心臓移植、余命1カ月優先 待機中の死亡減目指す
その他 2024年10月24日 (木)
厚生労働省は23日、心臓移植を希望して待機する患者のうち、余命が1カ月以内と予測される60歳未満の人を最優先に臓器をあっせんする方針を決めた。現在は選定に当たり患者の容体が悪化した場合などの医学的な緊急性は考慮されておらず、移植できずに死亡するケースがあった。最優先枠を設けることで、待機中の死亡を減らすことを目指す。この日に開かれた同省の有識者委員会で了承された。
現行の基準は血液型や体重などが適合するかどうかに加え、人工心臓を装着する患者らを優先。こうした条件や治療状況が同じ場合は待機期間が長い患者を優先する。医療技術の進歩で現在約7割の患者が同じ優先枠で待機する一方で、より切迫した緊急性は考慮されないため、病状が悪化しても順位は変わらない。
日本心臓移植学会によると、他の待機患者への影響を減らすため、各医療機関が利用できる最優先枠は前年の移植件数の20%程度とする見込み。最優先枠の対象患者かどうかは日本循環器学会に設置する専門部会が審査する。両学会などが基準の変更を要望しており、厚労省は近く変更する。
厚労省はこの日の委員会で、あっせん機関の日本臓器移植ネットワークの業務を分割し、ドナー家族の同意書の作成などドナー側の対応は新法人や医療機関の院内コーディネーターに委嘱する体制見直し案も提示した。