「真っ盛り」とはいっても、それは人間がそう感じているだけで、自然界の秋は、忍び寄ってくるのがかなり早い。ぐんま昆虫の森へ年間定期券を買って通っていたころのこと。お盆休みにオオムラサキのいる森へ入っていった。すると、翅がいささかくたびれた♀ばかりで、名称の由来となったあの美しい♂の姿がない。「オオムラサキは、もう終わりですか?」
とボランティア・ガイドの方に訊くと、「はい、もう終わりですね。♀が数頭残っているだけ」チョウの世界では、原則として♂がさきに誕生し、あとから羽化する♀を待つ。世代をつぎに受け渡し、役目を終えると、♂はさきに死んでゆく。♀には産卵という大切な仕事が残っているから、♂のいなくなったオオムラサキの森には、翅に傷みの目立つ♀ばかりが眼につく。人間界でいう「長生き未亡人」みたいなものかな(笑)。サイズも♀のほうがデカい・・・というのは、昆虫界ではありがちなことだし、元気なときは、カブトムシを追い散らし餌場を確保するほど威勢がいい。
そんなシーンを、撮影も忘れてうっとり見あげていた夏があった(^_^)/~
. . . 本文を読む
館林市へいったときの写真を見返していたら、ある作品にふと眼がとまった。それが上に掲げた「館林市かごめ通り」のセルフポートレイト。
街へ出ると、“意識して”、ときおりこういう写真を撮る。最近ではコンデジで、あるいはケータイで、「自分撮り」というモードを搭載したものが発売されている。「あのう、シャッターを押していただけますか」
以前は観光地などで、そういったシチュエーションによく遭遇した。
しかし昨今では、そういった光景を眼にすることはめったにない。
出かけたさきで、見ず知らずの他人に、声をかけたくはないのだろうし、かけられたくもないのだろう。だけど、わたしがここでいおうとするのは、記念写真としての「自分撮り」ではない。
セルフポートレイトでは、植田正治さん、森村泰昌さんが有名だけれど、あれはわたしにいわせると、むしろセットアップ写真(演出写真)のジャンルに属する。
. . . 本文を読む