幼い自分の子供を失った傷は癒せるのだろうか? レベッカ・コーベット(二コール・キッドマン)とハウィー・コーベット(アーロン・エッカート)夫妻は、自宅前で息子を交通事故で失った。いまだに心の傷が癒されることがない。
お隣からのバーベキュー・パーティ招待も口実を付けて断っている。夫婦で子供を亡くした親たちの会合にも出席するが、どうもしっくり来ない。レベッカはその会合にも出なくなる。
夫のハウィーからもう一度子供を作ろうと提案されるが、セックスそのものに気持ちが乗らないと言うレベッカ。レベッカは子供を思い出させるものを捨てようとして、母親のナット(ダイアン・ウィースト)に手伝ってもらって地下室にそれらを置いて眺めた。「忘れられる?」とナットに聞く。ナットも子供を亡くした経験がある。「忘れられないわ。ただね。重い大きな石だったのがポケットに入るくらいの小さな石になることはあるわ。その石を忘れているときもある。でも、ふとポケットの石に触れて思い出したりするわ」
そう、忘れることは出来ないし、忘れてはいけない。加害者の高校生ジェイソン(マイルス・テラー)は、コミックを描くのが得意で「ラビット・ホール」という本を制作していた。このラビット・ホールと言うのは異次元の世界へ通じるウサギの通り道のことで、その世界には自分と同じ人間が生活していてそこへ行けば会えるという空想の世界だった。
その話しを聞きながらレベッカもなぜか心の落ち着きを感じていた。人間は残念ながら非常に脆い存在で、何かにすがらないと生きていけない生き物ではある。母の言葉や空想の世界とはいえどこかに息子の存在を信じながら気力を取り戻したレベッカ。
それにしても50歳に近い二コール・キッドマンは、相変わらずキレイだった。なお、本作で2010年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
監督
ジョン・キャメロン・ミッチェル1963年4月テキサス州エルパソ生まれ。
キャスト
二コール・キッドマン1967年6月ハワイ州ホノルル生まれ。’02「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞受賞。
アーロン・エッカート1968年3月カリフォルニア州サンタクララ生まれ。
マイルス・テラー1987年2月ペンシルヴァニア州生まれ。
ダイアン・ウィースト1948年3月ミズーリ州カンザスシティ生まれ。’94「ブロードウェイと銃弾」で2度目のアカデミー助演女優賞を受賞。