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映画 トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ「ターミナル(04)」

2006-01-28 12:42:41 | 映画
 いつ行ってもレンタル中のDVDだったが、ようやく観られる。期待しすぎたかな!という印象。
            
 東欧の小国からニューヨークJFK国際空港に降り立ったビクター・ナポルスキー(トム・ハンクス)は、母国を離陸したあと軍事クーデターが起き新政府になったが、航空機の運行見合わせ、国境の閉鎖、パスポート無効の事態で無国籍人間となり、入国不可の状況に追い込まれ、しばらくこのJFK国際空港のロビーが仮の住処となる。

 で、ビクター・ナポルスキーは何のためにニューヨークに来たのか。政治的亡命でもないし犯罪者でもない、もちろんスパイでもない。
 ビクターの父は、1958年にハンガリーの新聞にカウント・ベイシー、ディージー・ガレスビー、セロ二アス・モンク、ソニー・ロリンズ、アート・ブレイキーほか全部で57人の演奏家が集まったことを掲載した。
 ジャズ・ファンだった父はその新聞を凝視し、40年を費やして全員のサインを集めにかかったが、父は他界してしまい、最後に唯一人サックス奏者のベニー・ゴルソンが残った。そのために来たビクター。

 住処とした空港ロビーで、航空会社のアテンダント アメリア(キャサリン・ゼタ=ジョンズ)と恋をしたり、商店の従業員と仲良くなったり清掃員などとも友情を分かち合うという具合。そして、最後にそのサインをもらうことになる。

 観ている間は、てっきりJFK国際空港でのロケだろうと思っていたが、これがセットだと知って改めて驚いた。巨大なセットに大勢のエキストラ、オープニングで中国人の団体を偽造パスポート所持容疑で追っかけるシーンがある。これなんか、偽造ビデオを始めCDにいたるまで、偽造天国をあざ笑っているのだろうか。 また、日本人の女の子らしい団体も、全員白マスクをかけて画面を横切る。花粉症のシンボルが、かつてのめがねにカメラからいまはマスクが日本人の特徴となったのだろうか。
     

JFK国際空港の巨大なセット

 トム・ハンクスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズのキス・シーンは、カメラが引いていくと二人の体がぴったりと合わさっていない。これは二人のキスは初めてという意味が込められた映像なのだろうと勝手に解釈している。

 税関で「次の方!」という意味の「NEXT!」は、耳慣れないときつく感じる。この映画でもゾーイ・サルダナ演じる税関職員もトム・ハンクスとたびたび顔を合わせるに従い、「NEXT!」がやさしくなってくる。
 思うにアメリカの政府職員は、サービス精神のかけらもなく、全員容疑者の視点で見ているのではないかと勝手に思っている。

 チョット残念なのが、サックス奏者のベニー・ゴルソン本人がラマダ・インのラウンジで自作の「キラー・ジョー」を演奏する場面は、短すぎて楽しむ間もない。 スピルバーグも往年の才気が少し翳ってきたかなと思い、トム・ハンクスも脂肪が増えてきたようだ。監督スティーヴン・スピルバーグ1947年12月オハイオ州シンシナティ生れ。トム・ハンクス1956年7月カリフォルニア、コンコード生まれ。もういい歳になった。若い役は限界を迎えているのだろうか。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ1969年9月イギリス、ウェールズ生れ。「シカゴ」でアカデミー助演女優賞受賞。マイケル・ダグラスが夫。脇役陣もスタンリー・トゥッチ、ディエゴ・ルナ、クマール・バラーナ、バリー・シャバカ・ヘンリー(「コラテラル」で殺されるジャズ・メンを演じていた)。ゾーイ・サルダナなど頑張っていた。

映画 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男(04)」

2006-01-24 13:47:16 | 映画
 自分の身辺に融通が利かない、笑顔が少ない、ユーモアがなく人との折り合いも上手くなく、何かにつけ「すみません」「ごめん」を言う人がいたらどうするか。おそらく飲みに誘ったりスポーツを一緒に楽しんだりはしないだろう。
            
 サム・ビック(ショーン・ペン)もそんな男である。妻マリー(ナオミ・ワッツ)と別居中なのに、ちょくちょく顔を出し厭な顔をされても繰返す。ストーカーのような振る舞い。父から遺されて兄と経営していたタイヤの販売店を辞め、家具のセールスマンの仕事についている。
           
