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映画「私の名作映画」

2023-04-27 15:42:02 | 映画
 十人十色と言われるように人それぞれで、例えばイギリスの映画雑誌「エンパイア」の歴代ベスト100のうちベスト10を見ると
   1ゴッドファーザー 
   2レイダース/失われた聖櫃 
   3スターウォーズ/帝国の逆襲 
   4ショーシャンクの空に 
   5ジョーズ 
   6グッドフェローズ 
   7地獄の黙示録 
   8雨に唄えば 
   9パルプフィクション
      10ファイト・クラブ となっている。
 
 もう一つ、アメリカ、ロサンゼルスにあるAFI(American Film Institute)のベスト10では
   1市民ケーン 
   2ゴッドファーザー 
   3カサブランカ 
   4レイジングブル 
   5雨に唄えば 
   6風と共に去りぬ 
   7アラビアのロレンス 
   8シンドラーのリスト 
   9めまい 
  10オズの魔法使い となっている。
 国が違えばかなり色合いが違ってくる。ゴッドファーザーと雨に唄えばが共通している程度だ。

 そして私のベスト10は
   1第三の男 
   2ゴッドファーザー 
   3風と共に去りぬ 
   4カサブランカ 
   5ウェスタン 
   6若草物語 
   7十二人の怒れる男 
   8裏窓 
   9男と女 
  10理由なき反抗 とずいぶんと違ってくる。
 
 さて私の選んだベスト10について少しコメントしてみよう。
 1第三の男(1949年)は、なんといってもラスト・シーンが忘れられない。キャロル・リード監督、名優といわれるオーソン・ウェルズ、ジョセフ・コットン、イタリアの美女アリダ・ヴァリのキャスト。そしてアントン・カラスのツイターの演奏するテーマ曲。モノクロ映像が織りなす光と影がミステリアスで、戦争の負の遺産を背負った人たちの生きざまを哀しくも美しく描く。特にラストシーンでの女を怒らせれば怖いぞと警告にすら見える。
 
 第二次大戦後のオールトリアのウィーン。アメリカ人作家ホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)は、親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)から仕事の依頼でやってきた。ハリーのアパートを訪ねると管理人から、前日自動車事故で亡くなったと告げられる。信じられない思いから、真相究明に乗り出す。

 その過程でハリーの恋人アンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)と出会う。二人で再び管理人と会って、第三の男の存在を知る。そしてハリーが闇で粗悪なペニシリンを売りさばき、多くの人々が苦しんでいる実態も知る。ハリーがそんな極悪非道な男だったのを知り、帰国を決める。

 そしてアンナに挨拶のために行く途中ハリーに遭遇、ハリーは闇に紛れて姿を消す。この事実を警察のキャロウェイに相談する。念のために墓を掘り返すと、別人の遺体が出てきた。同じころアンナがパスポートの国籍偽造で逮捕される。警察はホリーにハリー逮捕の協力を求めて来た。ホリーはアンナ釈放を条件に受け入れる。そして罠をしかけてホリー自らの手でハリーを射殺する。ハリー埋葬の日、アンナはホリーと目を合わすこともなかった。

 グレアム・グリーンの原作と脚本になっているが、小説のほうでのラストは、ホリーの腕にアンナが手をかける場面らしい。甘いラヴロマンスとして終わるが、映画ではそうではない。ホリーの裏切りに怒っているのだ。女を怒らせると、ほんとうに怖い。

 2ゴッドファーザー(1972年)は、イタリア移民の悲哀を描き出した大叙事詩というけれど、マフィア映画がここまで支持されるとは驚きではある。主題曲ニーノ・ロータ作曲の「愛のテーマLove Theme From The Godfather」の心地よい響き、出演する俳優の豪華さ、ストーリーへの共感と相まって映画の魔力のなせる業か。

 この曲は、最初に「Speak Softly Love」としてアンディ・ウィリアムスが歌った。私は今でもしょっちゅう聴いている。

 3風と共に去りぬ(1939年)も南北戦争を背景にした大叙事詩といえる。主役を演じるのはスカーレット・オハラ役のヴィヴィアン・リー。この映画も女の強さを描いている。そして相手役レッド・バトラー役としてクラーク・ゲーブル。クラーク・ゲーブルを見たとき、ちょび髭でにやけている感じが好きになれなかった。ところが後年東京地下鉄丸ノ内線でクラーク・ゲーブルのちょび髭のないハンサムなそっくりさんを見かけた。改めてクラーク・ゲーブルがハンサムなのを知ったのだ。以後違和感を持っていない。この映画の主題曲「タラのテーマ」もいい曲だ、すぐに頭の中で鳴り出す。

