都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

本の紹介

2008-06-22 08:47:12 | 都市計画

「縁側」の思想 アメリカ人建築家の京町屋への挑戦 ジェフリー・ムーサス著を読みました。若手でMIT出身の建築家で京都の町屋再生に取り組んでいらっしゃいます。視点が面白く、街づくり、景観、日本の文化への知見があります。つらつら書きますと、初めに、インターンシップに竹中工務店に来ていたとき「ワンデーエクササイズ(一日で設計を仕上げる社内コンペ)」について「アメリカなら全員が徹夜しただろう」というのがありました。これはアメリカの仕事の流儀で決して競争には負けないという姿勢を感じます。コンサルや金融も同じですが。この流儀が最近の日本の一部に顕著で、そのかわりフリーターも多くなりました。

次に、知恵の連続としての町屋への指摘、「さび」は時間を表すもので、使われている歴史の「痕跡」があることとは興味深い。歴史が街並みを生むというのを実感し、知恵の連続として建物機能を考えています。また、私も20年来の自転車を数台持っていますが多少見場が悪くて、古くても、なんかいとおしさを感じるようになってきました。また、MITHarvard建築学生が「陰翳礼讃」が必読書とあったのには驚きました。そういえば1989年くらいにHarvard GSDで安藤忠雄氏の講演があり、たいそう(日本語の冗談を含め)評判になったのを思い出します。

さらに、日本は「和」を尊ぶが、創造性と論理性のトレードオフがあり、街並みに表れていること、具体的には規制の下さまざまな形状のビルが並でいる。これなら個別に建物審査(例えば地区計画やそのもとになったドイツのBプラン、委員会などか)の方が良いのではないかという指摘は賛同致します。

個人的にはMITHarvardの建築学科の違いが面白く感じました。また本書の著者と神田駿さん(留学時代を初め色々つながりがあります)のご縁も神田さんのお人柄から、そうだろうなと感じました。

結構、色々な国際的なつながりを京都で感じます。ただ、京都で町屋を保存することがすべて良いかというと、街並みとコミュニティ(居住者)などで区分される地区によるでしょう。京都でひとくくりにはなかなかならないなあというのが最近の実感です。ただ、北山通りのように建物のショーケースみたいな感じにはなって欲しくはありません。須く、通からの景観の発想が欲しいと感じます。私は、どうも建築家は「敷地」に何が建つかを考えますが、通りがどうなるかは考えないと思い、都市計画を目指しました。(しかし、その後、なかなか上手く行かないものだという実感があります)

あわせて、都市論として都市計画の世界史    日端康雄著をお奨めします。入門書ですが良くまとまっています。特にメトロポリスの中心性というマグネット、集積の利益そして求心・遠心力などについてJ・ゴッドマンの知見を拝見しました。

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