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海外テレビドラマ「ウィルダネス~荒野の裏切りWILDERNESS」2023年制作アマゾン・オリジナル

2023-10-24 16:03:27 | 海外テレビ・ドラマ
 タイトルを見て西部劇かと思ったが違った。夫の度重なる浮気がもたらす妻の復讐劇なのだ。ニューヨークのアパートを新居にするぐらいの高収入の夫ウィル(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)と結婚生活を送るリヴ(ジェナ・ルイーズ・コールマン)は悩みを抱えていた。

 ウィルの女性関係がだらしなく、浮気が発覚するたびに「もう二度としない。君を愛しているよ」と心にもないことを言ってのける。とうとう心をを決めてリヴはその弁解を理解したフリをする。そして念願の中西部の旅へと向かう。リヴの心の奥底では、殺意がふつふつと湧き出してくるのだった。

 森に囲まれたホテルに投宿してハイキングに出た。駐車場でウィルの同僚の女性と出会った。ウィルは偶然を装っているが、リヴにはその女の記憶がある。ウィルは何気ないそぶりをするが不倫相手なのだ。そしてその雨の夜、その女性が殺されるという悲劇が起こる。

 ウィルがリヴに泣きついてくる。「午後11時半ごろに帰ったことにしてくれ」と。リヴは口元に笑みを浮かべながら承諾した。真相は夫と間違えてその女性を後ろから殴ったのがリヴというこを、知っているのはリヴ本人だけなのだ。

 女たちの本性を知らないウィルが悲しい。ラストシーンでリヴは次のように言う。「男に頼ってばかりで自らトラブルを招く。女をいつもそう、いつまでそうなのか。終わりにたどり着くまでよ。すべての終わり、我慢の限界まで。それでどうなる? 恐るべき存在になる。恐ろしいオオカミに……」とはいってもいつも女が悲劇のヒロインではない。

 1990年代クリントン大統領との不倫で有名になったモニカ・ルインスキーは、悲嘆にくれることになる。クリントンは否定を言い続け、弾劾裁判をも無罪で終える。噓つきのクリントンなんだが、モニカ・ルインスキーはオオカミになれなかった。不倫の代償は大きいと言える。

ジェナ・ルイーズ・コールマン1986年イギリス生まれ。2012年~17年の「ドクター・フー」で有名に。


社会「ハーヴェイ・ワインスタイン事件とジャニーズ問題」

2023-10-05 13:02:48 | 社会
 ハーヴェイ・ワインスタイン事件というのは、過去の強制暴行や強姦、性的犯罪行為、性的虐待などの容疑でニューヨーク市警に逮捕され、2020年6月にニューヨークの裁判所から禁固23年の刑を言い渡され、ニューヨーク州バッファローの刑務所に収監されたとする事件。

 このハーヴェイ・ワインスタインという人物、大物プロデューサーで「ミラマックス」という映画プロダクションを成功させた人物なのだ。彼自身も1998年にプロデュースした「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞作品賞を受賞している。プロデューサーとしては有能だったが、残念ながら異常な性癖の持ち主だった。

 2017年大手地方紙ニューヨーク・タイムズは、ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーという女性記者による調査報道記事を掲載した。これがきっかけで逮捕・収監となり#Metoo運動にも発展する。これの詳しい経緯は、2023年の映画「SHE SAID~その名を暴け」がいいと思う。アマゾン・プライムで観ることができる。

 一方ジャニーズ問題の張本人故ジャニー喜多川の性癖ボーイズ・ラヴが賑やかだ。1999年週刊文春が特集記事を掲載、それに対して名誉棄損としてジャニー側が訴えたが敗訴する。それから20年近くジャニー喜多川の性的虐待が続く。

 2023年3月、BBC(イギリス公共放送)が、ドキュメンタリー番組「Predator: The Secret Scandal of J-Pop(邦題: J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」が放送され、ジャニー喜多川が故人ということもあってか、メディアも取り上げるようになった。このメディアの姿勢には失望する。ニューヨーク・タイムズのようにワインスタインの脅しにもめげず、毅然として初志を貫徹した。報道機関の矜持を感じる。

 ひるがえって我が国、外国の報道機関の一矢(いっし)によって、我が国の報道機関がこぞって取り上げる様子は情けない気がする。特にNHKだ。公共放送なら早々にこの問題をジャニー喜多川の生前に放送すべきだった。勇気もプライドもないNHK。朝も夜もニュース番組に何人ものアナウンサーを並べているのは無駄というものだ。個性的なキャスターを育て、一人で放送してもらいたい。ひいては受信料の値下げに発展すれば言うこなし。

 しかし、この二人の異常性癖者が男であることが悲しいというか哀れだが、ある意味男の宿命か。ほとんどの男は理性で何とか乗り越えてはいるが……。主題からかなり外れてしまったが悪しからず。ちなみにBBCのドキュメンタリー番組に関心があれば、どうぞご覧ください。

読書「ケイトが恐れるすべてHer every fear」ピーター・スワンソン著創元推理文庫2019年刊

2023-10-04 10:32:02 | 読書
 ロンドンに住む若き女性ケイト・プリディーは、幼少の頃に不安障害 空想傾向障害とセラピストに言われたことがある。成人した今でもその傾向は治らない。飛行機や船も怖いし人込みも苦手、彼女は常につぎの瞬間、悲劇の瞬間を生きている。

 何かにつけてマイナス思考をすという困った性癖ながら5年前、嫉妬深い恋人ジョージ・ダニエルズにクローゼットに閉じ込められた上、ジョージが自殺するという恐怖の体験もあったが、今ボストンの高級住宅街ビーコン・ヒルにあるヴェネチアの宮殿をモデルにした三階建ての華麗なアパートメントに到着した。やや自信を取り戻した気分にはなる。この豪華なアパートメントに来たのは、一度も会ったことがないまたいとこ(又従兄)のコービン・デルがロンドン転勤を機にケイトの部屋と交換した結果なのだ。広くて豪華な住居は、コービンが父親の遺産を受け継いだものだった。

 ケイトが到着した日、隣に住む女性オードリー・マーシャルを訪ねてきた女性が、オードリーと連絡がつかないと騒いでいた。 本を読んでいて寝込んでしまったケイトはドアのノックに起こされた。訪問者はロバータ・ジェイムスという女性刑事だった。その刑事から知らされたのが、オードリー・マーシャルが殺されたということだった。

 この事件が又従兄のコービンを巻き込んで、意外な展開を見せる。ダークな殺人者がケイトに迫る。私の好みの作品ではなかった。しかし、解説は最上級の賛辞を送っているようなのだ。例によってgoogleマップのストリートヴューで、ビーコン・ヒル周辺を散策した。中にいい雰囲気のバーがあった。そのバーは、1927年創業らしい。その中に若き私自身がいて、透き通るような肌とブルーの瞳を持つ女性とワインかマーティーニを楽しむのを想像した。