 4カサブランカ(1942年)。個性的なハンフリー・ボガードとスウェーデン出身の美人女優イングリッド・バーグマンの共演。1941年の「ジェキル博士とハイド氏」でイングリッド・バーグマンがすごくキレイだったのを思い出す。この映画も主題曲「As time goes by」の心地よい旋律とともに大義を重んじ愛を捨てる格好いい男ハンフリー・ボガード。ボギーという二ックネームで親しまれる。

 5ウェスタン(1968年)西部開拓時代の末期、私利私欲の輩が多い時代に、女が敢然と立ち向かい生きていく。それを助けるまさに大義を重んじる男たちを描く。エンニオ・モリコーネの音楽が冴える。それは抒情的な「Once Upon a Time West」。

 さらにギャングの親玉役のヘンリー・フォンダ。牧場主家族皆殺しの場面。子供を射殺するときの表情が、あの知的で穏やかなヘンリー・フォンダが豹変して、鬼の形相といってもいい恐ろしい顔が今でも忘れられない。

 6若草物語(1949)マーヴィン・ルロイ監督四姉妹を演じるのはジューン・アリソン、ジャネット・リー、マーガレット・オブライエン、エリザベス・テイラー。作者ルイーザ・メイ・オルコットの半ば自伝的小説であり、児童文学、家庭小説、少女小説、青春小説、教養小説、女性文学でもあるとウィキペディアにある。四姉妹の成長物語でもある。

 この映画を観たときエリザベス・テイラーの美しさに心を奪われたのである。「世の中にこんな美女がいる」と。もっと鼻を高くしようと、洗濯ばさみを鼻に挟んでいるシーンの映像は今でも鮮明だ。

 7十二人の怒れる男(1957年)父親殺しで起訴された少年の裁判で、証拠や証言が少年に全く不利な状況下だった。陪審員全員一致の有罪を多くの人が確信していた。しかし、陪審員番号8番の男(ヘンリー・フォンダ)による提案が、次々と矛盾を露呈していくという脚本と演出の圧倒的な力で、観る者を感動の虜にする。この映画の再放送を私の中学生の息子と娘と観たとき、二人とも感動していたのを覚えている。

 8裏窓(1954年)アルフレッド・ヒッチコックが制作した一級のサスペンス映画。足を骨折したカメラマン(ジェームズ・スチュアート)がアパートで自宅療養中、暇を持て余し裏庭の窓から人々を観察し始める。怪しい男を発見する。恋人のリザ(グレース・ケリー)に手伝ってもらうが、男が感づいて襲ってくるというサスペンスなのだ。美女グレース・ケリーを堪能したものだ。

 9男と女(1966年)フランスの恋愛映画。映画のスクリプト係のアンヌ(アヌーク・エーメ)とレーサーのジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)の恋物語。フランシス・レイの主題曲とともに忘れえぬ映画となっている。20年後の1986年「男と女Ⅱ」として続編が作られ、2019年「男と女 人生最良の日」として三部作の掉尾を飾った。 ジャン=ルイ・トランティニャンの遺作となったし、 アヌーク・エーメも最後の作品になるのだろう。彼女は90歳で、まだ人生を楽しんでいる筈。

 10理由なき反抗(1955年)1955年9月30日24歳の若さで他界したジェームズ・ディーン。1955年の「エデンの東」、1956年「ジャイアンツ」。「エデンの東」でスターの地位を不動のものにしたが、運命はいたずら者でディーンの命を奪った。若者の理由なき反抗は、誰にでもあること。過ぎ去って振り返ってみれば、赤面のことばかり。アメリカの作曲家でジェームズ・ディーンの友人デイヴィッド・ダイアモンドは「私は彼ほど孤独な人間をほかに知らない」と言う。確かにそういう表情とか所作に現れていた気がする。

