Googleオフィスに警察、社員50人超を解雇 抗議デモ対応が見せつけた“IT界の巨人”の変貌ぶりとは
(写真:ITmedia NEWS)
米Googleがイスラエル政府と結んだクラウド契約に反対して、社員がオフィスで抗議デモを展開した。デモ隊を排除するため警察が社内に立ち入って参加者を逮捕し、Googleは50人あまりを解雇。社員からは、かつて「Don't be evil(邪悪になるな)」を行動規範としていた同社の変貌ぶりを嘆く声が上がる。 【画像を見る】スンダー・ピチャイCEOが書いたブログ記事【全4枚】 発端は、ニューヨーク市とカリフォルニア州サニーベールのGoogleオフィスで4月16日に行われた抗議デモだった。参加者は、Googleがイスラエル政府と結んだ12億ドル相当のクラウドコンピューティング契約「プロジェクト・ニンバス」に抗議。サニーベールではクラウド担当CEOの部屋を占拠し、ニューヨークでは共用フロアで座り込みを続けた。 デモは長時間に及んだ。このため警察が呼ばれてそれぞれのオフィスに立ち入り、退去命令に従わなかった参加者を逮捕する事態に発展した。 翌17日夜、Googleは社内メールで、抗議デモに関与した社員28人を解雇したと発表。数日後にはさらに20人あまりを解雇した。中には、デモに参加していないのに解雇されたと訴える社員もいる。 しかし「解雇した社員は全員が社内での破壊的な活動に関与した」とGoogleは断言し、「同僚の仕事を妨害し、施設の利用を妨げたことは容認できない」とメディアの取材にコメントしている。
「活気に満ちたオープンな対話の文化」は過去の話?
Googleには「活気に満ちたオープンな対話の文化」があるとスンダー・ピチャイCEOは言う。一方で「これはビジネスであり、同僚を妨害したり危険を感じさせたりする行動をしたり、個人的なプラットフォームとして会社を利用しようとしたり、分断を引き起こす問題や政治論議で争ったりする場ではない」(4月18日の公式ブログ)と強調する。 これに対し、今回のデモを組織した団体「No Tech For Apartheid」は「自分たちの労働がアパルトヘイトや大虐殺の原動力となることは望まない」と訴える。Googleに対してイスラエル政府との契約の中止を求めるのは、発端となったプロジェクト・ニンバスの契約を「ガザのパレスチナ人を虐殺するイスラエルへの支援」と見なしていることによるものだ。 社員の解雇について同団体は「言語道断の報復行為」「Googleが自社の社員よりも、虐殺行為をしているイスラエル政府および軍との12億ドルの契約の方を大切にしていることが、これではっきりした」と反発した。 また抗議デモは平和的に行われ、Google社内で器物を損壊したり、同僚を妨害したりもしていないと主張。社員の解雇はGoogleのいう「開かれた文化」の虚偽をさらけ出したと訴え、解雇は不当だったとし全米労働関係委員会(NLRB)に不服を申し立てている。