9時、起床。
トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
昨日、ユミさんからいただいたお菓子を食べる。
バームクーヘンにチョコレートをコーティングしたものである。スイーツダイエット中のはずの妻も摘まんでいる。
昼過ぎから句会のグループLINEに選句の投稿が始まった。皮切りは渺さん、月白さんご夫婦だ。通常の句会では、選句はみんなが同時に行う。しかし、今回はグループLINE上で三々五々行うので、先行して投稿した人の選句内容(感想を含む)を読むことができる。それが後に投稿する人にどう影響するが。3つの場合があるだろう。「なるほどいい句だ」と思って同じ句を選ぶか、「では自分は違う句を選ぼう」と思うか、そしてもう1つは、「自分の句を選んでくれたから、(返礼として)その人の(と思われる)句を選ぼう」だ。どれに転ぶかは人によるだろうが、まったく何の影響も受けないというのは難しいだろう。
私は3番目に投稿した。
天 ざくざくと蜜柑むく手の頼もしさ
地 刷毛職人天空に居り秋の雲
地 白粉も白粉花も毒を秘め
人 白息よ低所得者のいない町
人 白菜を背負いて帰路のご挨拶
全員の選句が終わるのは夜になりそうだ。
昼食は中村屋の中華まんじゅう(肉まん1.5個、あんまん1個)。
4時ごろ、散歩に出る。
工事中(解体ではなく、大幅なリノベのようである)の「立花屋」の角を右に曲がる。
天ぷらの「天味」の二軒隣に新しいカフェが出来ている。少し前にブログ仲間のkimimatsuさんから「カフェ・ド・コバ」(サンライズ商店街にあったが一年前に閉店)が復活したという情報をいただいたのだ。ここがそうらしいが、名前は「プレミエール・カフェ」とある。
でも、店の前にあるメニューを見ると、「カフェ・ド・コバ」のものとかなり重なっている。
ドアの外から店内をうかがうと、お店の方と目が合った。ああ、あの男性は「カフェ・ド・コバ」の店長さん(オーナーは別の方)だった方だ。
店内に入って店長さんと会釈を交わす。「よく見つけてくださいました」と彼が言った。「人伝にカフェ・ド・コバが復活したときいたものですから」と私は答えた。
トースト(サラダ付)とブレンドコーヒーを注文。美味しそうなキツネ色である。
店長さんのお名前が大橋さんであることを今日初めて知った。厨房の中にいらっしゃるのは奥様で、「カフェ・ド・コバ」のときも厨房担当だったそうだ。「カフェ・ド・コバ」のときは店員さんが数人いらしたが、ここではご夫婦だけでやっていらっしゃるそうだ。
「カフェ:ド・コバ」のときから店内の広さは3分の1くらいになったろうか。駅前の商店街からは外れた場所だから、認知されるのには時間がかかるだろう。でも、こういう場所にある個人経営のカフェが私は好きである。そういう人は決して少なくないはずだ。
奥様に厨房から出てきていただいて。
どうそ頑張ってください。そのうち卒業生を連れて来ることもあるかもしれません。
営業時間は11:00~22:00(ラストオーダーは21:30) 月曜定休
*ランチタイムは11:00~15:00
ご主人が夜のフードメニューを黒板に書いて、「これでどう?」と奥様に見せていた。
それはそうと、店長さんからびっくりする話を聞いた。「プリミエール・カフェ」は11月3日に開店したのだが、同日、「天味」が閉店したというのだ。「ラーメン店を始めるそうですよ」「あのご主人がですか?」「そうです。天ぷら屋からラーメン店への転身です」「な、なんと!」
帰りがけに「天味」の前に行ってみると、店内でご主人が内装を変える作業をされている姿が見えた。
入口には「天ぷら屋としての営業を終わらせていただきます」との張り紙が。ラーメン店の店名は同じ「天味」なのかしら。いや、そんなことより、なんで天ぷら屋をやめてしまわれたのだろう。
最後に「天味」に来たのは9月21日だった。そのとき食べた上天丼のかきあげ付が「天味」で食べた最後の天ぷらになってしまった。残念。
駅ビルで買い物をしてから「ルノアール」に行く。
