旅と歴史

全国各地の史跡を取り上げて紹介しています。

安楽寺

2007年08月21日 | 旅 歴史
 安楽寺は上田市別所温泉にあります。禅宗の寺で、鎌倉の建長寺などと並んで日本では最も古い臨済禅宗寺院の一つです。天正16年(1588)ころ、高山順京が曹洞宗に改めたそうです。鎌倉時代、この別所温泉のある塩田平は、当時の政治の中心地鎌倉と深い関係がありました。
 鎌倉幕府の連署(副執権)をやっていた北条義政は、塩田の地、前山に館を構え、三代にわたって鎌倉幕府の重臣として活躍しました。そんなことから鎌倉からの文化がたくさん移入され、その影響をうけた文化財が多く残っているのです。
八角塔へ行く途中には、「伝芳堂」があります。ここには、国の重要文化財に指定されている木造の「樵谷惟仙(しょうこくいせん)和尚像」と、「幼牛恵仁(ようぎゅうえにん)和尚像」が安置されています。 両像ともに鎌倉時代の嘉暦4年(1329)の造顕です。
 開山である樵谷惟仙は修行のため宋の国に渡り鎌倉北条氏の外護により臨済宗安楽寺を開きました。鎌倉の建長寺の開山祖の在宋中蘭渓道隆禅師と親しく交わり、来朝の際、先導もつとめたそうです。二世の幼牛恵仁は樵谷惟仙に従って中国より来朝し安楽寺二世を継いだ中国僧でした。
 杉木立ちの中の石段の上には、木々の間に、国宝の八角三重塔が端然と建っています。。四重の塔に見えますが一番下の屋根は裳階(もこし)といって塔の軒下に一段低く取り付けた造りで三重の塔なのです。裳階は廂の役割を果たすものだそうです。禅宗様と呼ばれる建築様式で、建立年代も鎌倉末期と推定されています。
頂上には相輪(九つの輪のついた柱)が天高くそびえています。各層の屋根の下には、華やかな「木組〔きぐ〕み」があります。それらが、この塔の美しさのようです。どっしりとしていて気品のある華麗な塔なのです。
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