温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

石川温泉

2012年09月15日 | 青森県
※残念ながら閉館したようです。

 
弘前市石川にある温泉銭湯「石川温泉」を利用してきました。青森県内、特に津軽の温泉に関しては人様より詳しいつもりでいましたが、この温泉については何故か今までノーチェックでした。旧国道(現県道260号)から路地に入った住宅地の裏手にひっそりと佇む、緑のトタン屋根と茶色い外壁の地味な建物は、自己主張を控えているようでもあり、ここを訪れた私も玄関の扁額を確認してようやくここが温泉浴場であることを確認した次第です。



玄関に入って番台に声を掛けてみたのですが誰も出てきません。番台右手の休憩スペースでは湯上りの爺様方がソファーに座ってテレビに見入っており、我関せずといった空気を前面に押し出しており、こちらのほうを一顧だにしません。どうしたらよいものかと途方に暮れること数分、ようやく図体の大きなおじさんが奥の方から登場、入浴を乞うと無言で私から料金を受け取り、仏頂面のままどこかへ消えてしまいました。この施設には、一見の客にはわからない暗黙のルールや秩序があるんでしょうか。


 

広い脱衣室には塩ビ系の床材が敷かれており、窓の下には棚が設置され、中央には腰掛と灰皿、そして窓と反対側には洗面台が取り付けられているという典型的な昭和の銭湯スタイルです。青森県ってこの手の脱衣場が多く、今回もデジャヴなんじゃないかと勘違いしてしまいました。なお以前はドライヤーも用意されていたみたいですが、現在はコインタイマーが残っているのみでした。


 
天井の高い浴室は天井を除いてタイル貼りですが、壁一面に見られる目地の黒ズミが建物の草臥れ具合を物語っています。窓の下にはシャワー付きのカランが10基、一列に並んでおり、カランからはかなりぬるい源泉が出てきます。こちらの温泉は源泉温度が38℃と低いので、おそらく非加温の源泉がそのまま出ているのでしょうね。この水栓にはコックが左右にひとつずつ付いており、右側を回すとスパウトが、左側を回すとシャワーがそれぞれ出てきました。なるほど、左右のコックは湯・水の区別ではなく、吐水する先によって分けられているのですね。こんな仕組みですから、水栓での温度調節は不可能です。


 
縦長の浴槽は小さな丸いタイルで敷き詰められており、仕切りで2分されています。上述のようにこちらの源泉は加温されているわけですが、それにしてはオーバーフローがかなり多く、安物のデジカメで撮っても確認できるほど、浴槽の縁からしっかりサーサーと滑るように溢れ出ていました。加温以外の、加水循環消毒は行われていない放流式の湯使いです。


 
湯口からはドボドボとふんだんにお湯が投入されていました。二分されている浴槽のうち、湯口側の小さな槽は2~3人サイズで赤茶色に染まっており、やや熱めの湯加減です。一方、大きな主浴槽は小さな槽のような着色は無く、仕切りの下方で小浴槽から流れてくるお湯の湯加減も丁度良い感じです。同じお湯が張られているのに、両者はどうしてこんなに槽内の色が違うのかしら。

お湯は薄い黄色を帯びた弱い貝汁濁りで、薄い塩味+重曹味+ほんのりとした甘味+弱金気味、そして土類臭+弱金気臭+化石海水によくある匂い+ガスのような臭いがそれぞれ感じられました。また湯口の傍で入浴していると肌に多少の泡付きがあり、弱いキシキシと食塩泉らしいツルスベが混在している浴感が得られました。

地味で鄙びた施設ですが、お湯のクオリティはなかなかのもので、いままでこの温泉を知らなかった自分を悔やみました。加温済の源泉も良いのですが、ぜひ非加温源泉にも入ってみたいなぁ。温度から想像するに、きっと極上の不感温度帯のぬる湯を楽しめると思うんだけど…。


ナトリウム-塩化物泉 38.0℃ pH7.2 150L/min(動力揚湯) 蒸発残留物1.773g/kg
(調査および試験日:昭和57年11月18日)

JR奥羽本線・石川駅より徒歩15分(1.0km)または弘南鉄道大鰐線・石川駅より徒歩12分(750m)
青森県弘前市石川字川原田4-2  地図
0172-92-2752

※残念ながら閉館したようです。
6:00~21:00
350円
備品類なし

私の好み:★★
コメント (2)
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