ミルクティーを注文し、 持参したノートパソコンを開いて、店内のWi-Fiを使って、ブログの更新をする。ミルクティーはブレンドコーヒーよりも少しばかり高いが、ポットサービスなので、しっかり2杯飲めるので、長居をするときにいい。
7時ごろ、まだ「ルノアール」にいる私に妻から電話がかかってくる。「早よ、帰って来んかい!」という意味のことを言われる。
夕食はピラフとサラダと味噌汁。ピラフにはシャウエッセンが6本載っていたが、配置を私なりに変えてみた。タイトルは「叱られて」。
デザートは柿。
10時半頃、紀本さんが最後の投稿をしてから、24句の作者が明らかにされ、月白さんが集計をしてくださった。
結果は以下の通り。
15点 君のこと忘れられそう冬銀河 まゆこ
今回の特選句。月白さん、花さん、恵美子さんが「天」を付けた。「地」や「人」を付けた人はいなかった。つまり評価が両極に分かれたということである。「歌の文句みたい」と月白さんが選評を述べていたが、私は「短歌の上の句」のような印象を受けた。下の句は・・・「ときどき凍て付く夜もあるけど」とかね(笑)。ライトノベル風なストーリーがそこにはあって、JR東日本の冬のポスターに使えそうである。
13点 ざくざくと蜜柑むく手の頼もしさ まゆこ
これもまゆこさんの作品。金銀独占である。私と立夏さんが「天」、月白さん、花さん、恵美子さん(「君のこと」に「天」を付けた3人)がそろって「人」を付けた。同じ作者の句ではあるが、「君のこと」にはない臨場感というかリアリティーがある。「ざくざくと」という擬音語がそれをもたらしている。
12点 柿の似合う青空探し飛鳥まで 渺
紀本さんが「天」、月白さんとまゆこさんが「地」、蚕豆さんが「人」を付けた。)。「青空」と「飛鳥」が重なって、「青い鳥」を追いかけるチルチルとミチルの二人連れが私には見える。「似合う」という言葉が少し気障だが、オシャレな句で、JR西日本のポスターに使えそうである(笑)。
11点 時雨るるや席を立てずにルノアール たかじ
私の句。月白さん、まゆこさん、恵美子さんから「地」、渺さん、立夏さんから「人」をいただいた。先日の松本旅行での体験をもとにして、それを「ルノアール」という記号を使って一般化した作品(「信毎メディアガーデン」では句にならない)。もちろん安住敦の名句「しぐるるや駅に西口東口」へのオマージュも込められている。
10点 刷毛職人天空に居り秋の雲 月白
花さん、蚕豆さん、わたしが「地」を付け、紀本さんが「人」を付けた。すじ雲を刷毛で描いたようだとは誰もが思うが、そこに刷毛職人が居るとまでは思わない。そのファンタジックは発想がこの句のポイントである。ただし下の句の「秋の雲」は凡庸である。すでにすじ雲の映像は読者の頭の中にあるから「雲」はいわずもがなである。下の句をひと工夫すれば、特選をとったのではないかしら。
9点 おでん鍋子らは半片ばかり喰う たかじ
私の句。まゆこさんから「天」、立夏さんから「地」、紀本さんから「人」をいただいた。子どもが小さかったころの実体験を詠んだ作品。立夏さんが選評で「自分が小さい頃そういえばそうだったなと思い出しました」と述べ、作者がわかった後で、「父の作品だったので当たり前ですね」と感想を述べた(笑)。
9点 ふたつめのため息白いロングコート 直美
渺さんが「天」、立夏さんが「地」、月白さんが「人」を付けた。ショーウィンドーの中のロングコートを眺めながら「いいな」「ほしいな」と思いつつ、値段を見て、ため息をつくという情景だろう。それなりの時間そこにとどまっていることは、「ふたつめのため息」ということからわかる。「白い」は「ため息」にも「ロングコート」にもかかっているように読めるが、白いロングコートを切るのは勇気がいるだろう。
6点 削ぎ落とし裸身に積もる淡き雪 蚕豆
渺さんと花さんが「地」を付けた。私は葉を落とした裸の木を詠んだ作品と思ったが、作者の説明によれば、旭川の街中に点在する彫刻を詠んだものだそうだ。う~ん、そこまでは伝わらなかった。細身の人間や動物の彫刻といえば「ジャコメッティ」だから、それを記号として使って、「ジャコメッティの「歩く男」に積もる雪」とかしてくれてたら伝わったのではないだろうか。
