二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

悔い改めねば(ポエムNO.3-86)

2020年07月01日 | 俳句・短歌・詩集
   (2013年7月 ヤシカマット124G)



茶目っ気たっぷりな男が
おはよう おはようと挨拶しながら歩いている。
あれはだれだろう 中也に似ている。
街角のすべすべした岩陰に
いろとりどりのチラシが貼ってあって

その男もチラシを貼ってまわっている。
「裁きの日は近づいた」
ん?
なんだか 強烈なアルコールのにおいがするぞ。
片足あげておしっこをする 道端の犬にも見える。

話はじめると止まらなくなるから
男に口を開かせてはならない。
裁きの日は近づいたというアメリカ映画の宣伝ビラじゃない。
○○という教会の名が記されてある。
ん?

チラシ貼りの男はきのう おとといは
「悔い改めよ」というビラを貼ってまわっていた。
悔い改める人なんてだれもいないだろう。
2千年もまえから そう決まっている。
おはよう おはよう

通行人に向かって というより
自分への挨拶なのだ。
茶目っ気たっぷりな男は夕方には帰ってゆく。
悔い改めねば
悔い改めねば そうつぶやきながら。

自分の唾を飲み込むときそういう音が出てしまうのだ。
茶目っ気たっぷりな男は中也にも似ているけど
あなたやぼくにもどこか似ている。
ん そうか
悔い改めねば ぼくも。



※ 中也とは中原中也を指しています。

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