秋保温泉共同浴場

　
仙台の奥座敷である秋保温泉は、私のような薄給の庶民には敷居の高そうな高級感の溢れる大規模旅館が立ち並ぶ温泉街でして、それゆえ今まで当地で宿泊しようと発想したことはないのですが、そんな絢爛豪華な旅館群の中に埋没するかのように、ぽつんと佇む庶民の味方となる施設が今回取り上げる「共同浴場」であります。お大尽のみならず市井の民に対してもちゃんと湯あみする施設を用意されているところが、秋保の懐の広いところですね。今まで数回利用しているにもかかわらず、これまでは混雑のために撮影できなかったのですが、今回ようやく誰もいない独り占めの時間を過ごすことができたので、レポート用に何枚か撮影してまいりました。
建物右手は売店となっており、玄関入ってすぐ左に料金を支払う券売機が設置されています。券売機付近にはコインロッカーもありますが、脱衣室にはロッカーが無いので、貴重品を携行している場合はこちらで預けましょう。更に左手にはトイレがあるのですが、結構開放的な構造となっており、小便器は丸見え状態です。


　
共同浴場ですから館内の設備は至ってシンプルで必要最低限のものしかありません。脱衣所には棚があるだけで、洗面台が無いため、タオルを絞るためのバケツが床に置かれています。また室内には扇風機も無ければ窓から風もあまり入って来ず、しかもここのお湯はかなり火照りやすいので、夏の暑い日にはちょっと辛いかもしれません。


　
周辺旅館群の豪華でスケールのデカい大浴場とは対極をなすかのように、こちらの浴室は至ってシンプルでこじんまりとしています。タイル貼りの室内の隅っこに2人サイズの浴槽がちょこんと据えられているだけ。浴室の広さには若干余裕があるのですから、もう少し湯船を大きくすれば良いのに、とヨソ者の私は考えてしまったのですが、源泉投入量などいろんな制約があって、敢えてこのサイズにしているのかもしれませんね。
洗い場にはオートストップ式の水栓が2基設置されており。シャワーはありません。このカランは吐湯量が少ないため、何度もボタンを押さないと桶にはなかなかお湯が溜まらず、軽くイライラしちゃいました。


　
スカイブルーのタイルが貼られた浴槽は上述のように2人でいっぱいになってしまうほど小さなもの。混雑には洗い場に座り込んで湯船が空くのを待つお客さんの姿も見られました。
石組みの湯口から注がれるお湯は薄く白く霞んでおり、湯中には細かな白い湯華がたくさん浮遊していますが、私が利用するときは大抵混雑時であり、それゆえ湯華とともに汚れらしきものも渾然としていて、何が何だかわからない状態であることがしばしばだったりします（小さい浴槽で多くのお客さんを受けているので仕方ありません）。湯使いは放流式で、循環は実施されていません。湯口のお湯を口にしてみると、秋保らしい薄い苦味と塩味が感じられましたが、匂いはあまり確認できませんでした。湯船に入って両手でお湯を救い上げてみると、トロトロな浴感がよくわかります。湯加減は大して熱いわけではないのですが、お湯の有するパワーゆえに強烈に火照り、決して長湯はできません。また源泉の投入量こそ少ないものの、槽の容量が小さいためにすぐにお湯が満たされ、人が入る度にザバーっと勢いよく溢れだし、一旦嵩は減るものの、間もなく元の水位を取戻し、再び人が入るとザバーっと洪水状態になり…を繰り返していました。
先日利用した平日夕方5時頃では常時2～4人の利用客があり、いかにこの小さな共同浴場が常連さんから愛されているかがわかりました。パワフルな火照りのため、湯上り後もしばらくは汗が引かず、却って入浴前より体がベタベタしてしまいましたが、冬の寒い時期に入浴したら、さぞかし温かいことでしょうね。


2号・4号混合泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉　64.5℃　pH7.4　560.0L/min（動力揚湯）　溶存物質3227.1mg/kg　成分総計3253.4mg/kg　　
Na+:805.6mg(67.16mval%), Ca++:314.2mg(30.06mval%),
Cl-:1562mg(91.01mval%),
H2SiO3:95.9mg, HBO2:173.1mg,

仙台駅前バスターミナル8番のりばから秋保温泉行路線バス（宮城交通）に乗車、秋保温泉湯元バス停から徒歩1分
宮城県仙台市太白区秋保町湯元薬師100　　地図
022-398-2774

8:00～21:30　第2・4水曜定休
300円
コインロッカーあり（玄関に）、他備品類なし

私の好み：★★