 しかし、ボニー(ドン・チードル)と独立して車でタイヤを販売する構想を練り、アメリカン・ドリームを夢見ている。セールスの仕事がくびになり、離婚通知書や新しい事業の融資を断られたことが一気に狂気に駆り立てる。
           ドン・チードル
 ニクソン大統領に対し嘘つきだという潜在意識が、旅客機をハイジャックしてホワイト・ハウスに突っ込むという大胆な発想が生れ実行しようする。これがニュースになっても、おかしな男がおかしな事件を起こしたくらいが関の山だろう。関心も一晩で消えうせてしまう。ホワイト・ハウスに突っ込めば、一晩ということはないだろうが。この映画は何を言いたいのだろう。人生の負け犬を描きたかったのか、社会の理不尽な仕組みを描きたかったのか、実話をヒントに作ったというが深みにかけていて印象が薄い。出演の俳優だけでもっている。

 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツそれに「ホテル・ルワンダ」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたドン・チードル。ショーン・ペンは離婚通知書が届けられ、元妻に電話をしたが一方的に切られた後「ミスティック・リバー」に引き続き号泣する。今回少しは演技のテクニックを要したが。

 ちなみにリチャード・ニクソンとは何者か?1913.1.9~1994.4.22。81歳で没。アメリカ合衆国の第36代副大統領および第37代大統領。ウォーターゲート事件によりその職を辞任した。任期中に辞任した唯一のアメリカ大統領といわれている。おこがましいが、現在のジョージ・W・ブッシュは、第43代目の大統領。
           リチャード・ニクソン
 監督の二ルス・ミュラーは今回が初監督。製作総指揮にアカデミー賞脚色賞を「サイド・ウェイ」で受けたアレクサンダー・ペイン監督とレオナルド・デカプリオが名を連ねている。この二人は二ルス・ミュラーとフィルム・スクールからの仲間だそうだ。

ミステリー ジム・フジッリ「NYPI」

2006-01-20 12:55:30 | 読書
 ニューヨークの街を歩き回り、何気ない日常を風景に溶け込ませて、読者に情感を届けてくれる。 
 
 ”私たちはどんよりとしたグリニッチ・ストリートに足を進め、ウェルシュコーギーの赤い紐をパーキングメーターの柱につなごうと躍起になっている、茶色のスーツを着た頭の薄い男のそばを通り過ぎた。
 前方に目をやると、四角いパン屋のトラックの運転手がイングリッシュマフィンを満載した配達ケースをグリステーデの店へ搬入していたり、通りの東側にあるレストランへ二人の韓国人が新鮮な野菜をせっせと運びこんでいたりしていた。
 十月の半ばともなると、セントラル・パークとその東側にあたるアッパー・イーストサイドを分けて南北に走る5番アヴェニューは、モノクロと鮮やかな色彩のぶつかり合いとでもいえそうな観を呈する。アヴェニューの上に枝を張り出す頑強な木々は、緑だった葉を目の覚めるような黄色や赤に変じ、それはやがて茶色くなっていくが、そうなってもまだ葉はたっぷりと残っていて、しらじらとした秋の日ざしがまったくさえぎられずに地表にとどくことはない。”

 次のようなジョギングの場面になると、もうこれは詳しい市街地図が必要になる。
 “ゆっくりと走り出して、東のワース・ストリートへ向かい、玉石敷きの歩道に乗り上げて駐車している配送のヴァンのかたわらを通りすぎて、新たな移民たちや野心に燃える市民たちが不ぞろいな列をなして群れている、連邦政府庁舎の落とす長い影のなかを走り抜けていった。
 南にあるウールワース・ビルディングやウォール・ストリートの方へぞろぞろ歩いていく人波の隙間を縫って、なおも走りつづける。正面の壁面に浅浮き彫りのあるアールデコ調の保健省ビルディングの前を通りすぎ、トゥーム刑務所までたどり着いたところで、パーク・ロウにはいって、その道を南へ向かった。”

 走っているのは、主人公のテリー・オア。作家だったが、地下鉄構内で浮浪者の男に息子のディヴィーの乗った乳母車を列車が入ってきたとき突き落とされ、とっさに助けようとした妻マリーナもともに失ってしまう。目撃者が多いにもかかわらず証拠不十分で、警察の捜査は鈍い。警察は頼りにならん、それならというわけで私立探偵の免許を取り犯人探しを始める。

