~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)7月29日(土曜日)弐
通算第5374号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「法螺吹き男爵」の三人男、アメリカに揃い踏み
こんどは郭台銘(鴻海精密工業)がウィスコンシン州に大工場
****************************************
トランプ大統領がじきじきに列席した。鴻海精密工業(英語名ファックスコム)の郭台銘がウィスコンシン州に新型の液晶パネルとiフォン工場を建てる。100億ドルを投資し、13000名を雇用するというのだから。
「アメリカ人の雇用」がアメリカンファースト公約の優先事項であり、トランプ大統領がはしゃいで、わざわざホワイトハウスで調印式典を演出したのも無理はないだろう。
しかし、この法螺話、本当に実現するのか?
あの郭台銘がトランプの前では緊張したのか、顔が引きつっている写真が、大きく配信された。
これでアメリカへの大投資話は、三人の法螺吹き男爵が揃った。孫正義、馬雲、そして郭台銘だ。
トランプ当選でまっさきにNYトランプタワーへ参上したのは孫正義、500億ドルをアメリカに投資し、100万人の雇用をつくると豪語して、じつはその一例をして、フォックスコムの新工場に70億ドルを投資する提案書を持って行ったのである。
記者会見におりてきたトランプは「マサは偉大だ」と行ってすぐに引き上げたのが、ロビィに残った孫正義が握りしめていた提案書は、ちゃんとテレビ画像に残っている。
ついでトランプタワーに登場したのが、アリババの馬雲(中国財閥第二位)だった。馬は五年間に100万人の雇用と作り出すと豪語し、これまたトランプはロビィに降りてきた共同記者会見。
孫はアリババの最大株主であり、同時に鴻海のアメリカ進出を早くから提案している。つまり、この三人は裏で繋がっている。
郭は台湾籍とはいえ、山西省から台湾へやってきて精密部品の下請けであて、1988年に中国大陸へ復帰し、おりからのスマホブームに波に乗ってiフォン、iパッド部品、組み立てビジネスで大当たり、中国各地に大工場を建てて一時は100万人をこえる労働者を雇った。
ところが深センで労働過剰批判、奴隷工場の酷評に見舞われ、11名の従業員が工場から飛び降り自殺を図った。工場には網が張られ自殺防止対策。
各地の工場では労働条件の改善と賃金アップで抗議集会、デモが頻発し、警官隊が導入されるという騒ぎを引き起こした。
▲じつは三人とも中国に嫌気がさしているのではないのか?
これに懲りたのか、鴻海は日本からのロボットを大量に輸入し、生産効率をあげる一方で、効率的な工場を海外に求めてきた。
中国では労賃が急上昇しており、コストが引き合わず、むしろアメリカのほうが、コスト的に安く上がりそうな環境の大変化がある。
言うまでもなく中国では生産コスト、労働コストのほかに、別の出費(党幹部への賄賂)が必要なため(それも引き合わないほどの高額になる)、米国と中国に労働コスト比較を単純に識別するわけにはいかない。
それにしても、アメリカへ工場を建てると公言しながら、小さなオフィスだけでお茶を濁して過去が語り継がれている鴻海だけに、国際的にも滅法評判の悪い鴻海精密が、ウィスコンシン州に新型LCDとiフォン工場を建てるというのだから半信半疑だろう。
もう一つは八ヶ月前に郭台銘は広州にLCDの新工場を建設するとして調印式を終えたばかりであるからだ。投資金額は88億ドル。従業員は15000名。つまり米国の規模をほぼ同じである。同時に同じサイズの工場を中国とアメリカに建てる?
広州工場は2019年、ウィスコンシン州工場は2020年に稼働開始が予定されている。
しかし、中国がいま中国企業の海外投資を抑制し、500万ドル以上の海外送金を事実上禁止しているなかで、はたして100億ドルなどと言う巨額の海外移転を円滑に認可するかという大問題を、郭台銘はいかにしてクリアするのだろう?