6点 白菜を背負いて帰路のご挨拶 蚕豆
これも蚕豆さんの句。紀本さんが「地」、渺さん、恵美子さん、私が「人」を付けた。白菜はスーパーのポリ袋に入れてぶら下げて歩くのが普通で、背負うというのは私の子供ころの行商の女性(「千葉のおばさん」と我が家では呼んでいた)を連想させる。作者も「これは完全にノスタルジックな描写」と言っている。千葉のおばさん、売り切って帰りたかったろうな・・・。だから私にとっては懐かしさと切なさを伴う作品である。
6点 何となく頭重たし白梟 月白
蚕豆さんと紀本さんが「地」を付けた。フクロウというのは胴体と顔(頭)の境目がわからない。だから頭が重そうとは断定しがたい。「何となく」重そうなのだ。文法的には「重たし」として切るよりも、「重たき」と連体形にして「白梟」に接続した方がよいように思う。何となく(笑)。
5点 葉の縁のほんのり紅の参道の 花
蚕豆さんが「天」を付けた。「の」の多用。最後の「参道の」は一体どこにかかるのだろう。再び先頭に戻りそうである。無限のループだ。蚕豆さんは自分しかこの句を選ばなかったことについて、「技巧的過ぎてあまり点を集めなかった?」と感想を述べているが、くらくらと目が回ってしまったのではかしら。
3点 神楽坂の某所に寄りて冬夕焼け 月白
渺さんが「地」を付けた。「神楽坂の某所」が謎めいているが、「待合」とかではなく、夫(渺さん)が東京に単身赴任していた頃のアパートであろう。渺さんには「これは妻(月白さん)の句だな」と分かったはずである。夫婦で愛人ごっこしてるんじゃありません(笑)。
3点 白粉も白粉花も毒を秘め 渺
私が「地」を付けた。兼題の「白」を二度も使っている。作者は女性かと思ったが、渺さんでしたか。「柿の似合う」の句もそうだが、渺さん女性的な(あるいは女性が登場するような)雰囲気の作品が多い。
3点 白猫も黒猫もおり漱石忌 たかじ
私の句。恵美子さんから「地」をいただいた。彼女は前日、早稲田にある「漱石記念館」の側を歩いていたので、この句に反応しやすかったのだろう。兼題の「白」を使って「白猫」を思いつき、それなら「黒猫」もいた方が絵的によいと思い、さて季語はどうしようと考えたときに、ああ、「漱石忌」があるじゃないかと、この句が出来上がった。
2点 白息よ低所得者のいない町 立夏
まゆこさんと私が「人」を付けた。「白息」(しらいき)を「白銀」(しろがね)に変えても通じる。場違いなお金持ちの街を歩く(紛れ込んでしまった)プロレタリアートの詩である。
2点 平和像ひらり落ち葉に自撮り棒 紀本直美
蚕豆さんと花さんが「人」を付けた。「平和像」はどこの像だろう?長崎の「平和祈念像」のことかしら。平和像をバッグに自撮り棒を使って自分(たち)の写真を撮ろうとしたとき、画面の中に枯葉がひらりと入ってきたのだろうか?だとすれば、空中にあるときはまだ落葉ではありません(笑)。
1点 ラグビーの国を選べる軽やかさ 渺
立夏さんが「人」を付けた。どこの国の代表になるかを選手は(一定の条件を満たせば)自分で決めることができるというのを詠んだ句である。ラグビー選手は重量級の人が多いけれど、その点は「軽やか」であると。
1点 初冬のホームに光る死のしらせ 立夏
まゆこさんが「人」を付けた。この句の解釈は2つあるように思う。1つは作者のスマホに知人の死の知らせが入ったということ。光っているのはスマホの画面だ。もう1つは、人身事故(飛び込みか)で電車が停まっているというアナウンスをホームで聞いているということ。光っているのは電光掲示版だ。「死の知らせ」という語感は前者である。
ネット句会は初めての試みだったが、今回はリアル句会の不成立による緊急企画であった。もし本格的にネット句会をする機会があれば、選句の過程が見えない工夫をした方がよいだろう。グループLINEは全員の選句(投稿)が終った後の、各自の選句を披露する(その部分に時間をかける)ところから使うとよいと思う。