 始めてみると縄張り意識の強い警察のことだから、自分たちの怠慢を棚に上げて深入りを軟らかく忠告したりする。亡きマリーナのよき理解者で画廊のオーナーであるジュディスが爆破で大怪我をする事件が発生する。いまや誰に頼まれたものでもない二つに事件を手がけることになった。
 派手な銃撃戦やカーチェイス、暴力はない(暴力はほんの少し)。テリー・オアの愛娘ベラや友人の60年代から70年代前半を専門とするロック音楽評論家のディッディオ,レストランのオーナー レオ・マラードなどとの交流をユーモアのある文体で描いている。

 亡き妻への日々の報告を兼ねた届かないラブ・レターは、哀切に満ちたもので、他の女性に見向きもしない。爆破事件は調査の甲斐あって解決するが、妻と息子を突き落とした事件は未解決のままだ。ちなみに題名の「NYPI」は、New York Private Investigatorの略で著者の造語。正式ではない。

 著者は、ニュージャージー生れ。ニューヨーク在住。本書から始まった‶テリー・オア″の物語は全米の各紙誌でも大好評をもって迎えられ、現在‶A well-known secret″ ‶Tribeca Blues″ ‶Hard,hard city″と続く人気シリーズとなっている。‶ウォール・ストリート・ジャーナル″にポップスとロックに関する批評も寄稿、目下ブライアン・ウィルソンとビーチ・ボーイズの‶ペット・サウンズ″についての著作を準備中とのこと。

映画 シャルロット・チャーチ映画デビュー作「アイル・ビー・ゼア(03)」劇場未公開

2006-01-16 12:45:31 | 映画
 イギリスでは多分有名なのだろう。アマゾンで調べると、彼女のCDが何枚か出ている。
 アマゾンのレヴューを少し引用すると“ソプラノの驚異の神童ぶりは健在である。幅広く変化に富む方向へ進むことになり、一人の非常に才能に恵まれた若い芸術家が引き続き成長していることを立証する”
               シャルロット・チャーチ
 ストーリーは単純なもので、オリビア(シャルロット・チャーチ)の出生の秘密が母レベッカ(ジェマ・レッドグレーヴ)から明かされる。若いときロックスターだったポール・カー(クレイグ・ファーがソン)と一夜をともにしたことで生れたという。オリビアは父に会いに行く。お決まりの展開で最後は家族の絆を取り戻し幸せー!ということに落ち着く。

 他愛のないお話でシャルロット・チャーチの歌をふんだんに聞かせるのでもなく、ストーリー展開も淡々としたもので、起伏のない道を歩いているようなものだ。中途半端な出来である。劇場未公開もうなずける。

 住宅を借りての撮影で、住宅のまわりもかなりスペースがあるように見える。つい日本の住宅地と比べてしまうが、いつも思うのは、どうして日本はせせこましいのだろうということだ。土地の値段が高いからだろうと一蹴されそうだが。
 気がすまないので調べてみた。日本の面積377,835㎢水平面積0.8%人口1億2千7百万人。イギリスの面積244,820㎢水平面積1.3%人口6千27万人。日本は、国土はイギリスよりも広いが、山が多く住む面積が少なくしかも人口が多いという点だろうか。

 人口が多いのが悪いことではなさそうで、GDP(国内総生産)に於いては、2005年度日本4兆7,990億ドル、イギリス2兆2,950億ドルで断然多い。これは世界2位と4位である。とはいってもイギリス人のほうがゆったりと生活しているように思うのは気のせいか?

 この映画で母親役のジェマ・レッドグレーヴが印象に残った。すらりとした姿態で理知的な顔立ちが魅力的だ。主にテレビ界で活躍のようだ。彼女の縁戚も含めて芸能一家のようだし、その中に数々の賞を受けた叔母のヴァネッサ・レッドグレーヴがいる。

 監督クレイグ・ファーガソン 元ロックスターのポール・カーも演じている。1962年5月スコットランド、グラスゴー生れ。丸顔でチョット眠そうな目をしているが清潔感があって歌声の美しいシャルロット・チャーチ1986年2月ウェールズ、カーディフ生れ。ラッセル・クロウが数学者を演じた「ビューティフル・マインド」の主題歌も歌っている。ジェマ・レッドグレーヴ1965年1月ロンドン生れ。

映画 ハーレイ・ジョエル・オスメント「ウォルター少年と、夏の休日(03)」

2006-01-12 13:15:30 | 映画
 原題は「Secondhand Lions」中古のライオンというなんともふざけた題名だ。ふざけたといえばこの映画もおふざけの最たるものだろう。邦題がしっくりこない。
                
