二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

若いころ読んだ本を読み返す ~司馬さんの「街道をゆく」第1巻

2022年07月03日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記

■「湖西のみち、甲州街道、長州路ほか」(「街道をゆく」第1巻朝日文庫2008年版

本編のオリジナルというべき単行本は1971年に刊行されている。
「街道をゆく」はロングセラーなので、改版や新装版と銘打ったさまざまな版が存在する。
わたしは単行本(ハードカバー)をはじめ、この第1巻は数種の版が手許にある。

Topに掲げた文庫が最新版かと思っていたが、そうではないことに、半分ほど読んだところで気づいた。
わたしが所有している「朝日文庫」は文字サイズは変わらないが、地図がまったく添付されていない。
オリジナルの単行本でみると、セクションごとに、大川一夫さんによる手書き風味の地図が必ず折り込まれている。
また現行版となると、「平凡社地図出版」が作成した正確な縮尺の地図になり、出かけた地方ごとに添付・・・というふうになる。
平凡社地図出版のものは地図帳をそのつど参照しているようなもの。しかし、味わいでは大川さんのものの方がわたしの好みには合っている。

ワイド版といわれる大活字版もあるがそちらは未確認。
それともう一つ、オリジナルと最新の朝日文庫では大きな違いが存在する。
須田剋太画伯の挿絵が、新装版ではぐっと減って、一枚か二枚しか挿入されていないこと。
須田さんの絵が気に入っているというなら、オリジナル版にかぎる。

そういうわけで、地図がまったくない朝日文庫を読むこととなった。
わたしは少年のころから“地図マニア”を自称するほど、地図が好きであった。
歴史に興味を抱く人は、大抵が“地図マニア”といっていいのではないか?
塩野七生さんの「ローマ人の物語」や「ギリシア人の物語」を読みながら、地図は理解の大切な、とても大切なアイテムであった。地図がなかったら、別に歴史地図のようなものを用意しなければならなかったろう´・ω・

今回の読書では、単行本が手許にあるため、たびたびそちらへ反って大川さんの手書き風味の地図を参照した。
ここでは紀行といっても、歴史紀行の側面が非常に強烈!
歴史上の人物ばかりたくさん登場する。「街道をゆく」の前に書いた「歴史を紀行する」そのまんまの続編である。
・湖西のみち
・竹内(たけのうち)街道
・甲州街道
・葛城みち
・長州路

・・・の5編が収録されている。
以前(20年以上前)読んでいるのに、9割方忘れている(;^ω^)
自分の記憶力がまったくあてにならないとはとっくに知っていたが、ここまでひどいとはねぇ(ノω`*)
「三輪山」「葛城山」「竹内(たけのうち)越」「一言主神社」「高鴨の地」「奇兵隊ランチ」「瑠璃光寺など」「吉田稔麿(としまろ)の家」
このあたりの記事に心地よい酔い心地を味わった。
「週刊朝日」連載が1971年だから、50年ものの古酒である。
ボジョレ・ヌーヴォーのお好きな方もいるけれど、わたしは古酒を好む。それはけっこう徹底している・・・とかんがえる。この1~2年に出された新刊本には、まあ、滅多なことでは興味をしめさないのだ。

映画だって、山田洋次の「寅さんシリーズ」の根っからのファン♪
「寅さんシリーズ」は“昭和の宝箱”ですからね。
あまりに平凡な比較となるけど、歴史好きのインテリ系は司馬さんの「街道をゆく」、庶民派は「寅さんシリーズ」という区分ができる。立ち位置は違うけれど、どちらも“昭和の宝箱”なのですね。



評価:☆☆☆☆
 (再読なので4点評価とさせていただきまする)

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