□▽◎み□◇□や□▽◎ざ□◇□き◎□◇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)7月29日(土曜日)弐
通算第5374号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「法螺吹き男爵」の三人男、アメリカに揃い踏み
こんどは郭台銘(鴻海精密工業)がウィスコンシン州に大工場
****************************************
トランプ大統領がじきじきに列席した。鴻海精密工業(英語名ファックスコム)の郭台銘がウィスコンシン州に新型の液晶パネルとiフォン工場を建てる。100億ドルを投資し、13000名を雇用するというのだから。
「アメリカ人の雇用」がアメリカンファースト公約の優先事項であり、トランプ大統領がはしゃいで、わざわざホワイトハウスで調印式典を演出したのも無理はないだろう。
しかし、この法螺話、本当に実現するのか?
あの郭台銘がトランプの前では緊張したのか、顔が引きつっている写真が、大きく配信された。
これでアメリカへの大投資話は、三人の法螺吹き男爵が揃った。孫正義、馬雲、そして郭台銘だ。
トランプ当選でまっさきにNYトランプタワーへ参上したのは孫正義、500億ドルをアメリカに投資し、100万人の雇用をつくると豪語して、じつはその一例をして、フォックスコムの新工場に70億ドルを投資する提案書を持って行ったのである。
記者会見におりてきたトランプは「マサは偉大だ」と行ってすぐに引き上げたのが、ロビィに残った孫正義が握りしめていた提案書は、ちゃんとテレビ画像に残っている。
ついでトランプタワーに登場したのが、アリババの馬雲(中国財閥第二位)だった。馬は五年間に100万人の雇用と作り出すと豪語し、これまたトランプはロビィに降りてきた共同記者会見。
孫はアリババの最大株主であり、同時に鴻海のアメリカ進出を早くから提案している。つまり、この三人は裏で繋がっている。
郭は台湾籍とはいえ、山西省から台湾へやってきて精密部品の下請けであて、1988年に中国大陸へ復帰し、おりからのスマホブームに波に乗ってiフォン、iパッド部品、組み立てビジネスで大当たり、中国各地に大工場を建てて一時は100万人をこえる労働者を雇った。
ところが深センで労働過剰批判、奴隷工場の酷評に見舞われ、11名の従業員が工場から飛び降り自殺を図った。工場には網が張られ自殺防止対策。
各地の工場では労働条件の改善と賃金アップで抗議集会、デモが頻発し、警官隊が導入されるという騒ぎを引き起こした。
▲じつは三人とも中国に嫌気がさしているのではないのか?
これに懲りたのか、鴻海は日本からのロボットを大量に輸入し、生産効率をあげる一方で、効率的な工場を海外に求めてきた。
中国では労賃が急上昇しており、コストが引き合わず、むしろアメリカのほうが、コスト的に安く上がりそうな環境の大変化がある。
言うまでもなく中国では生産コスト、労働コストのほかに、別の出費(党幹部への賄賂)が必要なため(それも引き合わないほどの高額になる)、米国と中国に労働コスト比較を単純に識別するわけにはいかない。
それにしても、アメリカへ工場を建てると公言しながら、小さなオフィスだけでお茶を濁して過去が語り継がれている鴻海だけに、国際的にも滅法評判の悪い鴻海精密が、ウィスコンシン州に新型LCDとiフォン工場を建てるというのだから半信半疑だろう。
もう一つは八ヶ月前に郭台銘は広州にLCDの新工場を建設するとして調印式を終えたばかりであるからだ。投資金額は88億ドル。従業員は15000名。つまり米国の規模をほぼ同じである。同時に同じサイズの工場を中国とアメリカに建てる?
広州工場は2019年、ウィスコンシン州工場は2020年に稼働開始が予定されている。
しかし、中国がいま中国企業の海外投資を抑制し、500万ドル以上の海外送金を事実上禁止しているなかで、はたして100億ドルなどと言う巨額の海外移転を円滑に認可するかという大問題を、郭台銘はいかにしてクリアするのだろう?
□▽◎み□◇□や□▽◎ざ□◇□き◎□◇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~