二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

この驚嘆すべき透明さを見ろよ(ポエムNO.77)

2012年08月10日 | 俳句・短歌・詩集
とても有名なフェルメールの絵の中から一人の女がこっちを見ている。 “聖化された日常”の なんという美しさ。しとやかな肌が 窓辺から忍び込む光と戯れている。描かれたつつましい人と事物の尊厳がかなでる沈黙の音楽。それはそこにある。ぼくはアリクイみたいな長いながい舌をのばして 室内を満たす生まれたてのナイーヴな光を水のように飲むことができる。だれかがここに到着しだれかがここから出発してゆく。ひゅうひゅう鳴っている風はない。数百年をへた時のたまり場。手をのばさずに ぼくはそれにふれる。絵の中のすべてが (机や水さしやカーテンや帽子が) . . . 本文を読む
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