ぼくとは結局のところ何者だろう と
そんな意味もない質問をよく発した。
体の大部分は水でできている
そして少しのたんぱく質 カルシウム 塩。
耳が一つしかないトラ猫が
路地の奥へチェロキーのように走っていく。
少年が数人 それを追って走り出す。
ぼくは記憶に
(遠い日の記憶に) 年中溺れている。
抜き手を切ってあっという間にとおりすぎてきた夏のいまが
女の酔っぱらいのようになにか喚く。
地図 のない国
に地図を つ
くろうとしてこれまで何度失敗したことだろう。
かすかな音・・・
かすかな櫓をこぐ音 琵琶を爪弾く音のほうへ
小男だった李白と杜甫がつれだって歩いていくのを
粗末なベッドの端っこから落ちそうになりながら
ぼくは夕べ見送ったばかりだが
目覚めると むろんだれもいなかった。
見渡すかぎりの葦原を 一陣の風となって渡っていく
あの人の心 この人の心が
深い迷いの霧の中で
黄色い点滅信号のようにピカピカ光る。
よく知られた陶淵明の漢詩が
さびたシャベルのように畑の隅にころがっている。
昨日もそれに躓いた
きっと明日も あさっても。
そんな意味もない質問をよく発した。
体の大部分は水でできている
そして少しのたんぱく質 カルシウム 塩。
耳が一つしかないトラ猫が
路地の奥へチェロキーのように走っていく。
少年が数人 それを追って走り出す。
ぼくは記憶に
(遠い日の記憶に) 年中溺れている。
抜き手を切ってあっという間にとおりすぎてきた夏のいまが
女の酔っぱらいのようになにか喚く。
地図 のない国
に地図を つ
くろうとしてこれまで何度失敗したことだろう。
かすかな音・・・
かすかな櫓をこぐ音 琵琶を爪弾く音のほうへ
小男だった李白と杜甫がつれだって歩いていくのを
粗末なベッドの端っこから落ちそうになりながら
ぼくは夕べ見送ったばかりだが
目覚めると むろんだれもいなかった。
見渡すかぎりの葦原を 一陣の風となって渡っていく
あの人の心 この人の心が
深い迷いの霧の中で
黄色い点滅信号のようにピカピカ光る。
よく知られた陶淵明の漢詩が
さびたシャベルのように畑の隅にころがっている。
昨日もそれに躓いた
きっと明日も あさっても。