8時半、起床。
ハムトースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
今日は祝日(勤労感謝の日)であるが、大学では授業がある。一科目15回という授業回数を確保するためである。幸い私は(大部分の専任教員は)水曜日に授業を担当していないので(会議日として空けているのである)、出勤はしなくてよい。やれやれ、憲法違反をせずにすんでよかった。
昼食は「マーボ屋」に食べに行く。ランチタイムの終わる2時ぎりぎりだったが、笑顔で迎えていただく。水曜日が定休のはずだが、祝日の今日は営業し、明日振り替えで休みにするのだそうだ。明日予約している近所の歯科は、逆に、今日が休みなので、本来は定休である明日(木曜日)振り替えで診療するそうである。
マーボー豆腐定食を注文(食後に杏仁豆腐が付く)。
赤坂「四川飯店」で修行をした料理人(カトーさん)の四川風麻婆豆腐である。「四川風」とあるのは、おそらく本場四川の麻婆豆腐はもっと辛いのであろう。日本人の舌には「四川風」くらいがちょうどよい。ちなみにメニューには「昔ながらの麻婆豆腐」とうのもあって、こちらはもっとマイルドで、妻にはちょうどよい辛さだが私には物足りない。たぶん、まだ連れてきていないが、娘も私と同じだろう。
ご主人に「経営の方はいかがですか?」と尋ねたら、「なんとかやっています」とのこと。味はA級である(これまでのところ何を注文しても外れがない)が、立地が問題で(蒲田駅から徒歩8分)、私のように食事メインの地元の客が多く、仕事帰りにお酒を飲みながらという客は少ないそうである。アルコール類が出ないとお店としては苦しいのだ。おまけに野菜などの材料は値上げ続きだ。
アルコールを注文しない私は、来店する回数を増やすことと、ブログに書くことで応援するほかはない。ぜひ地元(ご近所)に定着してほしいお店なのである。
食後の散歩は隣町の大森へ。「キネカ大森」に映画を観に行く。
『シン・ゴチラ』は絶賛上映中だが、今日のお目当てはこれではないくて、
『オーバー・フェンス』。佐藤泰志の小説を原作とした三部作、『海炭市叙景』、『そこのみにて光輝く』、の最後の作品である。
いい映画だった。メガヒットの作品もよいが、限られた映画館で上映されるいい作品と出会え喜びはまた格別である。
舞台は前二作同様、函館である。
ストーリーをここで紹介することはやめておく。これから映画館に足を運ぶ人には余計はお世話だし、すでに作品を観た人にはわかっていることだし、映画を観るつもりのない人には意味のない情報だからだ(あらすじだけで作品を観た様な気になられても困る)。
強く印象に残っている台詞がある。白石(オダギリジョー)が焼肉屋で若い女たちに言った台詞だ。それが語られる文脈の説明は省略してその台詞だけを抜き出す(乱暴だが、勘弁してほしい)。
「いまのうちにたくさん笑っといた方がいいよ。すぐに面白いことなんかなくなるからさ。もうすぐだよ。もうすぐ、ただ生きてるだけになる。なんの楽しいこともなくただ働いて、死ぬだけ、それがお前らの人生だよ」
「てゆうか無職のおっさんに喋られたくないんだけど」と若い女が不愉快そうに言う。違うんだ。白石は自分に向かって喋っているのだ。他人を批判しているのではなくて、自己批判なのだ。
もう一つ強く印象に残っている台詞は聡(蒼井優)が白石に向かって投げつける台詞だ。
「その目・・・その目で見られると自分がゴミになった気がするんだけど」「そんな目で人のことを見ないで!人のことを見下さないでや!」
聡という女は心を病んでいる。壊れかけている女だ。一方、白石は壊す男だ。そのまなざしによって女の心を壊してしまう男だ。彼の妻はそうやって壊れてしまった。彼は自分がそういう男であることを知っているが、人はそのことに気付いてないと思っていた。しかし、聡からそのことをずばりと指摘されてしまったのだ。
強く残っている映像がある。聡が鳥の求愛のダンスをする映像だ。台詞は小説やシナリオでも味わえるが、これは映画ならではのものだ。私も練習してみようかと思う。
夕食はカツオのタタキ。