温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

稲垣豊稔温泉 つがる市健康増進施設 稲穂の湯

2012年09月26日 | 青森県
 
だだっ広い水田が広がる旧稲垣村域の津軽平野。付近には「こめ米(マイ)ロード」というふざけた名前の広域農道が南北に延びています。岩木川付近の田圃の畦道を車で流していると、青々とした稲の海の向こうに、切り妻のおでこに温泉マークを掲げた平屋の施設が目に入ってきました。


 
その施設の名前は「つがる市健康増進施設 稲穂の湯」。言わずもがな温泉入浴施設なわけです。ロケーションを素直に表現しているネーミングですね。黒い屋根にベージュ系の外壁というシックな装いのこの建物はかなり新しいように見えますが、それもそのはず、開業は2010年12月24日であり、オープンしてからまだ1年半くらいしか経っていないのです。


 
バス停が目の前の好立地、と言いたいところですが、一日5往復しか運転されないので、あんまり使いものになりませんね。駐車場がとっても広いので、こちらには車で訪れましょう。駐車場の隅っこには源泉施設と思しき貯湯タンクが設置されていました。


 
受付前の券売機で支払い、明るく元気なおばちゃんに券を手渡します。玄関前には休憩スペースが設けられており、その一角はお座敷となっていました。おそらくこの施設を利用する地域の爺さん婆さんにとっては、チェアーとテーブルの組み合わせより、畳・座布団・ちゃぶ台の方がはるかに落ち着くものと思われますから、地方の温浴施設にとってお座敷は必須と言えるでしょう。


 
脱衣室は明るく清潔感に満ちており、とても綺麗で使い勝手良好です。棚におさめられているカゴの他、ロッカーもあるので、貴重品管理が気になる外来者でも安心して利用できますね。県内の公衆浴場施設にしては珍しくドライヤーが無料で使えるのが嬉しいところ。冷房こそありませんが、天井でシーリングファンがまわっているので、湯上がりのクールダウンもさほど問題ありません。



洗面台の近くには、温度計が取り付けられた配管の下に接続されている、湯たんぽのカバーが被せられたこのような物体があったのですが、これって何でしょう?


 
浴室もなかなか広くて綺麗です。窓から上の側壁は木材、下はベージュ系のタイル、そしてカランまわりは黒系の色調でまとめられており、シックで落ち着きのあるデザインと言えそうです。また、浴槽は20人は余裕で同時に入れそうなほど大きなものがひとつ据えられているのですが、この槽が総ヒバ造という非常に立派なものであるため、浴室内には上品さや風格すら漂っているようでした。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が2箇所に分かれて計12基設置されています。水栓から出てくるお湯は真湯です。



浴室入口脇には真湯の掛け湯枡あり。


 
ヒバ材で組まれた湯口から源泉がドボドボと投入されています。泉質の関係でヒバのお風呂はとっても滑りやすく、私も2回程バランスを崩してしまいましたが、一応槽内のステップなどには滑り止めのイボイボが付いていました。
お湯は薄い黄色でややぼんやりと霞んでいるように見えます。薄い塩味と微かな臭素臭、そして塩素臭が感じられます。塩素消毒は残念ですが、気になるほど強い臭いではありませんでしたし、法令面を厳守せねばならない公営(市営)の施設ですからやむを得ないでしょう。なお湯中では食塩泉らしい弱めのツルスベ感が得られました。温度調整のため加水されているそうですが、それでもやや熱めの湯加減でした。



湯口とは対角線上にある切り欠けからしっかり溢れ出し、温泉成分の影響なのか、床は溢れ出しのお湯によって赤茶色に染まっています。また浴槽の縁の全辺からもオーバーフローしていますが、こちらについては縁の下にあるグレーチングに流れ落ちてゆくため、洗い場に流れてゆくことは無く、従って洗い場の床が変色するようなこともありません。
加水のためか、この界隈の温泉にしてはちょっと薄いような気もしますが、湯使いはしっかり放流式であり、またヒバの浴槽の感触の良さやお風呂の綺麗さは素晴らしく、全体としてとっても良い印象を受けました。



この「稲穂の湯」は、隣接している「西部クリーンセンター(ゴミ焼却施設)」の稼動を延長させるため、地元の要望に応える形で(というか実際には地元に対する慰撫を目的として)事業化されたもののようです。詳しくは平成20年1月付・つがる市長「年頭あいさつ」をご覧ください。同じような理由・目的で建設された温泉入浴施設といえば、新潟県南魚沼市の「島新田温泉 金城の里」が挙げられますが、両者とも施設の造りや雰囲気がとっても似ているような気がしました。事業化する理由が同じだと、たとえ場所は違えどもその結果として生まれてくる施設は似通ってしまうのかしら。


ナトリウム-塩化物温泉 44.0℃ pH8.3 湧出量測定不可(掘削動力揚湯) 溶存物質1.555g/kg 成分総計1.555g/kg 
Na+:543.3mg(97.20mval%),
Cl-:574.2mg(68.64mval%), SO4--:153.2mg(13.52mval%), HCO3-:214.9mg(14.92mval%),
H2SiO3:26.5mg,
衛生管理のため塩素消毒実施
温泉温度を適温にするため加水

五所川原駅から弘南バス・下繁田行(稲垣方面行)バスで下穂積下車すぐ
青森県つがる市稲垣町繁田白籏56  地図
0173-46-2020
つがる市HP内紹介ページ

8:00~21:00、第4月曜および1月1日定休
320円
ロッカー・ドライヤーあり(いずれも無料)、基本的な入浴道具販売有

私の好み:★★★
コメント
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