曲が大好きという人は、ものすごく若いと言えるかもしれない。