 それはともかく、テキサスの片田舎に住む70歳を過ぎた二人の兄弟ハブ(ロバート・デュヴァル)とガース(マイケル・ケイン)の元へ甥のウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が夏休みに預かってくれと彼の母から届けられる。

 二人のおじさんの魚とりはライフルをぶっ放すという漁法。ライフルのもう一つの使い道はセールスマンを追っ払うこと。ある日動物園で不要になった年老いた雌のライオンが搬入される。題名由来のライオンだ。おじさんたちはライオンを檻から出して、撃ち殺し剥製にして飾ろうという魂胆だった。ライオンは一歩も檻から出ない。ウォルターは頼んでライオンの世話をすることになる。
              
 この手の話は、動物と仲良くなりその動物が窮地に落ちた飼い主を救うということやおじさんたちは沽券を保ちたいがために、人生の先達として何か意味のあることを少年に話して聞かせて、みんな幸せという図式になるのが定番。この映画もハブがウォルターに話す「人には真実かどうかは別として信じるべきことがある。人は生来 善なるものだ。自分の誉れ、勇気、高潔さこそが全て、権力と金は全く意味がない。善は必ず悪に勝つ、そして愛は 真実の愛は永遠に滅びない。忘れるな。真実かどうかは別に今言ったことを信じろ、信じるだけの価値がある。いいかね?」いたく感銘したウォルター。
              
 成人したウォルター(ジョッシュ・ルーカス)に訃報の電話がかかる。おじさん宅に急行して目にしたものは、納屋に突っ込んだ複葉機だった。マニュアルを参考に操縦して自分の納屋の中を突っ切ろうとした結果だという。若いころから波乱に富んだ人生を送ってきた二人は、90歳になっても若さを失っていなかった。男なら誰でも夢見る人生。“うらやましい”の一言。

 監督はティム・マッキャンリーズ1953年生れ。監督暦浅く注目作はない。ハーレイ・ジョエル・オスメント1988年4月ロスアンジェルス生れ。「ペイフォワード」で注目。ロバート・デュヴァル1931年1月サンディエゴ生まれ。40年以上の芸歴。マイケル・ケイン1933年3月ロンドン生れ。こちらも50年近くの芸歴。成人したウォルターを演じたジョッシュ・ルーカスは、こんなチョイ役とは信じられない。最近作の05年の「ステルス」や06年の「ポセイドン」では主役を任されている。

映画 ヒラリー・スワンク、クリント・イーストウッド、「ミリオンダラー・ベイビー(04)」

2006-01-08 13:24:06 | 映画
 人工呼吸器を止めて永遠の眠りにいざなう注射を一本。そこには頬を伝う感謝の涙のあとを残したマギー(ヒラリー・スワンク)のおだやかな表情があった。男は病院の暗い廊下から外に出て立ち去る。扉が静かに戻ってきてカタンという音とともに閉まる。男が“サヨナラ”と言ったように聞こえる。男はマギーのトレーナー フランキー・ダン(クリント・イーストウッド)。
               
 マギー・フィッツジェラルド、31歳。レストランのウェイトレスをしながら、客の食べ残したのを持ち帰って食費を切り詰める生活。それもボクシングに魅せられたから。
 ボクシングの魔力、限界を超えた苦痛に耐え肋骨が折れ腎臓が破裂し網膜が剥離しても闘い続ける。自分だけに見える夢にすべてを賭ける力を持つという、このスポーツが楽しいからというマギーもフランキーのトレーニングを受ければ、チャンピオンも夢ではないという野望も見え隠れする。そして念願のトレーニングが始まり試合は勝ち続ける。思わぬアクシデントがWBA世界ウェルター級チャンピオンとの対戦で起こる。ダメージは脊髄の損傷で一生全身麻痺が残り動かせるのは眼球だけ。
             
 この映画は余計なものをそぎ落とし一人のひたむきな女の生きざまをストレートに描いている。と同時に、娘に宛てた手紙がその都度返却されてくるという見捨てられたフランキー。マギーの方は、試合で稼いだ金で故郷に住む母親に家を買ってやったはいいが、所有者名が母親になると生活保護が打ち切られるといい、相談もなしにと嫌味まで言う母親。
 全身麻痺で入院するととたんに家の名義変更の書類を持参しサインを求める。しかもディズニー・ランドで買ったTシャツを着てその帰りに。こんな孤独な二人の生きざまでもある。そんな二人を見守るスクラップ(モーガン・フリーマン)の眼差しは暖かい。
               