 それでは記憶に鮮やかな「第三の男」のラストシーンを観てください。映画の雰囲気を味わっていただけると思う。はらはらと落ちる落ち葉が、アンナの寒々とした心を表しているかのように。
ホリー「キャロウェイ 彼女の面倒を頼む」
キャロウェイ「彼女が断るさ」
ホリー「降ろしてくれ」
キャロウェイ「時間がない」
ホリー「このままじゃ帰れん」
キャロウェイ「冷静になれ」
ホリー「そんな器用じゃないさ キャロウェイ」
ホリーはジープから降りてアンナを待つ。


読書「業火の市」ドン・ウィンズロウ著2022年ハーパーコリンズ刊

2023-04-24 13:05:56 | 読書
 書き出しは「ダニー・ライアンが見ていると、海の中から一人の女が浮かび上がる。わだつみの夢から抜け出した幻の美女のように。けれども、この女は現実だ。トラブルの火種になりかねない。こんな美しい女は、たいてい厄介ごとをひき起こす」

 ブロンドの髪、深いブルーの瞳、黒のビキニが隠すというより強調しているボディ、腹は平らで張りがあり、脚は筋肉質ですべらかだ。その女を見ているダニ-ー・ライアンは、ロードアイランド州の州都プロヴィデンスでイラリア系マフィアと張り合うアイルランド系マフィアの一員だった。

 現在はイタリア系のマフィアと共存共栄の状態だった。これらの組織も、企業間競争と同様弱肉強食の世界である。ダニーは父親マーティ・ライアンから続くファミリーの一員で、妻もドンの娘テリと結婚している。そんな境遇にありながら、大・中・小の商店からのみかじめ料やトラックを襲って積み荷の強奪、売春、賭博などの上りで生きているのが疑問に思っている。しかし、現実は厳しい。

 ファミリーのドンには、長男パット、次男リアム、長女キャシー、ダニーの妻の次女テリという兄弟姉妹がいる。特に次男リアムが問題で、口先だけの男で実行力にかけるが、こいつがかなりハンサムときている。そして問題が起こる。冒頭でダニーが見とれていた美女パム・ディヴィスを連れて突然現れる。結婚したという。しかし、このパム、イタリア系マフィア、ポーリー・モレッティの恋人だったのを横取りしてきたのだ。ついに導火線に火がついた。

 本作は、三部作の第一部となっているらしい。解説によれば、「物語の筋立てがギリシャ神話をなぞっていることである。古代ギリシャの詩人ホメーロスの“イーリアス“と“オデュッセイア“や、古代ローマの詩人ウェルギリウスの“アエネーイス“とある。

 確かに「第一部パスコ・フェリのビーチパーティ」に海辺の写真とともにホメーロス“イーリアス“第二歌さあ、腹ごしらえをせよ。戦は近い。がある。

 ドン・ウィンズロウの作品は、ニール・ケアリー・シリーズを読んでファンになった。ここ最近は裏社会の物が多くなったようだ。かつてのマリオ・プーゾの「ゴッドファーザー」級を狙っているのだろうか。ネットでこんな記事を見つけた。「「エルヴィス」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたオースティン・バトラーが、ベストセラー作家ドン・ウィンズロウの小説「業火の市」を映画化する新作に主演すると米Deadlineが報じた」これも楽しみではある。

海外テレビドラマ「パレーズ・エンドParade's End 」イギリスBBC TwoとアメリカHBOが2012年に製作した。

2023-04-22 14:17:15 | 読書
 1908年代に放蕩な妻と謹厳実直な夫の心の動きを織りなすラヴ・ストーリー。統計局に勤める頭脳明晰な貴族のクリストファー・ティージェンス(ベネディクト・カンバーバッチ)は、列車の個室で出会ったシルヴィア(レベッカ・ホール)と結婚した。しかし、シルヴィアは懐妊していた。これを伏せたままシルヴィアの放蕩は治まらない。

 しかもクリストファーの強烈な怒りもない。つまり暖簾に腕押し状態。親友に語ったクリストファーの心境は、「離婚は下品だし紳士である以上しない。浮気もしない。彼女の夫が務まるのはインド総督ぐらいのものだ」ここで言うインド総統は、国王エドワード7世のことと思われる。エドワード7世は、1901年から1910年までインド皇帝を務めたとある。

