二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

石川真澄・山口二郎「戦後政治史 第三版」(岩波新書 2010年刊) レビュー

2021年07月27日 | 歴史・民俗・人類学
ひと口に評してしまえば、戦後政治史入門編、読む年表である。
よいとか悪いとかいっても仕方がない。政権交代がどのようになされたのか、大づかみに素描してある。それだけではなく、最初に歴代首相の一覧、巻末に国会議員選挙の結果のデータがある。

年表的なので、超特急である。佐藤栄作さんも田中角栄さんも、3~4ページで片づけられている。
しかも、本書の刊行年月日が2010年ということなので、2011年以後の出来事には当然ながらふれられていない。
このあとどんなことが起こったかといえば、すなわち東日本大震災。

こういう本にも、多少は存在意義があったろうが、現在ではネット情報に役割をゆずってしまった、といっていい。
ネット情報なら、選挙のたびに更新していける。
一度書き上げてしまったら、部分的に書き換えたり、更新したりできなのが印刷物の不自由なところ。
わたしは自民党対社会党のセットである55年体制がどのように発足し、どのように終焉をむかえたのか教えてもらいたかったから手にした。
さらに岸政権の誕生、崩壊のプロセスを原彬久さんの著作とは違った切り口からのぞいてみたかった。

《自民党から民主党へ――2009年9月、戦後政治史上初の本格的な政権交代が実現した。だが、「政治主導」による事業仕分けなど大胆な政策転換への国民の期待が高まったものの、沖縄・普天間基地、政治資金、消費税などでたちまち迷走、混迷が深まった。衆参両院の全選挙結果も収めた定評ある通史に小泉政権とその退場後の激変を増補した最新版。》(BOOKデータベースより)

ただし、人によっては、スクラップブック的に使用できるのかもしれないし、あるいは戦後政治を鳥瞰的に、一冊で見渡したいときに使う読者がいるかもしれない。
索引があるため、事典的な使い方が可能となっている。
さきほど調べたら、第四版が2021年3月に刊行されていた(^^;タハハ



評価:☆☆☆

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