フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

12月30日(日) 雨

2012-12-31 11:29:18 | Weblog

 8時、起床。雨が降っている。冷たい雨である。でも、今日一日だけと天気予報はいっている。大晦日と元日が晴れるのであれば、今日が雨でもよい。

  塩バターパンとホットミルクのシンプルな朝食。

  日誌やブログを読み返して一年を振り返る。記録を残しているというのはこういうときに便利だ。過去を振り返ることをネガティブな行為として退ける考え方があるが、貧しい考え方である。現在というのは過去と未来の狭間にあるわけではない。展望される未来も、回想される過去も、それが現在の視点からなされる限り、ともに現在の一部である。「過去を振り返るな」という考え方は、現在の時間的厚味(そこには人生の意味が含まれている)を貧しいものにする。

  昼食は「オレンチーノ」の味噌煮込みうどん。

   食後のコーヒーは「ルノアール」で、江國香織『犬とハモニカ』(新潮社)を読みながら。途中でケーキを追加注文。『犬とハモニカ』は短編集で、川端康成文学賞を受賞した冒頭の表題作は、空港でさまざまな人生が交錯する様を描いたもの。こういう趣向自体は珍しいものではなく、むしろ近年、よく見かけるものである。一見バラバラのものが実は繋がっているということ。そこには現代人の願望が反映されいると考えるべきだろう。この「犬とハモニカ」もよかったけれど、5年間付き合った恋人と別れた(別れを告げられた)直後の男の心境を描いた「寝室」はさらによかった。男には妻がいるが、関係は冷え切っている。村上春樹みたいな文体だなと思いつつ読んでいたが、最後の場面で、これはやはり江國香織の作品であることを確認させられた。そうか、最後はそうなるか。

  「ルノアール」を出て、ジムへ。今夜のすき焼きに備えて、有酸素運動をみっちり60分、710キロカロリーを消費する。

  さあ、いただこう。

 


ごちそうさまでした。