 シルヴィアの男とのアバンチュールは、夫・子供を残してパリに駆け落ちという事態になった。一方のクリフトファーにも変化があった。統計局では、「統計局は閣僚の主張を支持する義務がある。法案を正当化する数値を出せ! 要望に沿うのが君から出てこないなら、担当を外されるぞ!」と脅される始末。やむなく数値を改変した。

 そんなときの気晴らしはゴルフに限る。そのゴルフ場に乱入してきたのが、ヴァレンタイン・ワノップ(アデレイド・クレメンス)という若い女性参政権活動家だった。クリストファーが追っていた警官から逃がしてやり、徐々に二人は接近していく。ヴァレンタインの心は、妻でなくてもいい愛人でもいいという惚れようなのだ。この心は封建的な空気が横溢していた時代にしても、ヴァレンタインの女性の地位向上を標榜している運動とは相いれない。よく言われる恋は盲目というわけか。

 ヴァレンタインとの関係を知ったシルヴィアは、夫を取り戻そうとするが時すでに遅し。やがて恋のパレードの終わりが見えてくる。

 BBCの作るドラマが大好きで、さがして観ている。品があって出演する俳優もいいしストーリーも面白いからだ。
 1976年ロンドン生まれの ベネディクト・カンバーバッチは、15世紀のイングランド王リチャード3世の血縁で演技力も高く評価されいる。

 1982年生まれのレベッカ・ホールも演技力には恵まれている。本作では憎々しいほどの女を演じた。

 可愛いいアデレイド・クレメンスは、1989年オーストラリア生まれ。 ベネディクト・カンバーバッチと裸のラヴ・シーンを見せてくれる。


読書「葬られた勲章Gone Tomorrow」リー・チャイルド著2020年講談社文庫刊

2023-04-18 10:35:37 | 読書
 ニューヨーク市の地下鉄6系統。レキシントン・アヴェニュー線各駅停車、川崎重工業製で北のアップタウン行き。時刻は午前2時、ジャック・リーチャーが乗り込んだ車両に乗客5人。
30代から40代に見える古びたレジ袋を手首にかけた小柄なヒスパニック系の女。

 バルカン半島か黒海周辺の出身かもしれない、黒っぽい髪と皺の寄った肌、筋張った体は仕事と気候のせいで肉が落ちている。年齢は50ぐらいだが、イヤに若作りだ。だぶついたジーンズは裾がふくらはぎまでしかなく、大きすぎるNBAのシャツという出で立ち。

 3人目は西アフリカ系かもしれない女だった。やつれて黒い肌は、疲労と照明のせいでくすんだ灰色になっている。色鮮やかなローケツ染めのワンピースを着ている。

 チノパンにゴルフシャツの男。正面をじっと見つめ遠い目になったり鋭い目になったりしている。

 5人目が40代とみられる平凡な白人の女。服装は黒ずくめだ。元憲兵隊指揮官だったジャック・リーチャーの目には、この黒づくめの女が自爆テロリストに見える。そこで警官と偽って「両手を出してくれないか?」と言った。無言の時間が過ぎていく。「片手でもいいから出してくれ」不承不承、女は右手を出した。そこには銃身4インチの古い大型リボルバーで、銃口がジャックに向いている。こんな場面、誰でもハッと息をのむ。女が顎をあげる。その下の柔らかな肉に銃口を押しあてる。引き金を半分ひく、輪胴が回転し撃鉄が起きる。そして自分の頭を吹き飛ばした。

 これがこの物語の衝撃の導入部で、家なし車なし、電車とタクシーと歩きが移動手段のジャック・リーチャーが解き明かすバイオレンス。ニューヨークに精通しているジャック・リーチャーならではの推理が冴える。

 著者のリー・チャイルドが放つ本シリーズは、2020年までで25作あって、うち12作が邦訳されている。トム・クルーズ主演の2012年制作の「アウトロー」、2016年制作の「ジャック・リーチャーNever Go Back」や2022年アマゾン・オリジナル・テレビ「ジャック・リーチャー~正義のアウトロー、シーズン1」もドラマ化されている。気晴らしに読んだり観たりするには格好の題材ではなかろうか。そのリー・チャイルドは、1954年イングランド、コヴェントリ生まれ。1998年アメリカに移り住む。



