文字がオオクロアリのように動きだした。
ぞろぞろ ぞろぞろ。
ウィスキーの水割りを少し飲んだだけなのに
酔っぱらってしまったのか 昼間から。
ぼくがアルコールを飲むのではなく
アルコールがぼくを飲んでいるんだ。
よくある現象さ 不思議でもなんでもない。
さあ 出かけるまえに顔を洗おう。
顔を洗って
「失礼いたしました」といってみろ 自分に向かって。
文字のない本をだれが読むというのかね?
神様だって用はないというだろう。
それとも
それともその本をノートがわりにして
自分の半生を書いてみるかね。
文字のない本を読む人がいないように
きみの半生を読みたがる人はいない。
「失礼いたしました」といってみろ 自分に向かって。
もういっぺん
顔をしっかり洗って。