温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大鰐温泉 大湯会館

2011年10月21日 | 青森県
※本記事は旧施設時代の様子を取り上げています。大湯会館は2019年6月に完全リニューアルされ、この記事とは違う姿に生まれ変わっています。

 
大鰐温泉に9か所のある共同浴場のひとつです。目の前に4~5台とめられる駐車場が確保されています。
一般的に「大湯」と称される共同浴場は、その温泉地の顔、ランドマークであることが多いのですが(信州の野沢温泉はその好例ですね)、大鰐の「大湯」は、たしかに旧国道と県道がクロスする大鰐屈指の交差点の傍にありますが、温泉地の中心からはちょっと外れており、しかも大鰐温泉そのものが寂れかかっているため、ランドマークという言葉が有する存在感からは程遠い地味な雰囲気です。特に玄関を入った時に包まれる薄暗さには悲しさを感じずにはいられません。券売機で料金を支払います。

 
玄関から脱衣所へは短いステップを下りてゆきます。温泉巡りをしていると「階段を下りてゆく温泉には名湯あり」という法則に気付かされますが、こうしたステップを下るお風呂に出会えると期待に胸が膨らみます。しかもガラス越しには浴室が見えるではありませんか。
脱衣所は実用本位の至ってシンプルな造りですが、さすがに「大湯」を名乗るだけあって、大鰐の共同浴場の中では最も広いかもしれません。室内にはちょっと高い桟敷のようなスペースがあり、お風呂から上がったばかりの常連のお爺さんは、素っ裸のままそこで横になっていました。床は温泉熱を利用した床暖房が設置されています。



浴室中央にはタイル貼りでやや膨らんだ形状の小判型浴槽がひとつ据えられ、その周りを洗い場が囲っています。カランはシャワー付き混合栓で合計8か所用意されているのですが、どういうわけか一か所にまとめたり均等に配置されているわけではなく、浴室の4隅に2ヶ所ずつ設置されていました。
浴槽は10人程同時に入れそうな大きさで、底からボコボコと泡が出ており、ちょっと騒々しいかも。湯口となるパイプは浴室内の窓際にあるバルブを通じて浴槽下部へ導かれて底に敷かれ、たくさん穴があけられたそのパイプから源泉が供給されています。

使用されている源泉は、大鰐温泉で集中管理されている共同源泉です。無色澄明の綺麗なお湯で、微塩味+微硝芒味、弱硝芒臭が感じられます。基本的には硫酸塩泉的なキシキシ浴感が表に出ているのですが、その中に食塩泉的なスベスベ
も混在しています。加水されているものの湯加減は熱く、湯船に足を入れると肌がピリっとし、全身を湯に沈めてしばらくしていると、頭がクラクラしてきました。


浴室の入り口脇には、このような小さな源泉溜りがあり、ものすごく熱いお湯が溜まっていました。どのような目的で使われるんでしょうか。

雪が積もる冬の日曜の昼12時すぎで、先客3人→独占→後客2人という利用状況でした。昼間でこのような集客があるのですから、夕方はしっかりと混雑するのでしょうね。


大鰐統合源泉(青柳3号・植田2号・赤湯2号・石原)
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 68.0℃ pH7.2 940L/min(配湯量) 溶存物質2.6740g/kg 成分総計2.6879g/kg 
Na:710.9mg(73.57mval%), Ca:182.2mg(21/63mval%), Cl:1080.9mg(72.54mval%), SO4:140.4mg(21.63mval%)

JR奥羽本線・大鰐温泉駅もしくは弘南鉄道大鰐駅より徒歩12~5分(約1km)、あるいは弘南バスの弘前~大鰐・碇ヶ関線で大湯バス停下車すぐ
青森県南津軽郡大鰐町大字蔵館字村岡53  地図
0172-48-2214

