二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

小説の楽しみ    小島信夫(水声社)

2010年03月10日 | エッセイ(国内)
図書館で目につき、借りてきて、あっというまに読みおえた。 講演記録だし、いつものような「のんしゃらん節」がおもしろかった。 いったいなにが問題とされているのか、わかるようでわからない、わからないようで、ちょっとだけわかる。韜晦を信条としているわけではあるまいが、つかまえどころのない奇妙な小説家・・・というのが、わたしの小島さんに対する印象であった。 素人にうけるのではなく、玄人にうける小説家。 . . . 本文を読む
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靖国論  小林よしのり

2010年03月09日 | 座談会・対談集・マンガその他
小林よしのりについては、もうOFFモードにしておこうと考えていた。 感想といっても「ふんふん」という以上、あまりいうべきことがない。 たまたま本書と「沖縄論」が、BOOK OFFの105円コーナーに出ていたのだ。 それで、ついふらふらっ、と手にとってしまった。 大東亜戦争肯定論の立場から書かれた、単純明快な靖国論。 「戦争論2」や、「新ゴーマニズム宣言」vol.11~14などから、靖国論として再 . . . 本文を読む
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生   柳美里(小学館)

2010年03月09日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
「魂」につづいて「生」を読みおえたので、感想を書いておこう。 「ボリュームがかなり大きい。つまみをもっと絞ったほうが、より効果的なのではないか。少なくとも、わたしの好みとして」 「弱いのだなぁ。だから、ストレスを強く感じてしまう」 「被害的な感受性がある。ナゼワタシダケガコンナメニ! と書かれている。『あなただけではありませんよ。あなたよりひどい状況に追い込まれている人は、いくらでもいる』といって . . . 本文を読む
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魂   柳美里(小学館)

2010年03月06日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
その日は定休日だった。 「命」4部作のうち、第1作の「命」だけを買って、公園の駐車場で少し読み、それからスパーマーケット、コンビニなどに立ち寄り、家に帰った。その日、夕刻には「命」を読みおえた。「うーん。どんなレビューを書いたらいいのだろう」 強い印象を受けた本ほどそうなるけれど、心のゆれがなかなかおさまらない。 「これを小説としては評価できないな」 評価という名の天秤は、だんだんそういう方向へか . . . 本文を読む
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私の「戦争論」   吉本隆明(ちくま文庫)

2010年03月05日 | 座談会・対談集・マンガその他
ちくま文庫で「私の『戦争論』」を読んだので、独断と偏見に満ちた書評を書いておこう。 買ったのはいつだろう? 記憶にないけれど、1年以上は寝かせているうち、もっていることすら忘れていた。 通勤途上で、あるいは仕事ででかけたついでに、4カ所5カ所のBOOK OFFをのぞいて歩くので、買ったまま、ほかの本の下にまぎれてしまい、「あれれ、こんな本が・・・」という状況が出現したりする。 昭和史への長いあい . . . 本文を読む
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命   柳美里(小学館)

2010年03月04日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
ずっと昔は、ヤナギ・ミサトと読んでいたことがあった。 ユウ・ミリだと知ったのは、NHKのドキュメンタリー番組を見たときではないだろうか? 少し驚いたが、同時に反発も感じた。 あまりに徹底した「自己劇化」の手法に、「なにもかも、あんたがそれを求めた結果にすぎないだろう」「あんたが、望んだ通りになっただけじゃないか」といいたかったのである。 周囲の人間や、自分自身を食い物にする・・・そういう人種がい . . . 本文を読む
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『感情教育』歴史・パリ・恋愛」   小倉孝誠  (みすず書房)

2010年03月03日 | 小説(国内)
本書は、フローベールの小説「感情教育」をめぐって、19世紀パリ風俗を語った、フランス文学の入門書であり、文化論である。 18世紀に急速に成長し、フランス大革命で大きな折り返し点をむかえたブルジョアジーは、その後紆余曲折をへながら、19世紀なかばから、末期へかけて絶頂期へと入っていく。これによって、フランスの時代、パリの時代が花開き、輝かしき「ブルジョアの世紀」とよばれる時代が形成される。ユゴー、バ . . . 本文を読む
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南京事件    笠原十九司(岩波新書)

2010年03月01日 | 歴史・民俗・人類学
本書に対する評価はまっぷたつに分かれている。賛否両論、喧々囂々。 『南京事件について「あった」「なかった」などの結論を持たずに、あくまで一次資料などから その実体を調査している人にとっては常識であるが、この本には改竄が多すぎ、全く信用に足らない。参考文献として引用されているのも、でたらめで有名な本である。』(AMAZONカスタマーレビュー) 『南京事件を語るとき否定にせよ肯定にせよ、感情的な論議 . . . 本文を読む
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