 イーストウッドはラヴ・ストーリーだと言っている。究極の選択を迫られる生か死の重いテーマは、「彼女の人生に悔いはない筈だ」の一言で、神に背き法を犯してまで、人間にしか出来ない愛を貫く。

 ヘビー級に劣らず迫力のある映像やトレーニングするマギーの躍動する肉体の美しさ、余韻の残るイーストウッド作曲のテーマ曲とともに、最後に扉のカタンと閉まる音は忘れられない。
               
 アカデミー賞は、作品賞、ヒラリー・スワンクの主演女優賞、モーガン・フリーマンの助演男優賞、クリント・イーストウッドの監督賞に輝き、ほかに全米批評家協会賞、NY批評家協会賞、ゴールデン・グローブ、放送映画批評家協会賞などで受賞している。

 クリント・イーストウッド1930年5月生れ。ヒラリー・スワンク1937年6月ネブラスカ州生れ。スポーツ万能。水泳はオリンピックの地元選考会にも出場しているという。99年「ボーイズ・ドント・クライ」でアカデミー主演女優賞を受賞。モーガン・フリーマン1937年6月テネシー州メンフィス生れ。

映画 ニコール・キッドマン、ショーン・ペン「インタープリター(05)」

2006-01-04 11:36:14 | 映画
 美人揃いのハリウッドでも、完璧な美しさが際立つニコール・キッドマンが忘れられなくなる作品。
         
 ニューヨークの国連本部でアフリカの小国マトボ共和国の指導者ズワーニ暗殺の情報を偶然耳にした通訳者のシルヴィア・ブルーム(二コール・キッドマン)。
 米国で生まれアフリカとヨーロッパへ、ヨハネスバーグで音楽を学びソルボンヌ大その他で言語学を修得。母親は英国人、父親は南アフリカの白人。5年前に米国に戻りすんなり国連へ。結婚は?子供は?所属クラブは?支持する政党は?宗教は?いずれも不明、どういう女だ。と言うシークレット・サービスのトビン・ケラー(ショーン・ペン)の疑いの目を浴びながら追われる影に怯える。テンポよく展開しサスペンスを盛り上げ最後はスリリングなエンディングに突入する。
       
 なんといってもニコール・キッドマンの完璧な美しさだ。透き通るような白い肌、ブルーの瞳、ブロンドの髪、上品な口元からこぼれる真っ白な歯並びを見ていると思わず溜息が出る。そしてちゃんと役をこなしている。難があるとすれば身長が高いということか。180センチ以上あるのでは?

 ショーン・ペンも妻を失った直後の虚無的な表情を巧く表現していた。      それとペンの相棒ドット・ウッズ捜査官を演じたキャサリン・キーナーも存在感があってよかった。キャサリン・キーナーは「アダプテーション」ではセリフのない、ただ手をあげるのを遠くから撮るという程度の出演だった。どうしてこんな使い方をしたのか理解できない。同じ2005年作品の「カポーティ」ではLA批評家協会賞助演女優賞を受賞していて、この賞は「ザ・インタープリター」ほか2作品も対照にしているとのこと。ペンへのほのかな恋愛感情を巧く表現していたと思う。
            キャサリン・キーナー
 どうしても唐突な感じが拭えないシーンがある。ペンがキッドマンのアパートに送っていっての帰り際「妻は2週間前に亡くなった」と告白する。話の流れからはこのセリフが出てくるのが理解できない。
 未公開シーンにこんな場面がある。車の中でキッドマンとキーナーの会話。ハンドルを握るドットが「私の相棒の態度はどう?」
 「普通よ」とキッドマン。
 ドットが「彼は今つらいの 奥様を亡くしたのよ」
 「知ってる人?」とキッドマンが聞く。
 「ダンサーだった。バレリーナー。奥様が忘れられないのよ」とドット。
 「彼を愛しているの?」とキッドマン。
 少し間があって「たまにはね」とドットが言う。このシーンどうしてカットしたのだろう、うまくはめ込めばスムーズに話が進むのに…。

 私が観たシドニー・ポラック監督作品は「スイカズラの花のように(80)」「恋の行方(89)」「推定無罪(90)」「ザ・ファーム(93)」「チェンジング・レーン(02)」「コールドマウンテン(03)」など失望させられたものはない。「愛と哀しみの果て(85)」でアカデミー7部門受賞の実力派監督。この映画は私にとって勿論失望はしなかった。