ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

ヒラリーのアメリカ

2008-01-07 | 経済・政治・社会
アメリカは今、次期大統領選予備選の話題で持ちきりなんでしょう。
初戦でありながら「ここを制すれば大統領は間違いなし」と言われるアイオアで、「変化」を訴える民主党の若手、日の出の勢いのオバマ候補が永らく本命視されてきたヒラリー・クリントン候補を破って1位に。ヒラリーは次席どころか3位に甘んじる惨敗・・・。

「アメリカの大統領が誰になろうと私には関係ないし・・・」
と言ってしまいたいところですが、「関係ない」と言い切るにはあまりにも今のアメリカは不安です。ここで米経済が大きく失速すれば、世界は間違いなく巻き添えを食うでしょう。すでに米ドル安を始めとして変化は出てきていますが。

個人的には「ヒラリーのアメリカ」を見てみたかったです。
「見たかった」と過去形なのは、よほどのことがない限り、今回のオバマ旋風を止めることができないと思っているからです。特に彼女がオバマ批判を始めたとの報道には、背水の陣を感じます。

なぜ「ヒラリーのアメリカ」なのかというと、いろいろ言っていてもいざとなると恐ろしく保守的なアメリカに、女性をトップに据える心の準備があるのかどうかを見たかったというのがあります。

しかし、それ以上に、近年ではアメリカが一番自信を持っていたであろうクリントン政権時に、彼女が最強のブレインとして参与していたことを考えると、かなり崖っぷちにある今のアメリカはあの時に培った手腕と経験と自信を活かすべきなんじゃないかな、と思います。

3年前のメルマガ「巨星落つ」にも書きましたが、あの時のクリントンの中東政策がラビン首相の暗殺で中断されなかったら、世界はどうなっていただろうと、今でも思います。絶対とは言えなくても「9・11」もその後のアフガン、イラク侵攻もなかったんじゃないかと・・・。

一方で、今のアメリカのサブプライム問題はそう簡単には収束しないどころか、先の見えないドミノ倒しの起点として、いつまでも記憶されるものになるのではないかと危惧しています。

この問題で、ドイツの銀行が経営悪化で合併したり、北欧企業が資金調達に行き詰ったり、シンガポール政府の投資会社がスイスの銀行に出資したり、産油国がますます発言権を強めたり、ここニュージーランドでも住宅ローンがつきにくくなったり(またはローン金利が上がったり)、一見どうつながっているのかよくわからないようなことが、世界で同時に発生しています。ここでアメリカが急速に失速すれば、各地での影響は加速度的に広がることでしょう。

オバマ候補が訴える「変化」とは裏を返せば現実の全面否定。
敵対する共和党政権を全面的にこき下ろしても辻褄は合います。けれど、世論が現実から目をそらすためにあえて倍率の高い、逆に言えばリスクも高い「大穴」を求め、その結果、政治的に未知数な黒人の血を引く大統領候補という目新しさでオバマ候補に行き当たったのだとしたら、それは博打に近い気がします。
まっ、それが政治なんでしょうけど┐(  ̄ー ̄)┌

彼への強い支持は現実への不安と、「こんなはずではない」という否定の裏返しに思えてなりません。だとしたら、否定の先に新しい未来像が、例えぼんやりとでも描けていることを願うばかりです。