読書「最後の審判FINAL RECKONING」ロバート・ベイリー著2021年小学館文庫刊

2023-04-09 11:13:21 | 読書
 肺がんの末期に苦しむ引退した弁護士トム・マクマートリーとその家族に襲い掛かる、殺人鬼の死刑囚ジムボーン・ウィラーとの死闘が描かれる。狂気の殺人者に対しては、法はなんの力もない。あるのは最後までやり抜くという強い心だけなのだ。 と悟った元弁護士トム・マクマートリー。死刑囚監房から仮病を使って市内の救急病棟に移動、そこからやすやすとこの害虫が世間に放たれた。それには刑務所所属の看護師シャーロット・トンプソンの協力があった。

 誰も第一希望の職種でない刑務所の看護師。それを何十年も務めてきたシャーロット・トンプソンの心は、人生に変革を求めた。何十万ドルもの礼金は、嫌な臭いのする刑務所からの離別を意味した。しかし、ガソリンスタンドのトイレで発見されたシャーロット・トンプソンは、鋭利なナイフで首を切られていた。

 この作家の得意とする法廷場面が殆どなく、余命いくばくもないトム・マクマートリーの、まるで西部劇の決闘を思わせるバイオレンスに満ちたものだった。舞台はアラバマ州。物語の背景にあるのは、フットボールとカントリー・ミュージック。トム・マクマートリー自身もアラバマ大学でフットボールを愛好していた。

 アラバマ州タスカルーサ郡地区検事パウエル・コンラッドとタスカルーサ郡保安官事務所の捜査官ウェイド・リッチーの二人も、マール・ハガードの「ママ・トライド」が好きだし、ウィリー・ネルソンの「ウィスキー・リバー」「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」も好んで聴く。

 さらに本作でバーボン・ウィスキーの最高級品にも触れてある。「パピー・ヴァン・ウィンクル」で楽天で20年物750ml88万円。いったい誰が飲む? と思ってしまう。量産品でなく希少価値で値段が上がっているように見える。数千円のウィスキーでもオン・ザ・ロックで飲むと美味しい気がするが。では、オン・ザ・ロック片手にマール・ハガードの「ママ・トライド」を聴きましょう。
 著者ロバート・ベイリーは、アラバマ州生まれ。アラバマ大学ロースクールを卒業、地元ハンツヴィルで弁護士として活動。2014年「ザ・プロフェッサー」で作家デビュー。

「Mama Tried」
The first thing I remember knowin'
Was a lonesome whistle blowin'
And a young un's dream of growin' up to ride
On a freight train leavin' town
Not knowin' where I'm bound
And no one could change my mind but Mama tried
One and only rebel child
From a family, meek and mild
My Mama seemed to know what lay in store
Despite all my Sunday learnin'
Towards the bad, I kept on turnin'
'Til Mama couldn't hold me anymore

And I turned twenty-one in prison doin' life without parole
No one could steer me right but Mama tried, Mama tried
Mama tried to raise me better, but her pleading, I denied
That leaves only me to blame 'cause Mama tried

Dear old Daddy, rest his soul
Left my Mom a heavy load
She tried so very hard to fill his shoes
Workin' hours without rest
Wanted me to have the best
She tried to raise me right but I refused

And I turned twenty-one in prison doin' life without parole
No one could steer me right but Mama tried, Mama tried
Mama tried to raise me better, but her pleading, I denied
That leaves only me to blame 'cause Mama tried

最初に覚えたのは、「知っている」ということ。
孤独な笛吹きでした。
そして、若者の夢であるライダーへの成長。
町を去る貨物列車で
行き先がわからない
そして、誰も私の心を変えることはできないが、ママは努力した。
唯一無二の反抗期の子供
家柄はおとなしく、温厚
ママは何が起こるか知っているようだった
せっかくの日曜大工なのに
悪に向かって、私は回り続けた。
"ママが私を抱けなくなるまで

そして21歳になった俺は、仮釈放なしの終身刑の刑務所で
誰も僕を正しく導くことはできなかったけど、ママは頑張った、ママは頑張った
ママは私をもっとよく育てようとしたが、彼女の懇願に私は否定した。
それは、私だけが責められるべきで、ママは努力したのだから

