フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月28日(月) 晴れ

2013-01-29 00:44:30 | Weblog

  8時半、起床。春雨サラダ、パン(ベーコン&チーズ)、紅茶の朝食。

  答案の採点作業は一日に50枚と決めている(全部採点するのに一週間かかる)。他にもしないとならないことがあるし、似たり寄ったりの内容なので(同じ問題への解答だから当然そうなる)、たくさん読んでいると飽きてくるということもあるが、答案を読むついでに、14回の講義についてのレビューシートも読んでいるので、どうしても時間がかかる。もちろん答案だけでも採点はできないこともないのだが、答案が似たり寄ったりなのに対してレビューシートは学生ひとりひとりの個性が出ていて、読んでいて面白い。私の講義について、感想や書かれているわけだが、学生と対話している感じがする。大教室で講義しているときには見えない学生一人一人の顔が見えてくる感じがする。

  午後、食事がてら散歩に出る。

  腕時計の電池が切れたので時計屋に寄って電池の交換をしてもらう。山田時計店はご夫婦とも職人さんだが、二人そろって店に出ているときは、ご主人が時計を見てくれる。セイコーのクレドールという高品質の腕時計なのだが、かれこれ30年も使っているので、さすがにあちこち痛んでいる。今回は電池だけでなく磨耗した裏蓋のパッキンも交換してもらった。時計屋さんのお世話になるのはせいぜい一年に一度だが、毎回来ているせいで、顔なじみになっている。ご主人や奥さんとは時計の話しかしないが、いつもお二人の時計に対する愛情を感じる。この店に来る度に、ずっとこの腕時計を使い続けようという気持ちになる。商店街からしだいに時計屋さんが消えていく昨今だが、山田時計店には頑張ってほしいと思う。

  遅い昼食(もう午後の3時だ)を「テラスドルチェ」でとる。ハンバーグとコーヒー。カフェランチのよいところは、午後3時でも食事ができること、そして食事を終えてもすぐに店を出なくてよいことだ。1時間ほど滞在する。 

  店を出て、ジムへ行く。途中の道に手袋の片割れが落ちている。冬によく見る光景だが、哀れな感じがする。落とし主のところへ戻れる確率はどのくらいあるだろうか。どこで落としたか、記憶をたどりながら歩けば、見つかるかもしれない。しかし、諦めてしまう人も多いだろう。こういう光景を見る度に、森鴎外の「扣 鈕」(ぼたん)という詩を思い出す。

    扣 鈕     森 鷗外

南山の たたかひの日に
袖口の こがねのぼたん
ひとつおとしつ
その扣鈕
惜し

べるりんの 都大路の
ぱつさあじゆ 電燈あをき
店にて買ひぬ
はたとせまへに

えぽれつと かがやきし友
こがね髪 ゆらぎし少女
はや老いにけん
死にもやしけん

はたとせの 身のうきしづみ
よろこびも かなしびも知る
袖のぼたんよ
かたはとなりぬ 

ますらをの 玉と碎けし
ももちたり それも惜しけど
こも惜し扣鈕
身に添ふ扣鈕

  

  ジムではクロストレーナーを60分漕いで、830キロカロリーを消費。終盤は時速15キロのペースだった。フルマラソンを3時間を切るペースだが、もちろんこれは60分で終えることを前提としたペースであり、3時間はもたない。

  トレーニングの後の一杯のコーラが美味しい。 

  「シャノアール」で1時間ほど本を読んでから帰宅。

  途中、東急に寄り道して、海老家總本舗で鮪の角煮を購入。最初、浅利の佃煮を注文したのだが、お店の人が、「いつもありがとうございます。浅利は水曜日に特売をしますから、そのときに買われた方がいいですよ」とアドバイスしてくれたのである。特売のことは知らなかった。どこかに書いてあるのですかと聞いたら、「どこにも書いてないのです。書かなくちゃね」と笑っていた。