6:00~21:00 第2月曜定休(祝日の場合は前後する)
150円
備品類なし

私の好み:★★
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大鰐温泉 若松会館

2011年10月21日 | 青森県
 
津軽弘前の奥座敷である大鰐温泉には共同浴場が9軒存在しています。それらの多くは小規模で外部者の利用には制限があったりしますが、この中でも「若松会館」は駅から近くて見つけやすい建物であるため、旅行者にも利用しやすいお風呂ではないかと思います。駅から温泉街に向かって歩き、平川に架かるトラス鉄橋を渡って右に折れたらすぐに到達です。川の対岸の橋の傍に位置しているので、駅から歩いていけば迷うことないかと思います。私はこれまで何度もお世話になっており、目を瞑っても駅から辿りつける自信があります。



でも足繁く通っている温泉って、あんまりカメラで撮影しようという気になれないんですよね。「若松会館」もそのひとつでして、過去の画像フォルダを懸命に漁ってみたのですが、結局みつかったのは、外観を写した2枚と、浴槽を写した1枚だけでした。いつもより画像が少なくて申し訳ありません。

浴室の中央には、角が取れて丸くなった長方形浴槽が据えられ、その周りをカランが囲むという津軽の伝統的な公衆浴場スタイルを踏襲しています。浴室内の壁や浴槽縁の小さなタイルには昭和の美学とでもいうべき、鮮やかな色遣いが施され、古い浴場なのに色彩的なインパクトが強めです。川沿いという絶好なロケーションなので、窓を開けると目下に悠然と流れる平川が眺められ、川面から心地よい風が浴室へと流れてきます。

お湯は無色澄明で、薄い塩味、そして芒硝の味と匂いが感じられます。源泉温度が高いので加水されていますが、湯使いとしては加温循環消毒無しの放流式で、常に新鮮なお湯が楽しめます。源泉は浴槽下部のバルブから投入され、その真上に加水用の蛇口が設置されています。加水されているものの湯温は高めで、その上に硫酸塩のパワーの加わってくるので、湯船に入りしなは肌がピリピリするかもしれません。でもそのピリピリが心地よいんですね。家庭の風呂じゃ味わえない温泉ならではの感触が伝わってきます。

大鰐の湯は基本的には澄んだ清らかなお湯ですが、特に冬期になるとごく僅かに白く濁ることがあります。大鰐温泉のお湯はいくつかの源泉を青柳の貯湯槽に集めて一括管理しているのですが、温泉水の使用量が多くなる冬期になると、源泉のうち赤湯源泉から引いてくる量が多くなり、この赤湯源泉は他源泉よりも鉄分を多く含んでいるため、この鉄分が酸化して混濁を発生させてしまうのです。決して源泉が汚れたとか質が悪化したわけではないので、もし若干濁っていてもお気になさらずに。


 

画像が少ないので、「若松会館」の近所にある「湯魂石薬師堂」の画像でも一緒に載せておきましょう。
津軽藩開祖の津軽為信が慶長年間に眼病を患って悩んでいたところ、夢の中で「大鰐の湯で眼を洗えば治る」という薬師如来のお告げを受けたので、それに従って芦の原を探索してみたら、大きな石の下から湧き出る熱湯を発見し、実際にそのお湯で目を洗ったら難病が完治したという伝承が残っています。為信はとても喜び、謝意をあらわすため、その大きな石の上に祠を建立し「湯魂石薬師堂」と名付けたんだそうです。現在はその大石を模した源泉の出るモニュメント、そして足湯が併設されています。大鰐という地名の通り、お湯は鰐の口から注がれています。鰐の口のまわりは硫酸塩の析出で真っ白に付着していますよ。いくら言い伝えがあるからといって、今はそのお湯で洗眼しないほうが宜しいかと…。


大鰐統合源泉(青柳3号・植田2号・赤湯2号・石原)
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 68.0℃ pH7.2 940L/min(配湯量) 溶存物質2.6740g/kg 成分総計2.6879g/kg 
Na:710.9mg(73.57mval%), Ca:182.2mg(21/63mval%), Cl:1080.9mg(72.54mval%), SO4:140.4mg(21.63mval%)

JR奥羽本線・大鰐温泉駅もしくは弘南鉄道大鰐駅より徒歩6~7分(約600m)
青森県南津軽郡大鰐町大字大鰐字大鰐59-1  地図
0172-48-4001

6:00~21:00 毎月18日休業(祝日や日曜の場合は前日か翌日に休業)
200円
ロッカーあり、ドライヤー有料(20円)

私の好み:★★
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