親愛なるお父さん、ご冥福をお祈りします
母に重荷を背負わせた
彼女は彼の靴を埋めるために、とても一生懸命だった
休みなく働き続ける
私に最高のものを持たせたかった
彼女は私を正しく育てようとしたが、私は拒否した

そして21歳になった俺は、仮釈放なしの終身刑の刑務所で
誰も僕を正しく導くことはできなかったけど、ママは頑張った、ママは頑張った
ママは私をもっとよく育てようとしたが、彼女の懇願に私は否定した。
それは、私だけが責められるべきで、ママは努力したのだから

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読書「警告Fair Warning」マイクル・コナリー著2021年講談社文庫刊

2023-04-05 09:00:04 | 読書
 私ジャック・マカヴォイは新車のSUVレンジ・ローバーのハンドルを握りしめながら、必死で頭を働かせていた。今ロサンジェルスのフリーウェイ101号線を疾走中。後部荷室に連続殺人犯が潜んでいるのを確信していた。元FBIのプロファイラー、レイチェル・ウォリングと咳払いと無言のサインで、スマホで交信しながら事態の収拾を確認していた。ダウンタウンの袋小路で待っているパトカーの一群に引き渡すというものだった。

 「百舌(モズ)」と名付けた殺人犯は、狡猾で頭が切れ腕力の強い男なのだ。この男はDNAを悪用した殺人鬼だ。一般にDNAは、本人確定の有力な手段とされているが、これに細工をしてDNA不一致により楽々と罪から逃れられる。

 DNA検査技師の説明によると「DNAはデオキシリボ核酸の略称です。これは二本の糸がお互いに絡み合って、生物の遺伝子コードを伝える二重らせんを形成している分子です。コードというのは、生命体の発達のための指示という意味です。人間の場合、DNAは我々のすべての遺伝情報を含んでおり、それゆえにわれわれに関するあらゆることを決定しています。目の色から、脳の機能にいたるまで。すべての人間のDNAの99%は、同一です。残りの1%と、その中での無数の組み合わせが、われわれを完全に唯一無二のものにしているのです」

 この唯一無二の根拠は何かと言えば、データー・べースでは13のうしろにゼロが15個つく一京三千兆分の一、これを具体的には地球上の人口が約70億人なので一京三千兆分の一と比較するとはるかに小さい。従って同一のDNAを持つ人間は一人もいないことになる。残り1%の中に、その人の趣味・嗜好・性格などが含まれていると言える。

 これを利用したのが百舌なのだ。直近で殺害したティナ・ボルトレロも男をあさる女だった。それに目を付けたのが百舌。その百舌が車の荷室にいる。カタリと音がしてそいつが出てきた。ヤツは今行動を起こした。腕をジャックの首に回した。ジャックは瞬時に判断した。ヤツはシートベルトをしていない。スピードを上げる。「止めろ」とヤツ。左に急ハンドルを切って両足で急ブレーキ。車は横転、ヤツは車の下敷きになって死んだ。

 指紋は一致しない。歯からの特定もできない。百舌が死んでも謎のままなのだ。傷を負ったジャックが気になるのは、レイチェルのこと。かつて恋人同士だったが、ある気まずいことでメールのやり取りだけで二年が過ぎていた。レイチェル・ウォリングは、ダウンタウンでRAWデータサービスを開業していた。ジャックが勤める調査報道会社フェアウォーニングでティナ・ボルトレロ事件を追っていて、元プロファイラーのレイチェルを訪ねたのがきっかけで再びラヴアフェアとなった。 が、ある一点をしつこく追求したために、再び冷たい風が吹き始めた。

 ジャックの推定年齢58歳。レイチェルが少し若いとして、47~8歳だろうか。もうそろそろ落ち着く年齢かもしれない。次回のジャック・マカヴォイ・シリーズに期待したい。こういうミステリーやアクションの中に、男女の情愛を描くとリアルな雰囲気が加味されると思っている。読んで楽しいのも事実だ。レイチェルは一発の銃弾説を持っている。だれにでも銃弾のように心臓を貫いてくれる誰かがこの世にいると信じている。ジャックにとってレイチェルが正にその銃弾なんだが。

 著者のマイクル・コナリーは、1956年フィラデルフィア生まれ。ロサンジェルス・タイム紙を経て作家に。本作は長編34作目、ジャック・マカヴォイ・シリーズ3作目になる。