二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

書物の蒸発 2021-002(2021年7月14日)

2021年07月22日 | 俳句・短歌・詩集

読んだはずの大半が蒸発している。

思い出そうとしても思い出せない。
世界は書物の中にあったのに
あったはずのものが消えている。
薪や石炭のように
燃えてしまえば残るのは灰ばかり。

灰の中から灰だらけの顔をあげる。
読書人とはこの種の灰だらけの男 女のことなのだ。
焚書したのではない。
そんな手間をかけなくていい。
文字は頭の内側で燃えて
灰だけが残された。

頭の中だけでなく
腰や背中や足の裏 いたるところ灰だらけ。
日常という名の風が吹いて その灰を吹き飛ばしていく。
やあ風のおかげで すっかり書物が蒸発し
すがすがしい天気になりましたな。
おや 今朝はどちらへお出かけです?



※申し添えておけば、写真と詩との直接的な関係はありません。

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