天気は予報通り晴れて、気温も二十度近くに上がるという絶好の日和になった。ただ、花粉の飛散が多くなるとも言っていた。自宅を出たのは午前9時。今回は妻も同行すると言って、弁当も用意してくれた。
この時間帯は当然車が多い。しかも一般道を走るので時間はそれなりにかかる。時間がかかるといっても、満願寺に着いたのが午後1時半だったからほぼ4時間半の所要になる。
わたしにとって4時間半は、慣れ親しんだ時間で、かつて登山に精力を費やしていたころの日常茶飯事だ。おまけに年金生活者で、時間に制約のない身となればなおさら気にすることもない。
今回は栃木県の霊場札所満願寺、大谷寺(おおやじ)、西明寺(さいみょうじ)の三ヶ所を巡る予定になっている。栃木市出流町288にある満願寺の駐車場の車の中で弁当を広げた。
なかなか雰囲気のいいお寺で、参拝者の来訪も多く見られる。満願寺は、天平神護元年(765年)に日光市にある輪王寺(山号日光山)を開いた奈良時代から平安時代初期の僧、勝道上人によって開創された。
下野の国司であった高藤介の妻が、子宝に恵まれなかったのを嘆き、奥の院、「観音の霊窟」(鍾乳洞)にこもった。日夜、子授け祈願を続け、授かった一子が勝道上人。以来、奥の院に祀ってある鍾乳石で自然にできた「十一面観音菩薩」は子授け、安産、子育ての霊験あらたかであると多くの人の信仰を集めている。
その後、弘仁十一年(820年)、真言宗の宗祖、弘法大師が勝道上人の徳をしたって参詣し、その折りに銘木で造立したのが本尊「千手観世音菩薩」である。
わたしたちは時間がないため、残念ながら奥の院までの1.5キロの道のりを割愛した。今回から仁王像にもカメラを向けようと思っている。この仁王像、誰が彫ったのか説明がないので分からないが、お寺によってその表情が違うのでなかなか面白いものだと思っている。
なかなか面白い表情ながら、降り積もった埃で真っ白
どこでも作者不明が多い。地元の無名の人たちの作品か。
県指定文化財本堂、市指定文化財仁王門。満願寺から下っていくと山を切り崩して土砂を採取している工場があって、道路は真っ白、人家の塀も白く汚れていた。その土砂を積んだダンプを、国道293号線まで追尾していった。
この土砂はおそらく通気性や保水性に優れていて、農業や園芸に適した鹿沼土ではないかと思う。鹿沼市はここからたいして時間はかからない。