12月13日「人気タレントが、独立した途端にテレビやメディアから干されて消える」。長い間、ささやかれてきた芸能界の慣習に公正取引委員会が切り込んだ。 という書き出しの日本経済新聞電子版。
一連の芸能界の騒動を見て、芸能事務所はまるで置屋だと思った。置屋というのは芸者や遊女を抱える家。料亭や旅館の求めに応じて派遣する。従って彼女たちは家に所属する。芸能人も事務所に所属していると言える。実に古い因習が21世紀の時代にも続いている。どうやら日本人は改革という言葉が嫌いなようなのだ。
日本のプロ野球、セパ交流戦が始まったのは2005年。これより前、1997年にはアメリカ・大リーグがアメリカン・リーグとナショナル・リーグがインターリーグとして公式に行っていた。ファンの希望を取り入れたとはいえ盛況が続いた。
遅れること8年でようやく実現したセパ交流戦。この例を見てもとにかく動きが遅い日本だ。野球界を改革してアメリカが見習うよなことをしてみろ、 と言いたい。
芸能界はまだまだ江戸時代か、 という揶揄もあながち的外とは言えないかもしれない。アメリカのエンターテイメント界やスポーツ界では、エージェント(代理人)とクライアント(顧客・取引先)という関係が確立している。あくまでも対等でクライアントの契約金額の10%~20%がエージェント料としている。
エージェントも大小様々でクライアントの成長に従い小から中、大へとエージェントが代わっていく。しかも大であっても同じ大に契約変更は日常茶飯事。集団を尊重する日本と個を尊重するアメリカといえる。
日本は演技から売り出しまですべてを指導する芸能事務所。アメリカは個の努力次第。若手のその他大勢組は、あらゆるオーディションを受けまくり演技力を醸成していると聞く。そのオーディションもネットで募集していて誰でもいつでもOKというのを聞いたことがある。
自分のスキル・アップと与えられる機会均等に挑戦できるアメリカ。スキルを磨くのには入るのが難しい有名な俳優養成所アクターズ・スタジオ。ここで演技や発声練習の勉強をする。ここを出た名優が一杯いる。アカデミー賞主演女優賞を何度も獲ったメリル・ストリープ、マリリン・モンロウ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン等々。
日本の集団尊重は、社内教育という形にも表れている。勉強だけしか知らない学生や勉強をあまりしなかった学生の再教育とわが社の社風を植え付ける社内教育。しかし、これも時代に合わないのではないか。今の若い人に忠誠心を求めること自体がナンセンスな気がする。私は後期高齢者だが、会社なんて賃貸住宅と同じ、嫌になれば別の住宅に移ればいいと思っている。
最近話題の不適切保険契約の日本郵政グループの経営者、こんな経営者の下で働こうとは思わない。こんな現状に公正取引委員会がどこまで芸能事務所を改革できるか見ものである。