前回取り上げた「湯の岱温泉湯治場」から東へ500メートルほど離れたところにある、国道285号沿いの比較的規模の大きな温泉入浴施設です。周囲には何もない山林を切り拓いて開発されたような施設で、広い敷地内には比較的新しい平屋の本棟が建てられ、建物前の駐車場スペースも十分に確保されており、そして本棟に並んで老人ホームも併設されています。
屋根上には「北投石と天然温泉」と書かれていますが、どうやらこの温泉では同じ県内の玉川温泉でおなじみの北投石を使った施設が「売り」のようです。どんなものかは中に入ってのお楽しみ。
外観は白い壁と新建材の黒屋根が印象的ですが、内装はとてもウッディな造りとなっており、木材ならではのぬくもりが伝わってきます。ロビーではお土産物を売ったり、はたまた休憩用のお座敷が用意されていたりと、いかにも今時の温泉施設らしい雰囲気です。
ロビーから左側の通路を進んで浴室へ。
脱衣所も木材メインの暖かな空間構成。広々していてストレスをおぼえることはなく、使い勝手良好です。
浴室も大きくて綺麗。洗い場にはシャワー付き混合栓が9基設けられています。
浴槽もガラス窓に面した主浴槽の他、ジェットバス・バイブラバス、そしてサウナ・水風呂が据えられており、万人受けしそうなラインナップです。主浴槽のお湯は湯口に置かれた「北投石」を通って浴槽へと投入されており、屋根上に自慢げに書かれていた「北投石」とはこのことなんでしょうが、果たして効果のほどはいかほどか…。源泉投入量は多く、浴槽から静かながらしっかりとオーバーフローしています。湯加減はちょうど良い具合。加温などは一切していないそうです。
お湯はごく薄い黄色透明ですが、澄み切ってはおらず、僅かに濁って見えます。柔らかなタマゴ臭+弱金気臭+石膏臭を嗅ぎ取ることができ、石膏味+弱金気味を帯びていました(匂いでは確認できたタマゴ感ですが、何故か味では確認できませんでした)。硫酸塩泉的な引っかかりのある浴感の中にスベスベが混ざっている複雑な感触です。湯口のまわりには硫酸塩の析出がビッシリ付着していました。
お湯の質としてはご近所の「湯の岱温泉湯治場」にちょっと似ていますが、似て非なる明らかな別物です。
バイブラバス・ジェットバスは主浴槽に並んで配置されています。こちらのお湯も源泉使用。
露天風呂は岩風呂で屋根が被せられており、浴槽の大きさは10人サイズ。源泉は浴槽の中心の底部から供給され、そのお湯の勢いで湯面はこんもり盛り上がっており、内湯同様こちらもふんだんにオーバーフローしています。オーバーフローの流路は析出で赤く染まっているので目立ちます。お湯の知覚は、匂い・味とも内湯より若干強いように思われました。湯量豊富の露天風呂は気持ちいいですね。でも縁の岩の隙間の数か所からボコボコと人工的な泡が出ているのがちょっと鬱陶しいかも(送気用パイプも見えてます)。
日曜午前11時頃で常時6~10人が入れ替わっているような、なかなかの客入りです。設備がしっかりしており、メンテナンスも良く、お湯も新鮮で豊富ですから、お客さんの人気を集めるのも納得できます。また大館能代空港からも近いロケーションですから、旅行途中のみならず、飛行機に搭乗する前や到着後に汗を流すため訪れるのもいいかもしれません。
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
43.9℃ pH7.0 63L/min
JR奥羽本線および秋田内陸縦貫鉄道・鷹ノ巣駅より秋北バスの「長寿の湯」行で終点下車(約30分・一日2往復のみ)
秋田県北秋田市小森字向長渡12-1 地図
0186-66-2526
8:00~21:00 毎週木曜定休
500円
(2010年春頃より定休日などが変更されています)
ロッカー・シャンプー類あり、ドライヤー無し(盗難が相次いだため撤去したそうです)
私の好み:★★