二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

青空の中の月(ポエムNO.102)

2013年01月06日 | 俳句・短歌・詩集

月がかかっている。
猫の眼のようにほそい
眠そうな三日月が 真昼の空にうっすらと。
某月某日の 青空の中の月。

それを見あげながら歩いていたら
ガードレールにぶつかってぼくは倒れた。
そのすぐ近くを猛スピードで一台のトラックが走り去った。
ぼくはカメラをかばったので右腕の肘をすりむいた。

しかし・・・
倒れるまえのぼくと 倒れてからすぐに起きあがり
きた道を引き返しているぼくは違った人物かもしれない。
そんな想念がムササビのように胸の奥で騒いだ。

ぼくもまた銀河をさまよう牛の化身なのかもしれない。
そうだ なにか巨大な 底知れぬものの一部
ちっぽけなその破片にすぎないという考えが
ぼくの気持ちをラクにする。

こんな月を これまで数かぎりなく見あげたことがあったな。
ぼくもきみも もしかしたら夜ごとこの地球から抜け出し
牛の背にまたがって銀河を旅しているのさ。
夢は流れ星のように夜ごと降りそそぐ。

「ほらほら 足許に気をつけて歩くんだ」という声が聞こえる。
青空の中の月。
今夜あそこまでもどって
かつて美しかった地球の夢をみよう。



※写真と詩のあいだに直接的な関係はありません。

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