旅と歴史

全国各地の史跡を取り上げて紹介しています。

白水阿弥陀堂

2013年09月09日 | 旅 歴史
 福島県いわき市内郷白水町広畑にある白水阿弥陀堂です。
 白水阿弥陀堂は福島県の建造物で唯一の国宝です。平安後期の代表的な建物で、永暦元年(1160)に、岩城国守であった岩城大夫則道(いわきたいふのりみち)の妻であった徳尼(とくに)が、夫の供養のために建立しました。
 岩手県平泉町にある中尊寺金色堂、宮城県角田市にある高蔵寺阿弥陀堂とともに東北3大阿弥陀堂のひとつに数えられています。白水阿弥陀堂は浄土式庭園の中心、大きな池の浮島の中に建てられ、朱塗りの太鼓橋で庭園と結ばれています。
 永承7年(1052)に末法思想が全国に広まり、仏教が衰え、世の中が暗黒になると信じられていました。そこから救われようと浄土教(阿弥陀教)が流行しました。仏様に向かって南無阿弥陀仏と念仏を唱えれば極楽浄土に行けるという他力本願の教えです。
 徳尼は平泉の藤原清衡の娘で、お堂や庭園にも、藤原氏の美意識がよく反映されています。庭園の雰囲気は、平泉の毛越寺とよく似ていて、白水の名も平泉の「泉」を二字に分解したというのが由来と伝えられています。浄土式庭園は昭和47年(1972)に復元され、国の史跡に指定されています。
 阿弥陀堂は桁行3間、梁間3間の一重の宝形造りで、こけら葺きです。昭和27年(1952)に国宝に指定されました。内部は中尊寺の金色堂によく似ており、極彩色で彩られた絵画で埋め尽くされています。
 中央に国指定重要文化財の阿弥陀如来像を安置し、両脇にはいずれも国指定重要文化財の観世音菩薩像、勢至菩薩像、、二天像(持国天像、多聞天像)の4体が本尊を守るように配されています。

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