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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)9月30日(水曜日)
通巻第6655号 <前日発行>
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中国、SMICに加えて半導体メーカー育成に政府補助金
9335社が名乗りをあげて、面妖な企業まで半導体に参入するらしい
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株式取引の多くがインサイダー取引の中国で、政府が補助金を出すとなると、鉄工所から家具製造メーカーまでが半導体製造に名乗りをあげた。その数、じつに9335社に及ぶ。ま、いかにも中国らしい風景だ。
学術研究のプロジェクトで目論見書を作成し、ペーパーが合格して、いざ補助金が出るとマイカーと娘にピアノを買った大学教授がいた。
「そんなことしていいの?」
「莫迦か、これは俺の腕の見せ所じゃないか」。
SMIC(中芯國際集成電路製造)は、米国の制裁を受けたファーウェイがインテル、クアルコムばかりか台湾のTSMCから半導体の供給を受けられなくなったため、その代替供給源メーカーとなる。だからSMICの株価は跳ね上がった。
ところがSMICが製造している半導体は、よくても一世代前のもの、多くが二世代前の半導体でしかなく、中国が年間外国から輸入してきた半導体の総額は3000億ドルに達していた。潤った筆頭は台湾のTSMCだが、以後ぷっつんと切れて、ハイテクの軍事部門の半導体工場はアメリカへ移る。
この米中激突の半導体戦争のため、日本では上場を予定していたキオクシアが株式上場を見送った。
中国政府は次期半導体開発のため、政府補助金を出すとした。次期ハイテク競争のキーは技術力、開発研究費用の多寡、そのための政府支援体制の構築である。この話に飛びついて、じつに9335社が名乗りを上げた。殆どが面妖な中国企業である。
というのも広東省政府が7億ドルを用意したベンチャーは、早々と倒産した。
四川省成都市政府が1億ドルを用意して、政府が30億ドルの補助をなしたタコモ南京ホールディング社系の「グローバル・ファンドリー」は八月に倒産した。
▼日本の半導体メーカーは周回遅れに、製造装置メーカーも苦境に
9月15日からファーウェイへの半導体供給は原則禁止された。ところが例外がある。
旧世代レベルのパソコン向け半導体はインテルならびにAMD(アドバンスド・マイクロ・デバイス)などが申請し、許可された模様である。
クアルコムもスマホ用の旧世代半導体は対中輸出を申請している。ただしSONYが画像センサーのファーウェイ供給をやめ、またキオクシアはフラッシュメモリーの供給をやめた。
日本企業の影響度はかなり深刻で、問題は半導体よりも半導体製造装置にある。
規制前の8月末までに、日本は半導体製造装置を合計で27億ドル弱、輸出している。この中には東京エレクトロン(エッチング装置、成膜装置)、SCREEN(洗浄装置)、SONY,ニコン、キャノン(転写電光装置)などは、これからどうなるのか、米国の規制の具体的な発動を見極める態勢にある。
一方でトランプ政権は、半導体に250億ドル(2兆6000億円)の補助金をつけ、中国勢の台頭に対抗する方針を固めつつある。
中国の補助金漬けは悪名高いが、地方政府ファンドが530億ドル、中欧政府系ファンドが205億ドルと合計735億ドルもの巨費を投じてきた。
米国はペンタゴン予算から100億ドルを割き、さらに連邦政府が150億ドルを向こう五年間に予算化して、次世代半導体の開発強化に充てる。やみくもな政府補助金はWTO違反に問われかねないが、もはやそんなことをいっている場合かということだろう。
政府補助金と育成予算によって、嘗てはMITI(通産省)が君臨した。米国が悪名高き日本のMITIと攻撃したのも昔の物語になった。
日本はこのような大事なときに、政府資金の効率的分配が出来ず、ますます技術力で台湾、韓国、そして米国に水をあけられている。
産業政策の抜本的見直しが必要である。
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